マメ
「あー、久しぶりに糖分取ったぁ」
大好きなキャラメルを一口食べた彼女は満足気に眠たい目を擦った。
「もう少し、寝てた方がいい。まだ少し熱ぽいから。」
彼女の額を触るとまだ少し熱を帯びていた。
濡れたタオルでも掛けてやろうと席を立つと、不意に彼女に手を握られた。
「…行かないで。」
かわいぃ。もう、可愛すぎた。天使かと思った。いや、女神かもしれない。
絶対どこにも行けなかった。
握られた手を握り返し
「どっか行けって言われても、絶対行かないから。」
少しふざけて彼女の額に口付けし俺は椅子に座り直した。
しばらくすると規則的な寝息を立てて彼女が夢の中へと入っていった。
長いまつ毛から高い鼻、薄い唇、少し日に焼けた肌がなんとも可愛らしかった。
繋がれた手を撫でていると、何個も何個も手にマメがあるのがわかった。
養成所にいれば少なからず剣を握ってできたマメができるが、彼女のはそんなのと比にならないほどの数があり、年季のある硬い皮だった。
可愛い顔をして眠っている天使は地上でどんな顔をして戦っているのか俺は全く知らなかった。
「お疲れ様。頑張ったね。」
そう言うことしかできなかった俺だったが
きっと昔から弛まぬ努力をしてきた事はしっかりとわかった。彼女がより愛おしくなった。
彼女が眠ったあと俺もまた少し眠りについた。
目を覚ました頃には俺たちの手は繋がれていなかった。
もうすぐ2人は18ですからねぇ。
もう少し大人な関係になりたいと思い始めちゃいますよねぇ。