兄貴たちの旅立ち
いつもの起床時刻より少し早い時間。
向かいの2段ベットから朝支度の音が聞こえてきた。
そう今日は兄貴分2人が卒業をかけた遠征へと向かう日だった。
比較的安全な地帯ではあるが立ち入りが禁止されている地上で1月間サバイバル訓練をしたら卒業が決まるのだ。
上の段に寝ているカイアルが上から俺を覗いてきた。
「おい、起きてるか?」
「あぁ、いま起きたよ。」
「ふたりともいっちまうんだなぁ。」
「なんだお前寂しいのか?ガキだな」
「お前の方が1つ年下だろ。」
そんな喧嘩をしている時兄貴分2人は俺たちが起きたことに気がついたのだろう。
「おはよう。二人共。少しの間いなくなるけど、無茶はしちゃダメだよ?授業もちゃんと出なきゃ。わかったね?」いつもの優しい顔でカミエルが俺たちを覗きこんだ。
「何言ってんだよ、いつかは俺達もこのちび共を置いてここを出なきゃならねぇんだ。大丈夫に決まってらぁ」
ニカッと笑いながらソラスがカミエルの背中を叩いてるのを見てほとんど親の愛情に触れたことがなかった俺は少し2人がいなくなることが寂しくなった。
起床のチャイムとともに兄貴分2人はを見送るため大広間へと俺とカイアルは降りていった。
そこに既にはたくさんの最上級生がいて、それを見送る妹分弟分で溢れかえっていた。
上官が到着し何やら注意事項を話して2人はここロウストーンを後にした。
最上級生がいなくなったロウストーンはかなり静かで1ヶ月の休暇期間に入っていた。
俺とカイアルは毎日のように街に出ては
ある日はガキ大将と
ある日はチンピラと
ある日はいちゃもんつけてくるおっさんと
毎日毎日喧嘩をして生傷が耐えない生活を送っていた。
そんなある日だったいつもと変わらずに街をうろついていると街中に聞いた事のない警報音が鳴り響いた。
何事だと思いロウストーンへと帰ると最上級生が担架でたくさん運ばれてきた。どうやらサバイバル訓練中、上級魔獣マンディエゴが現れたらしい。
けが人の手当に回れと言われ怪我の軽い人の手当をして回っていると
「……ごめん。本当にごめん。お前の大切な兄貴を俺が殺しちまったんだ」
何を言っているのかよく分からなかった俺だっがそれを聞いたカイアルが俺の腕を引っ張った。
走り出したと思ったら病棟一角に立ち入り禁止の札が着いた部屋があった。
鍵が掛けられていて開かない。
思いっきりドアを蹴ってみると、かなりあっさりとドアが開いてしまった。
その先にあったのは、
「兄貴っ」目を見開くより先にカイアルが飛び出していた。
血だらけになりふたつ並べて置かれているベットに寝ているのはおそらく、いやきっと、もしかしたら、信じたくないが、どこを探してもいなかった俺たちの兄貴分2人だろう。
頭の前が真っ白になった。
なんとかカミエルは意識があり話せるようだったが片腕片足がなかった。
ソラスはというと頭からの出血がすごく意識がないようだった。
嘘だと言って欲しかった。
ジャスとカイアルは兄貴達に本当に憧れていて血は繋がってないけど本当の兄貴として尊敬しています。