見上げていた母の顔
ブリキの馬を並べて先輩と走っていると、
「おい、ジャス。良かったな。」
そう先輩が呟いた。
「何がですか?」この人はどこまでわかっているんだろうと思った。
「なんとなく、お前のことが知れたと思ったよ。」そう言って不器用そうに微笑み続けた。
「お前が持っている魔法石でお前の位置情報を追跡してたら、お前を成長した眼差しで女性が見てたんだ。そりゃ気づくさ。」
「先輩に子供の成長を見る親の眼差しがわかるとは思いませんが。」
「よく言ってくれるな、俺にだって少しくらいはわかるさ」と言って先輩はガハガハと大笑いをした。
そうか。
気が付かなかったがあの時すでに母親はきっと俺をわが子だと気がついていたんだ。と思った。
「先輩。俺ここの任務は嫌です。」
「…そうか。」そう言いながら2人で駐屯地へと向かった。
「おかえり!小僧!目を離すとすぐこれだ。お前をみんな待ってたんだぞ。」隊長は勇ましく俺の頭をわしゃわしゃとした。懐かしい気持ちになりながら、帰り支度を命じられたので荷造りを始めた。
実はジャスにつけられた追跡魔石には通知をオンにすると話をすることが出来る機能が着いています。
通話機能を知らなかったジャスはずっと通話機能をオンにしており、共に研修へ来た8人の仲間たちに、母親との会話を聞かれてしまっています。
誰も何も言いませんが、、。