WEDDING 1
アブソリュートゼロでデブハーピーは廃天使。
大天使ミカエル様なら、なんとかしてくれるだろう。影法師が回収。
「ベル姉、終わったよ。」
「こっちも終わったわ。おかしな武具を使うもんだから結構、時間がかかっちゃっ
たわ。」
「カエデちゃん、武具は頂いていいの?」
「いんじゃない。セラフィックウエポンなんてどうするの?」
「クランの皆に配るの。」
「劣化版とは言え、普通の武具より良さそうよ。」
「成程。オマタに持ってきてくれれば使い易いように改良するよ。」
「ありがとう、助かるわ。」
「街中のお祭り騒ぎは終わったかしら?」
「どうだろう?終わってなかったら加勢しなきゃ。カモナ、更地にして。」
「かしこまりました。」
「ゴロウさん、森の追加で。」
「よしきた!」
「容赦ないわね。」
「いいのいいの。空島に引っ越すみたいだから。」
「空島だって迷惑でしょうに。」
「ペルセウスが何とかするでしょ。明日の準備もあるだろうから送ってくよ。」
「大丈夫よ。皆、転位ができるようになったから。」
「了解。僕は後片付けをする。」
「明日、遅刻しちゃだめよ。」
「神楽勢は着いてるの?」
「着いてるわよ。母さんとお婆様達は松月に行ったわ。」
「うちの母親達も嬉々として街に繰り出して行ったわ・・・。」
「こりゃもう終わってるよね。」
「父さん達は最終の打合せをしてるわよ。ゼウス様と。」
「・・・・・。」
「ただいまー。」
「お疲れ様でした。みな、リビングに居ます。」
「やっぱ終わってたか。」
「お疲れー。」
「お疲れ様です。」
「早かったね。」
「い、いや、ツバキ様とツムギ様。それとマリア様とボタン様が・・・。」
「・・・何かごめん。」
「傭兵達は収容所に入れた。レベッカさんとヒムラ様が面接するそうだ。
残党が居ないか大将達が見回ってる。」
「アレクサンドル家は?」
「ゴロウさんが森にしてる。」
「・・・・。」
「あっという間でしたが勉強になりました。」
「勉強に?」
「はい、隠れて動いてたんですが皆様を見てるとあえて姿を見せる事で相手の
戦意を奪う事もできると。」
「・・・・。」
「皆、笑ってたよ・・・。俺は正直怖かった・・・。」
「ボルタママだってそうだろ?」
「まあそうなんだけど、格が違う?特にツムギ様・・・。」
「婆ちゃん、何したんだ・・・。」
「とりあえずは終了だな。」
「傭兵隊は未遂ですので軍部と魔導院の希望者が居れば引き受け、それ以外の
方は冒険者を勧めるそうです。」
「傭兵って戦争がないと開店休業ですから。」
「冒険者のレベルアップにはいいんじゃない。兄弟子が忙しくなりそうだけど。」
「天使族はどうするんだ?」
「神界の方の結婚式でミカエルが仕掛けてくると思うから、その時に直接話して
引き取りに来てもらうよ。」
「えっ、ミカエルってあのミカエルですか?」
「そうだよ。なんかクジャ姉に言い寄ったみたいでさ、クロ兄にぶっ飛ばされた
らしいよ。」
「あの・・・随分と俗物的な大天使なんですね。」
「ミカエルは、う~ん、そうかも。」
「明日はどうしますか?」
「伯爵達は席が用意されてるから会場に直接来て。あっ、大人バージョンでね。
神界の方はどうなんだろう?」
「俺、大将、キリコ、ヒカミ、スズメが参加だ。」
「私、バッコス様と料理担当です。」
「ヒカミ、すまないね。はぁ・・あと2日、がんばろー。」
「お前ら普通にとんでもない話、してないか?」
「ボルタ、慣れだよ慣れ。」
「いやだってアトム、神界とか言ってるんだぞこいつら。」
「あれだよ、ここにいる連中はカエデ以外ははぼ神だから。」
「そう聞くと逆にカエデって何?ってなるよな。」
「まあそれも慣れだね。」
「ボルタ、今日のギャラ振り込んでおくから。白金貨1枚だけど。」
「慣れるか!何だその金額!」
「ボルタ、将来なんになるかわからないが金はいくらあっても困らないし
