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第297話 秋ヶ瀬ウォリアーズ18、海水浴3


 なんとか、それっぽく手を抜くことでビーチバレーの勝負は拮抗したけど、最終的には21対17で俺と中川さんのチームが勝ってしまった。

 今度は俺と斉藤さんがチームを組み、日高さんと中川さんがチームを組んだ。

 コツはつかめた。

 今回は18対21で負けたがいい試合だった。


「結構疲れたね」

「うん」

「そうだね」


「飲み物を飲んだ方がいいから、シートに戻ろう」

「用意した飲み物は、コーラ、オレンジジュース、炭酸水、ミネラルウォーター、それに緑茶だから飲みたいものを言ってくれるかな?」


 各人の要望を聞いて俺はタマちゃんから手わたされた飲み物を渡していく。俺は緑茶を選んだ。


 一息ついたところで、最後の試合。

 俺と日高さんがチームを組んで斉藤さんと中川さんがチームを組んだ。


 ……。


 今回は21対16で勝ってしまった。



 時計を見たら11時だったので、再度レジャーシートに戻って各自残っていた飲み物を飲んだ。


「ちょうどいい気温だよね」

「うん」

「海の水も冷たくなかったし」

「ここって海水浴に最適だよね。

 長谷川くん、それはそうとここってどこなの? そもそもここって日本なの?」

 そういえば何も言ってなかった。

「26階層の先の世界なんだ」

「太陽があるのに?」

「だから、どうもここはダンジョンの中じゃないみたい。基本的にモンスターもいないし」

「そうなんだ」

「それで、ここはとある島の南西になるんだ。朝みんなが着替えた建物は島の真ん中あたりに建っている」


「この島には人っていないの?」

「いないことを確認したわけじゃないけれど、見たことはないな」

「ふーん。ということはこの島全体が長谷川くんのもの?」

「俺のものという意識はないけれど、勝手に使っているのは事実だな」

「そうなってくると王さまだよね」

「そうかもしれない。国民は自動人形しかいないけれどね」


「自動人形っていっても日本語が話せるんだから立派な国民だよ。でもよく考えたら、日本語話せるロボットってすごいよね」

「うん。スゴイと思うよ」

「長谷川くん、ロボットということは作れるって事?」

「うん。作れる。いくらでもってわけじゃないけどかなりの数作れると思うよ。俺が作るわけじゃないけどね」

「そうなんだ」


「最後にひと泳ぎして、館に戻って昼食にしようか?」

「うん」「そうだね」

「わたしはいいから3人で頑張って。ビーチボールの空気を抜いておくね」

 中川さんがビーチボールの吹き込み口の栓を抜いて空気を抜き始めた。なぜか中川さんがエヘラ笑いをしていた。


 レジャーシートの上に足を伸ばしてビーチボールの空気を抜いている中川さんを残して、俺たち3人は海に向かって駆けだした。


 せめて胸辺りまでの深さがあればよかったんだけれど、ないものは仕方ない。

 しばらくバシャバシャ泳いでそれから中川さんの待つ岸に戻った。


「荷物は手に持ってシートも片付けよう」

 各自で荷物を持って、シートを片付けた。


「それじゃあ、館に戻るからみんな俺の手を持って」

 3人が俺の空いた手を持ったところで屋敷の書斎に転移した。


「このままの格好で食事してもいいけど、濡れてもいるし着替えた方がいいか。

 脱衣場の先が風呂なんだけど、迷っちゃまずいだろうから、アインを呼ぶからちょっと待って」

 机の呼び鈴を鳴らしてアインを呼んだ。いつもどおり20秒でアインがやってきた。

「3人には食事の前に着替えてもらおうと思うから、脱衣場に案内して風呂でシャワーを浴びてもらってくれるかい。シャワーが終わって着替えたらそのまま食堂に案内してくれればいいかな」

