兄貴の絆
お腹を満たし、俺ら4人は自分たちの部屋605室へと戻った。
2段ベットが壁にくっついて向かい合い。クローゼットがひとつと勉強用の机が4つ並べられただけの簡素な部屋だったが、そこで俺たちは3年間過ごしてきた。
消灯時間まで各々がしたいことをいつもしていた。今日もカイアルはカミエルへ勉強を教えて貰っていて、俺は筋トレをしているところだった。
どこかに行っていたソラスが帰ってきて手に持っている手紙を机へと閉まっているのを見た。
普段なら俺と一緒に筋トレをしたり、最近実習で行っている巡回訓練の話を面白おかしく話してくれたりするのだが今日はなんだか静かだった。
そんな彼を気にしたのか、最初に口を開いたのはカミエルだった。
「ソラスどうした?何かあったの?」
その言葉に教科書に釘漬けでソラスの様子に全く気が付いていなかった愚弟カイアルも顔を上げた。
「……いやぁ。その、ティアナからその。ほら、ちょっと……」
何か言いにくそうだったソラスにカミエルが告白された?」と言った。
まだまだガキな俺とカイアルは兄貴の恋愛模様にドキドキし小っ恥ずかくなってしまった。
「まぁ、そんなところかな。」
「そっか、まぁティアナはソラスのことよく目で追ってたし、もしかしたらって思ってた」そう言っていつものように甘い顔で笑ったカミエルが一瞬悲しそうだなと思った時
「え、ティアナさんてあの、1番可愛いで有名な!?」そう言い出したのカイアルだった。
「いやぁ、それはよく分からないけど。そう言って恥ずかしそうに俯くソラスはきっと、ティアナさんのことが好きなんだろうとガキなりにに俺は思った。
「ねぇ、じゃぁそのソラスはティアナと恋仲になりたいってこと?」
少し鋭そうに聞くカミエルに俺たち弟分はこれ以上聞いてはいけない気がして洗濯物を出すのを忘れていたと言ってカイアルと二人部屋を出てしまった。
「ねぇ、付き合うと思う?」
ランドリー室まで別に今運ぶ必要のない量の洗濯物を持ちながら歩いている時カイアルに話しかけると、
「ソラスに人を振ることが出来るのかな……」と返事が返ってきた。
ソラスは優しい。確かに本当に優しいんだ。
なぜだか分からないが、兄貴が取られた気がしてあまり喜べなかった。
ご愛読ありがとうございます。
裏話ですが、ソラスはかなりモテますが本人はあまり気にしていないため告白された回数はいつもみんなに優しいカミエルの方が圧倒的に多いです。
カイアルとジャスは告白されたことがありません。