絶対に必要な物だ。世の中のほとんどの事は金で解決できるんだぞ。」
「だろうけど・・・。」
「ボルタ、気持ちはわかります。私達も最初はそうでした。増えていくお金に
戸惑いしかありませんでしたよ。」
「つまり?」
「慣れるしかないのです。」
「やっぱそれー!」
「じゃあ2日間申し訳ないけどよろしく。」
僕はガーネットの屋敷に戻る。皆に挨拶はしておきたい。
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ。」
「みんなは?」
「食堂にいらっしゃいます。」
「ありがとう。」
食堂へ行くと一族が勢ぞろいして酒を飲んでいた。濃いなあ・・・。
「おうカエデ、ご苦労だったな。華から話は聞いた。」
「シュリ叔父さん、久しぶり。」
「少し大きくなった?」
「ボタン先生、いよいよ成長期に突入だね。」
シャングリラのソーマを追加する。
「これは何だ?」
「シャングリラのソーマだよ。バート叔父さん。」
女性陣の動きが止まる。
「シャングリラって桃源郷の事かしら?」
「そうだよ、マリア先生。」
「本当にあるのねえ・・・。」
「気を付けてね、飲み過ぎると若返るから。」
「アホか!」
女性陣は嬉々としてソーマを飲みだす。
「カエデ。」
「何?ツムギ婆ちゃん。」
「強いの?」
「いや、何の基準?」
「桃源郷って崑崙山にあるんでしょ?」
「まあそうだけど。婆ちゃん、八仙は知ってる?」
「お伽噺では知ってます。」
「そいつらが居るよ。仙人は僕らとはちょっと違う理で存在するから。」
「強いのね。」
「箱庭クラスだよ。」
「行ってみたいですねえ・・・。」
「ちょっと、爺ちゃん!」
「ははは、ツムギと僕は箱庭で過ごす時間も多くなったからね。この歳でレベル
が上がるとは思ってなかったよ。」
「修行でもしてるの?」
「師匠に会う機会が増えたよね。シュリも鍛えてもらってるし。」
「私は神刀の皆さんが暇してますから相手をしてもらってます。」
「まじで?」
「ええ。女性陣みんなですね。」
「えっ!」
「私、最近刀術にはまってるの。」
「すさまじいわね、神刀の皆さんは。」
「カエデちゃんがあまり使わないから。」
「いやいや、僕は学生だよ。ゴブ刀やゴブ剣で十分だよ。」
「そういえば、流行ってるって聞いたな。」
「ああ、皇女から。」
「何なのゴブ刀、ゴブ剣って?まあ、想像はつくけど・・・。」
「ゴブリンのクズ鉄が材料の武具。僕が所属するクラブで売ってるんだ。」
「楽しそうね・・・。」
「ボルタからカエデちゃんのメインはモップって聞いたわよ。」
「授業の時はそうだね。っていうか掃除のおじさんに怒られるから今は
ちゃんと棒だよ。」
「お前、学園で何してんだ・・・。」
「父さん、明日のトラブルは?」
「やめてよカエデちゃん、トラブル前提なのは。まあ傭兵達は捕まえてもらった
し大丈夫じゃないかな。強いて言えば客が多い事だね。」
「雷帝や貴族たちか・・・護衛も居るね。いっその事、式が始まったら会場を
結界で包んじゃおうか?」
「お願い。」
さて僕は明日に備えて、風呂入って寝よう。ここまで来ると後はライブで
処理するしかないしね。
バート一家、シュリ一家も久しぶりの家族団欒だろう。
翌朝バート叔父さんとのんびり朝食。シュリ叔父さんは料理の指揮で既に居ない。
女性陣はさすがに身支度に忙しい。
「カエデ、ガーネットの学園が来春から始まる。」
「生徒は集まるの?」
「いや、少数だろうな。帝都の学園の分校という扱いだが私塾に近い。
年齢制限も設けないで学びたい者が誰でも学べるようにする。」
「その方がいいね。」
「それで頼みがあってな。教師の派遣を依頼したい。」
「箱庭に?」
「そうだ。より専門的な知識を教えたい。」
「了解。箱庭の連中に相談してみる。僕は転入できないかな?」
「こちらとしてはカエデが居てくれれば助かるが、話を聞くと帝都もカエデが
