8日目
「ティアさん、さっきから元気ないね。何かあったの?」ゲラが片付けをしながら、ティアに問いかけた。
ティアは少し困った顔で答える。「うん、ちょっとね……最近、精霊たちに怒られちゃってさ。片付けとか、いつも頼りっぱなしにしてたら、さすがに機嫌が悪くなっちゃったみたいで……」
「えっ?精霊に怒られたの?」アヤが驚きながら聞いた。
ティアは苦笑いしながら説明を続けた。「うん、片付けは全部風の精霊に任せてたんだ。ゴミは火の精霊にお願いして燃やしてもらって……でも、ある日急に、精霊たちがピリピリした雰囲気になっちゃってさ、もう手伝ってくれなくなっちゃったんだよね。」
「精霊たちが怒ってる雰囲気か……それは大変ね。」エリスが冷静に分析する。
ティアは小さくうなずいた。「うん、私も反省してるんだけど……どうしたら仲直りできるか分からなくて。」
ゲラは少し考え込んだが、ふと笑顔で言った。「でもさ、精霊たちが怒ってるってことは、ティアさんに期待してたんだと思うよ。いつも力を貸してたのに、さすがに疲れちゃったんじゃない?」
「そうか……精霊たちも疲れてたのかもね。私、いつも無理させてたかもしれない。」ティアは考え込み、少し肩を落とす。
「そうだよ!だから、今度はちゃんとティアさんも手伝ってさ、精霊たちに無理させないようにすれば、きっとまた力を貸してくれるよ。」ゲラは元気よく続けた。
アヤも微笑みながら、「精霊たちも、ティアさんのことを見捨てたわけじゃないと思うよ。気持ちを伝えれば、きっと分かってくれるよ!」と励ます。
ティアは少し考え込み、照れくさそうに肩をすくめた。「うーん、そうだね……片付けくらい、自分でやらなきゃダメだよね。でも、精霊たちにまた無理させちゃう前に、ちゃんと謝らないと。」
「それでこそティアさん!」ゲラはティアの肩を軽くポンと叩きながら笑った。「でもさ、まずは少しずつ片付けていけばいいよ。私たちも手伝うからさ、心配しないで!」
ティアは安心したように、ゲラに笑顔を向けた。「……ありがとうね。なんか、一人で悩んでたけど、みんながいるってわかると、ホッとするね。これからも一緒にいられたら、もっと頑張れる気がしてきたよ。」
エリスも静かに微笑んで頷く。「そう、無理せず自分のペースで。私たちは仲間だから、助け合って進んでいけばいいわ。」
「……そうだね。私も精霊たちとももう一度仲直りして、ちゃんと力を借りられるようにするよ!それに、みんなの役に立ちたいし。」ティアは胸を張ってみせたが、ちょっと照れている様子だった。
「おお、頼もしいね!」ゲラが元気よく笑いながら応援すると、ティアもつられて笑った。「よーし、これからは少しずつ頑張るぞ!」
「その調子!」アヤも元気よく返す。
「じゃあ、まずは精霊たちにきちんと謝って、仲直りしよっか?」エリスが穏やかに言うと、ティアは力強くうなずいた。
「うん、精霊たちにもしっかり謝って、片付けくらいは自分でやれるようになるよ!これから、よろしくね!」ティアは元気に手を差し出した。
「もちろん、よろしく!」ゲラたちも笑顔でティアの手を握り返した。
「よーし、それじゃあまずは片付けからだね!」ティアは自信満々に、鍛冶場の一角に積み上げられた道具を手に取った。
「任せて!片付けもちゃんとやれるようになるよ!」
ところが、次の瞬間――。
「わぁっ!」ティアが手に持った道具が滑り、見事にバランスを崩してしまう。そして、ドミノ倒しのように鍛冶道具が床に次々と倒れ、ガシャーン!と派手な音が響き渡った。
「うわぁっ、またやっちゃった……!」ティアは恥ずかしそうに顔を赤くして、慌てて散らばった道具を拾い始めたのだった。