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第116話 専用個室2


 コンビニの入り口に置いてあったカゴを2つ持って店内に入っていき、おむすびの並んでいるコーナーで20個ほど個装されたおむすびをカゴに入れた。

 朝食用のサンドイッチと調理パンも目に付くものを10個ずつ。

 その後緑茶のペットボトルを15本かごに入れてレジに行き、現金で支払った。

 金色のカードは何だか使いづらいんだよね。

 派手過ぎるような気がして。

 まかり間違えれば、Sランク云々《うんぬん》と騒がれそうだし。


 これで、何日か買い物しなくて済む。


 大きく膨らんだレジ袋を持ってうちに帰った俺は、2階の自室に戻ってタマちゃんにレジ袋ごと収納してもらった。

 その後、レジ袋から指定の物をタマちゃんが出せるかどうか試すことにした。

「タマちゃん、緑茶のペットボトル1本出してくれ」

 すぐにタマちゃんの偽足が俺の手元に伸びて、俺の手のひらの上に緑茶のペットボトルが1つ渡された。


「次はおむすび2つだ」

 そしたらちゃんとおむすびが2つ、偽足から手のひらの上にボトリボトリと落ちてきた。

「じゃあ、昆布のおむすび1つ出してくれ」

 これは無理かなーと思ったけれど、受け取ったおむすびはちゃんと昆布のおむすびだった。

 タマちゃんの体内には目がついているのか!?


 とにかく、タマちゃんが超有能なことは分かった。

 出してもらったおむすびとペットボトルをもう一度収納してもらい実験は成功裏のうちに終了した。


 明日のダンジョンは個室のおかげで無駄な時間が省けるので朝7時から夕方5時まで潜れる。

 昼休憩30分とっても、9時間半近くみっちり頑張れるということだ。

 おっと、スポーツバッグに核を入れたままだった。


 下に下りて潰した段ボール箱とガムテープを部屋に持ってきて段ボール箱を組み立て、その中にスポーツバッグいっぱいに入っていた核を移して箱はクローゼットの中に突っ込んでおいた。

 1012個の核なので時価4億から5億はするはずだ。


 父さんも母さんもそんなものがうちにあるとは思わないだろうなー。

 その前に息子が40億の資産家だと知ったら驚くだろうなー。

 驚いて腰を抜かしても、俺のヒールですぐ治せるからいいか。

 



 翌日。


 食料、飲料の調達は昨日終わっているので、準備を終えた俺は玄関先から直接ダンジョンセンターの個人部屋に転移した。

 まずは、入出館用カードリーダーに冒険者証をかざし、次に、ダンジョン入出用カードリーダーに冒険者証をかざした。


 その後、ピッポパパと武器ロッカーのカギを開け置いていた武器類を装備していった。

 一度下ろしていたリュックを背負い直してからヘルメットを被り手袋をはめて準備オッケー。


 転移!


 俺は直接24階層の現場(**)に跳んだ。


 うーん。実に無駄がない。

 腕時計を見ると時刻はまだ7時5分。

 ディテクター×2!

 いるいる。

 今日は期待できるぞー。

 先週の日曜は武器も持たずに魔術だけでヒャッハーしたけれど、今日は魔術と大剣で魔法戦士だ。


 俺はサンドイッチを頬張りながら一番近そうなターゲットに向かって駆けだしていった。

 最初のターゲットはオオカミの一群。

 気持ちは魔法戦士だったが、口をもぐもぐさせながらウィンドカッターを2発撃っただけでオオカミの一群は全滅してしまった。

 クロを使うには左手に下げたスポーツバッグをその場に置かなくちゃならないし、魔術耐性のあるモンスターが出てこない限りクロの出番はないかもしれない。


 午前中いっぱい駆け回った結果540個の核を手に入れた。

 アリさんもいなかったし、クロの出番もなかった。

 河村さんに魔法より剣の方が得意とこの前言ったが、このまま続けていたら俺は低級魔術しか使えない大魔術師になってしまいそうだ。


 24階層の坑道の壁に寄りかかって座り込み、タマちゃんに出してもらったおむすびを頬張り、緑茶のペットボトルからお茶を飲む。

 たまに右肩に止まったフィオナにご飯つぶをあげる。

 日常だなー。

 俺にとっての日常ではあるが、誰にとっても非日常だ。


 まったりしながらペットボトルの緑茶を飲み干したところで立ち上がり、外していた装備を身に着けてディテクター×2を発動。

 俺は一番近そうなターゲットに向かって駆けだした。


 午後一のターゲットはクロヒョウだった。

 そいつが10匹ほど。

 見事な毛並みだが、回収する気などないので、ウィンドカッター2発連射したあと、まだ生き残っていた1匹にファイヤーアローを1発撃って、クロヒョウの一群は毛皮ごとバラバラになって全滅した。


 タマちゃんが処理して渡してくれた核の数は12個。

 これも俺だから簡単にたおせたが、12匹のヒョウをたおすとなるとたおせないわけではないだろうが大変だろう。


 氷川も10階層は何とかなるかもしれないが、さすがにこの辺りではソロは無理だと思う。

 とにかく10階層で活躍できるソロとなればそこらのSランク冒険者などよりよほど技能は高いだろうし、収益も高いだろう。


 氷川は近いうちにSランクになるのだろうが、10階層から下の階層を目指すのならやはりチームは必須だろう。

 この俺も、このままどんどん下に進んでいけば俺だけではどうにもできないようなモンスターが現れるかもしれない。

 その時はその時、それに相当先の話だろう。


 そんなことを考えながらも俺の頭と体は勝手にディテクター×2を発動し一番近いターゲットに向かって駆けていた。


 この日予定通り5時まで駆けまわり、午後からの4時間半で507個の核を手に入れた。

 午前の核と合わせると1047個。

 スポーツバッグのファスナーの開け閉めもきつくなってきた。


 個人部屋に戻った俺はヘルメットを脱いで手袋を外しダンジョン出入り用のカードリーダーに冒険者証をかざしてから武器をロッカーに収めた。


 それから核を買い取りしてもらうため、呼び出しボタンを押した。

 ボタンを押して2分ほどでカウンターの向こうの扉が開き係の人が入ってきた。

「よろしくお願いします」

「ご苦労さまです」


 さっそく俺はスポーツバッグの中から核を取り出しトレイの上に移していった。

 それを係の人が査定用機械にどんどん入れていく。


「今日もすごいですね」

 どんどん核がスポーツバッグから出てくるものだから係の人も驚いている。

 俺自身ですら驚いてるくらいだから当然と言えば当然か。


 この日の核の総数1047個、総買い取り額は5億1617万円。

 累計買い取り額は40億7310万600円+5億1617万円=45億8927万600円となった。

 100億円がはっきり見えてきた。


「ありがとうございました」

「どうも、それではわたしは失礼します」


 係の人が部屋から出ていったところで俺も空のスポーツバッグを持ってうちの玄関前に転移で戻った。

 いつも玄関前に転移で現れたり、転移で消えたりしているけど、不思議と父さんにも母さんにも目撃されていない。

 運がいいだけなのか、それとも転移の仕様的何かなのか?


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