金色の襲来
朝目覚めると隣には彼女がいなかった。
うわっ、どこいったんだよ…と思っていると、ガチャりと家のドアが開いた。
「おはようジャス!朝から走ってきたの。
気持ちよさそうに寝てたから置いていちゃった。」そう笑いながら言う彼女は依然として眩しくて、愛おしかった。
「おはよう。シャワー使っていいから。今日どこ行きたいか決めた?」
そういうと彼女は風呂場へ向かい
「んー、色々考えたんだけどね。今日はこの街でゆっくりしたいなぁって思ったの。」
なるほど、そうきたか。ここは唯一陽のあたる場所だけあって植物や動物がほかよりかなり育つから畑や牧場がほとんどだった。彼女は本当にそれが見たいのだろうか…。
「…本当に?何も無いけど。」
「いいのよ、あなたが暮らしている世界に少しでも染まりたいの。」
なんて言うからもう街を案内するしかなくなってしまった。
午後から牧場へ行って初めてアイスクリームを食べたり、生キャラメルを買ったりして楽しく過ごして家に帰ってくると、家の前に人影があった。その影は振り返ると同時に俺に声をかけてきた。
「よぉ!どこにもいないと思ったら、ん?その子もしかして最高の逸材さんか?」
眩しいくらいの金髪がぴょこぴょこと話しかけてくる。
「…初めまして。」冷たそうに返す彼女に思わずカイアルは苦笑いをしていた。
「おいおい、家に来るなら連絡しろぉ。」そういうと、ごめんと笑いながら家に上げろと要求をしてきた。
お茶を出したところで口を開いたのはラァだっだ。
「あのぉ、普段は何をしてらっしゃらるのですか?」
「…あ?俺?俺はパールをやってるんだ。」
「文官って私たちが帰ってきた時がいちばん忙しいって聞いたんたですけど、」
「あぁ、文官って言っても俺の所属は構図を見て攻め方や戦い方を支持するダイヤの司令塔だから、」
「なるほど、ダイヤの最高位とともにお仕事なさってるんですね。では、なぜダイヤに所属しなかったんですか?」
「ふふ、君は勘がいいねんー、仕方なくかな。俺が尊敬してた兄貴はすごく賢くてずっとパールをめざしてたから、俺もずっと憧れてたんだよ。」
「…なるほど。」
話が一段落したところで俺はカイアルをラァに紹介した。
「こちら、俺の相棒。昔からずっと一緒にいるロウストーン時代の友人カイアル・ブルースター。」
「よろしく。」整った唇が綺麗な弧を描いた。
「いきなり質問ばかりした無礼をお許しください。ラーナー・アッシリアです。どうぞよろしく。」こちらもまた薄くピンク色の整った形をした唇の口角を少しあげた。
「今日はもう退出しようかな、次来る時は連絡するよ。邪魔してしまって申し訳ない。」
そう言ってカイアルは帰っていってしまった。
「あ、これ忘れてる。」振り返ると白い手袋が机の上に置いたままだった。
「届けてくるからラァはちょっと家にいて。勝手に出ていったらダメだよ?」
「私少し無礼な態度を取っちゃったから私が渡しに行きたいんだけどダメかな?」
…まぁ正直あんな奴に無礼とかどうでもいいとか思ったが彼女から言い出したのなら許可をするしか無かった。
俺はいっとう彼女には甘いようだ。
「んー、まぁいいよ。気をつけてね。」
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