BOSS
途中、魔導師軍とのバトルをはさみティータイム。ヒカミ特製ジュースだ。
「ふぅ・・・まさか複合魔法まで使ってくるとは。本気で殺しに来てるな。」
「流れ的にはボスはリッチになりそうな予感。」
「今のバトルでロッドとか杖とか、かなり回収できたよ。疲れたけど。」
「ここまでにしとく?」
「ボス部屋を覗くくらいはしておこう。」
「そうだね。」
ティータイムを終えダンジョンに戻る。完全ではないがヒカミの特製ジュース
のお陰で魔力もかなり回復した。
「おい、何か前の方にお洒落貴族みたいなガイコツがいるぞ。」
「ああ、あれはやばそうだね。」
「あのレイピアは・・・。」
「知ってんの?カッコイイけど。」
「裏オマタをくすぐるデザインだな。」
「裏オマタってどこだ?って気になるよね。」
「ブラックフォックス。教会にも暗部みたいな組織があったろ?」
「ああ、あいつらか。確か赤魔導師って呼ばれてたよね。」
「赤?」
「奴らが関わると血の雨が降るって恐れられてるんだ。」
「それでか・・・。」
「その中でもクレセントと呼ばれるリーダー格が居てね、グングニルの
レプリカが多いんだけど数人レイピアを使う奴も居たんだ。」
「それがあれだと?」
「さすがに本人じゃないと思うけど。あのレイピアほすい~。」
「うちにレイピア使いは居ないだろ。」
「居ないけど裏オマタに飾りたいじゃん。これから居るかもだし。」
「まだ誰か連れてくる気か・・・。」
「あっ、手招きしてる。早く来いって感じだね。」
「満々だな。どうしよう?」
結局、じゃんけんをしてアトムが負けた。
「強いんだよな~、鎧着ていい?」
「オーケーオーケー、魔法にも注意してね。」
ぶつぶつとアトムが何か呟いた。途端に魔力が跳ね上がった。
「何だあれ?魔力が跳ね上がったぞ。」
「少し魔力を開放したんじゃない。」
「あれで少しか・・・。」
「正真正銘の神だからねえ、抑えないと神気が漏れちゃう。」
「そりゃそうか。という事は他の連中も?」
「そうだろうね。」
「まじ神ってエイル、ザイル、アトム、ミナミの4柱か・・・。」
「そうだね。おっ、始まるよ。カーボンソードで行くのか。」
「クレセントがびびってないか?」
「そりゃあ格が違いすぎるよ。アトム5パーセントでいんじゃない。」
びびった拍子にガイコツが先に仕掛けてきた。おお、9連突きだ。
「速い!」
「終わったよ。」
「えっ?」
ガイコツの首から上が爆発した。次の瞬間にはブラックフォックスを持った
アトムが隣に居た。
「ゲットしたよ。」
「お疲れー。」
「すげっ。」
「エクスプロージョン使えたっけ?」
「最近、残光に教えてもらったんだよ。カーボンソードが1発で駄目に
なるけどね。」
「成程。さて次あたりはいよいよボス部屋かな。」
少し進むと広場に出た。ボス部屋前のセーフティゾーンかな。
「誰か居るね。」
「うちの奴らだ。」 チームデルタのようだ。
「お疲れー。皆は?」
「順番待ちです。」
「デルタが最後?」
「そうです。ベータが入ったばかりです。」
「そっか、じゃあお茶にしよう。」
「はい!」
「カモナ、お願い。」
「かしこまりました。」
アースコントロールでテーブルと椅子を作る。さすがにケーキを食べてる時間は
ないだろう。カモナがお茶請けにマロングラッセを出してくれた、さすが!
「上品な甘さですねえ・・・。」
「優、静と幸にも持っていってあげて。」
「はい、喜びます。」
「ボス部屋の前とは思えんな。」
「そうだね、マロングラッセ美味しいけどさ。」
「ここまでどうだった?」
「そうですねえ、デルタはザイルが居ますから即死以外じゃ死なないです。」
「スズメ、私は1度も2人にヒール系の魔法は使ってませんよ。」
「大群とか出てこなかった?」
「いえ、大体は5,6人の小規模な集団でしたよ。バラエティーには富んで
ましたけど。ダンサーとか居ましたから。」
「ここの手前はジェネラルでしたね。優が1人で片付けました。」
「強くなったんだねえ。」
「私など皆さまに比べれば赤子も同然です。」
「ベータってヒカミ、カルラ、アカリだったか?」
「そうです。」
「回復薬が居ないね。」
「いざとなったら、ヒカミが文字通り全てを凍てつかせますから。」
「確かに・・・。そう言えばアリーナは?」
「キリコに引きずられて行きました。」
「・・・・。」
「ゼータはボス戦、やるんですか?」
「様子だけ見ようと思ってたけど、どうするシゲさん?」
「そうだなあ、素材も魔石も沢山手に入れたし帰るか。」
「了解。アトムもそれでいいかな?」
「もちろんだよ。オーダーも沢山あるしね。」
「ベータが終わったようです。」
「じゃあ僕らは一足先に帰るよ。油断しないでね。」
「ええ、リッチだったら即燃やしますから。」
「・・・・。」
デルタを見送って僕達はギルドハウスへ転位。
シゲさんもアトムも転位できるよ。
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ。」
コーヒーを飲みながらオーダーの事を聞く。
「そうだなあ、かなり具体的なオーダーが増えてるな。」
「ワンオフな感じ?」
「おそらくこの間の件で自分に何があってるか考えるようになったんだろうな。」
「いい事だね。」
「ミナミのナイフのオーダーが急増中。」
「いい事だね。」
「ナガイ君からオーダーが入ってるよ。」
「そう言えばナガイ君、この間の時弓じゃなくて長刀を使ってたよ。
栄花家なのに・・・。」
「オーダーは特殊な弓だね。」
「へぇ、面白そうだな。」
「やる?多分、カエデが作った方がいいと思うし。」
「了解。」
アトリエに移動しナガイ君のオーダーメモを見る。
成程、そういう事か。ナガイ君は弓を持っていなかったんだ。
いざという時に弓が無くて困ったと。
携帯できる小型の魔導師弓が希望とな。確かに魔導弓は矢がいらないか。
銃を勧めたいところだが・・・そこは弓を作ってからだな、栄花家だし。
どうすっかなあ?からくりを仕込むなら金属の方が作りやすいけど、重くなる。
やっぱマリンさんの間伐材だな。
棒状から弓に展開、そこまではいい。問題は弦だな、魔力糸を使えるといいけど。
魔導弓をオーダーしてくるぐらいだから大丈夫かな?