居ないと困るんじゃないか?」
「大丈夫だよ。クロ兄達が居るし学園は黄金の世代が中心になっていくだろうし
ばたばたが終わったら父さんに相談する。」
「わかった。」
ガーネットは更に人口が増えもはや帝都に次ぐ第二の都市に成長した。
森は森で箱庭の影響もあり広がってるらしい。エルがうまくやってくれてると
の事。戻るのが楽しみだ。
会場まではさすがにジープではなく豪華な馬車。その辺は様式美なんだろうな。
正装はしているがキリコ製なので全く苦にならない。
到着して会場のでかさに驚いた。ガーネットとタチバナの使用人の人達が
忙しく飛び回っている。神関係は居ないが雷帝派の貴族達がわんさかと
押しかけてきている。宰相の長男の結婚式だ致し方あるまい。
警備の指揮はバート叔父さんと将軍がとっている。
あっ、うちの女性陣の化けっぷりはすごいよ、基準は知らんがアフロディーテ
クラスだろう。クラブの連中も控えめなドレスながらとても美しい。
スズメがメガネを外しているが大丈夫なのか?言い寄られても知らんぞ。
僕は会場全体に結界を張るべく動き出す。通常の結界ではなく陰陽結界だ。
六芒星の位置にお札を設置していく。もちろん姿は隠してるよ。
子供も結構居るからね。
ミカエル関係は大丈夫だろうけど、トライガンが動いたりしないだろうな?
ヒカミが半分以上凍らせたから、まだ動けないとは思うけど。
よし、オーケー。これで式は始まれば発動できる。
伯爵達には念話で知らせてある。
「カエデ様。」
「あっ、キョウちゃん。どう?慣れた?」
「はい、お二人にはよくして頂いてます。」
「今日はよろしくね。」
「すぐに動けるように別室で控えております。」
自分の席に戻る。隣は美しいベル姉、僕の感覚だと中学生なんだけど
プロポーションといい雰囲気といい子供のそれではない。まあ、神だけど。
大人バージョンも知ってるが、アホな神共は要注意だ。ちょっかい出してくる
奴はその場で消滅させてやる。
「カエデちゃん♡、考え事?」
「う~ん。父さん、ベル姉にちょっかいだしてくる神や貴族は消していい?」
「いいよ。」
「いいわけないでしょ!始まるわよ。」
おっと、結界を発動させねば。祝詞を呟き・・・
「呪結。」
僕が使える結界の中で最も強力なやつだ。
「カエデちゃん♡、今とても物騒な印が聞こえたんだけど。」
「ベル姉、この結界に触れると呪いがかかるんだよ・・・。」
「・・・・。」
柔らかい音楽と共に2人が入場してきた。会場がどよめく。
クジャ姉が美しいのはもちろんだが、クロ兄もいつもの穏やかな感じではなく
キリッとした感じだ。ちょっと神気が漏れてますがな・・・。
「あれね2人とも緊張してるのね。」
「すごいねえ、キリコもいい仕事してるよ。」
母さんは既に号泣している。
2人は腕を組んで神父の前へ・・・えっ・・・。
「ちょっと父さん、あれゼウスじゃん!」
「いや~ゼウス様のたっての希望でね。1度やってみたかったそうなんだよ。」
「アテナは?」
「クロスも現時点で既に神だからねえ、加護を与える側なんだよ。」
「そりゃそうか。」
ゼウスが2人に何か言ってる。2人は頷いて来賓の方を向く。
2人を中心に柔らかい光が会場を包む。加護じゃん!
普通の人間には効果は知らんが加護が付いただろう。神格持ち以外の人達は
ホワワ~ンとしている。帝都自体インドラの加護が強いから軽いものだと
思うけど。指輪という神器を交換し2人は晴れて夫婦だ、おめでとう!
こっからは宴会、クロ兄達への挨拶が始まる。最初は雷帝だ。
クロスは自分の息子にしたかった等々、いつも思うがこういう時の雷帝は
超カッコイイ。これも才能だな。
シュリ叔父さん監修の超豪華な料理の数々が華やかな雰囲気を更に盛り上げる。
うっめー!明日のヒカミとバッコスの料理も楽しみだよね。
今の所、侵入者もなしだ。母さんはずっと号泣しててツムギ婆ちゃんに
こずかれている。