「はい。マスター。

 みなさん、こちらです」


 アインに連れられて3人が書斎を出て行った。

 俺もシャワーを浴びたかったが、一緒にシャワーを浴びることはできないので、寝室に入って裸になりバスタオルで体をよく拭いてから服を着た。


 タマちゃんを連れて食堂にいき、席に着いて3人が来るのを待った。

 テーブルの上のクロスはいつも通り真っ白で、色とりどりの花を生けた花瓶が少し先に置かれていたが、まだ16号も来ていないしもちろん料理は並べられていない。


 いつもの席で待っていたら、しばらくして着替え終わった3人が食堂に入ってきた。

「お待たせしました」

「すごい。タマちゃんが席についてる」

「高級レストランって行ったことないけど、こんなに立派じゃないし広くないよね」

 俺も高級レストランなんて行ったことないから立派さはわからないけれど、たった4、5人で学校の教室ほどの個室はないだろう。


「タマちゃんもちゃんと食事するから一緒なんだ。それで3人はこっちに詰めて座ってくれる」


 斉藤さんが俺の右前でタマちゃんの向かい。

 その隣が中川さんで、その向かい、タマちゃんの隣が日高さんになった。

 3人が席に着いたところで16号が見計らったようにワゴンを押して食堂に入ってきて、一礼して、今日の昼食をテーブルに並べていった。


 並べられたのは、ハヤシライスとレタスの上にトマトとマスの薄切りが載ったサラダ、それに野菜がたくさん入ったコンソメスープ。飲み物はグラスに入った水。グラスの表面には水滴がついているのでかなり冷たそうだ。


「それじゃあいただきます」

「「いただきます」」

「えっ! いまタマちゃんしゃべったよね」

「実はタマちゃん、ちょっと前から日本語を話せるようになったんだ」

「え、えー!」

「すごい」


 おしぼりで手を拭いて食事が始まった。タマちゃんも偽足をおしぼりで拭いたのだが、まあ、いいんじゃないか。


「このハヤシライス、お肉が一杯。……。

 何このお肉? 柔らかい。脂身じゃないし、牛肉のヒレ?」


 斉藤さんの疑問に16号に答えてもらうことにした。

「16号、ハヤシライスの中の肉は何の肉?」

「マスターにいただいたドラゴンのヒレの部分になります」

「ドラゴンにもヒレ肉ってあったんだ」

「はい。腰骨の下の辺りの肉になります。ドラゴンの大きさが大きさだったためヒレ肉もかなりの量採れています」


 今の16号の言葉を聞いた斉藤さんたちのスプーンが一瞬止まった。

「ドラゴンのヒレ」「ドラゴンのヒレ」「ドラゴンのヒレ」3人が順に『ドラゴンのヒレ』と呟いて、またスプーンを動かし始めた。

 この3人、すごく仲がいいよな。


 それはそうと、このハヤシライス確かにおいしい。ドラゴン肉がこういったライス物に合うということは大発見だ。これならカツに揚げてもおいしそうだ。あのドラゴンの大きさからいって一生モノの量がありそうだ。


 ハヤシライス3、スープ1、サラダ1の割合で食べていき、たまに水を飲む。

「マスター、お代わりはいかがです?」

「お願い」

「量は先ほどと同じくらいでよろしいですか?」

「うん」

「16号さんわたしにもお願いします」

「タマちゃんさんも同じ量でいいですか?」

「はい」


 最初からハヤシライスは全員同じ量だったから、斉藤さんたちには多かったかもしれない。

 今日もデザートは出るだろうから無理して食べなくてもいいと伝えた方がいいだろう。

「食べ終わったらデザートが出るはずだから、無理して食べなくてもいいから」

「うん。ありがとう。お代わりはいいけど、これくらいなら食べられるから」

「もっと食べたいけれど、お代わりはがまんしよう」

「わたしも、お代わりはがまんしよう」


 俺の心配は杞憂きゆうだったようだ。


 2杯目を食べて、スープもサラダも完食したらお腹いっぱいになった。

 斉藤さんたちも完食したようだ。

 もちろんタマちゃんも完食している。


「そろそろ、いいかな?」

「うん」「「お腹いっぱい」」


「それじゃあ、ごちそうさま」「「ごちそうさまでした」」


 16号が食器類をワゴンの上に片付けていき、お手拭きを配ってから一度ワゴンを押して食堂から出ていき、それ程間を置かずワゴンを押して戻ってきた。


 16号がワゴンからみんなの前にイチゴもりもりのイチゴパフェを並べていった。

 俺の農園の大玉イチゴのようでイチゴ自身はスライスされ、クリームのほかイチゴアイスとバニラアイス、それに抹茶アイスが入っているようだ。

 結構ボリュームあるけどすごくおいしそうだし見た目がきれいだ。

「おいしそー」

「食べるのがもったいないほど、きれいー」

「すごい。量かなりあるけど、絶対完食する!」



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