最果ての地サーファス。
夢のような昨日が過ぎ去り彼女は3ヶ月間の強化遠征に出かけて行った。
俺は初日から警備に必要な研修を1ヶ月うけることになっている。
「初めまして、ジャス・バーナーです。」
「おう。新人よろしくな。」
こんなふうに歳を重ねられたら…と思うほどたくましく優しそうでそれでもって強そうな40代くらいの男性が俺の教育担当だった。
「俺はハイラスこの街の警備隊の隊長だ。お前は上位者らしいから俺が直々に担当となった。即戦力になってくれることを楽しみにしているよ」
そう言って彼は目尻のシワを深めていた。
元々成績上位者はパールかダイヤどちらかの隊に入隊するため、6位で俺はアメジストの主席だった。
研修が始まって3週間目
研修内容は訓練を全面的に警備方向へ全振りしたかのような内容で俺も同時に入隊した同期たちもかなりノルマをこなせるようになっていた。
「おーい若造ども集まれ」そう隊長から招集がかかり集まると
「いいか、今日から実際に街の警備に回ってもらう。1人に対して先輩1人着くことになっているから安心しろ。」
そう言われそれぞれが地帯を割り振られた。
「おい、俺たちははここだファーサスへ向かう」隊長に地図出場所を指さした。
「いいか、お前らは若造の中ではまぁ刃が立つ方だ。難関区域を割り当てた。サーファスは無法地帯に等しいエントタッドの一つ手前だ。心して挑むように」普段穏やかな隊長の顔が少し引き締まり俺を含めた4人の新人は最果ての地と呼ばれるファーサスへ向かった。
「先輩…サーファスってやっぱり最貧街の隣ですし治安悪いんですか?」同期の1人トラベルが自分の教育担当に恐る恐る聞いていた。
「たしかに、新人が警備するには大変だが最貧街よりは全然いいはずだよ。」そうなだめるようにトラベルの上司は返していた。
…最貧街エントタッド。薄々気がついてはいたが、俺が育ったところはこの国ではタブーな地域らしいかった。
ブリキの馬たちが止まった。
今からサーファスに入る。心するように。そう声が前の方で聞こえた。
馬を進め中に入ると、街並みは思ったよりも荒れてはいなかった。
やはり、俺たちが訓練をしていたところに比べれば薄暗かった。
「…やっぱり。光石よりも松明の方が多いですね。」
「あぁそうだな。火事が起きたら終わりだ。」
そんな会話を聞きながら馬を進めた。