奪還せよ。
「お久しぶりです。カイリーン様。」
「そんなかしこまらなくても全然大丈夫だよ。」
そういうと人形の様な顔は笑った。
「いきなり呼び出してごめんね。
結構早い段階で状況が進んでいるんだ。」
「今起きている火事もですか?」
「お見事。もうその話も知っているのか。」
「ジャスが飛び出していきましたから。」
「ははっ、それは申し訳ないことをしたね休暇は1ヶ月あったはずのに僕が呼び出しちゃったから」
そう言って反省する色もなく彼は笑った。
「お話とはなんでしょうか。」
「よく聞いてくれたね。俺は地上奪還派閥に賛成なんだ。だが、現王を含め第1第2どちらの王子の3人は奪還は反対らしくてね。」
現王が奪還作戦を反対?私達はなんのために地上へ出ているの?
「私にそのような話をしても意味はありません。」取り乱してはダメだと思い冷静を装った。
「じゃあ、簡単に言うよ。君に地上を奪還して欲しい。」
「お言葉ですが、今私を含め異名を持った戦士は10人おります。そのうち討伐隊ダイヤに所属しているのは6名。私じゃなくても他の人がいらっしゃるはずです。」
前回初めて外に出た私よりもほかの人がいるはず。
「君じゃなきゃいけないんだ。
あと君を含めダイヤで異名持ちは5人だ。」
「申し訳ありません。私の裁量では決めかねます。」
5人?私が資料を見た時は確実に6人だった。
「君、養成所を歴代3位で卒業したらしいよ。君なら出来るかもしれない。」
空気が冷えてきたことがわかった。
もう食いさがれない。
「…守ってもらいたい約束があります。」
「いいよ。なに?」
「大切な人たちの安全を約束して頂きたいと思います。」
「大切な人?」
「私の育ての親ご師匠とジャスです。」
「ご師匠…あぁ、誰かわかったよ。きみのことはかなり調べたからね。あと、ジャスは必ず守るよ。彼は俺の親友だから。」
「ありがとうございます。」
「ねぇ、なんでジャスなの?そんな短期間で恋ってできるもん?」
そんなの自分でだって分からなかった。
ただピンチから救ってもらっただけと言えばそれだけだ。
でも彼にはなんとも引かれる思いがあってやっと出逢えたと思ってしまう。
「理解できないそれが恋なんですよ。」
自分でもよく分からないまま口走っていた。
彼はかるく鼻で笑い私を退出させた。
それから私は、訓練開始までの残り時間彼の用意したホテルでひたすら王族のみが知る隠された歴史を学んだのだった。
ラーナーはジャスの何にそこまで惚れているのか、そこを大切に見て貰えたら嬉しいです