駄目なら龍の髭でも使うか、箱庭にストックがあったはずだ。
マリンさんの間伐材の前で更に考える。魔力糸を使えるんだったら黒竹みたいな
機構でいいんじゃないかな。試作してみよう。
錬金術で木で黒竹を作り魔力を流してみる。ジャキーン!
おお、さすがマリンさんの間伐材。次に魔力糸を両サイドにつけて引っ張る。
おお、弓のように反るぞ。いけそうだな。
射撃場でテストだ。とりあえず炎の矢をイメージしてみる。アチチ!駄目だ、最初
から燃えてたら熱いに決まってる。ファイヤーランスをイメージして放つ。
ゴウッ!ドッカ~ン!げっ、土台ごと吹き飛んだー!弓は無事か!
ふぅ、大丈夫だ。成程、普通のファイヤーランスを撃つより弓によってスピードが
増し増しになる訳か。オールだったら見えない矢なんてのも撃てるな。
これは・・・すごい発明じゃないか?いや、銃ってそれじゃん!
僕は銃の方がいい。これでナガイ君のはいいんじゃないかな。
あとは中二病向けに竜を彫刻してナチュラルカラーから漆黒にする。
黒竹ならぬ黒弓だよね。楽しくて思わず集中してしまった・・・。
「カエデ様、皆様がお戻りです。」
「了解。」
リビングへ行くとボルタを除いてみんな居た。
ジュリとアリーナはヘロヘロになっているな、頑張れ、若人よ。
いつも通り映像を見ながらお茶会兼反省会。
アルファはキリコとミナミが個別で戦って、ジュリとアリーナがセットで戦う
ようにしていた。ミナミはほぼエプシロンだ。
「ミナミ、銃が気に入ったの?」
「昔から憧れていたのを思い出しました。次は魔導銃のエルリック君と
挑戦します。」
ベータも危なげないな。ヒカミは魔法を全く使ってないにもかかわらずだ。
結界すら使ってない。魔法にはアンチマジック銃で対処している。
ガンマは何故か忍者が3人。中間はすっ飛ばして即、ボス戦をしている。
相手はリッチだ・・・諭吉達が引いたのか。もしかして相性が悪くない?
諭吉も才蔵も忍術は使うだろうが魔法は身体強化ぐらいだろう。となると
ここはくノ一エイルの独壇場かな。と思ってたら2人とも魔導銃でヒールを
撃ちまくっている。そうかリッチの結界を剥がしてるんだ。
「諭吉、リッチから魔法攻撃はなかったのか?」
「とくに無かったが。」
「ありましたよ!グラビティの強力なやつが!私は押しつぶされそうなのを
気合で踏ん張りましたが、2人は普通に動いてましたよ!」
「そうなのか?才蔵、気づいてたか?」
「身体が重くなり申したが、昼食を食い過ぎたと思っておりましたぞ。」
力業だったのね。リッチも不思議だったろうな。
「ていうか、エイルもアンチマジック銃を持ってたよね?」
「・・・・忘れてました。」
「あれだね、得物が多すぎる弊害だ。諭吉もあれくらいの結界ならジャッカル
でいけたんじゃないのか?」
「・・・・忘れた。」
デルタも全く、全く危なげが無いって言うかスズメの刀と優の剣は何であんなに
切れるの?
「スズメの刀と優の剣はゴブアンだよね?」
「そうですが、何か?」
「い、いえ・・・。」
ザイルは黒竹でガイコツを砕いてるし・・・。
「ゼータも今日は戦っていたのですね・・・敵が多くないですか?」
「やはりか・・・ほとんどレイド向けだった。」
「あの・・・カエデは何をしてるんですか?」
「ああ、あれはガイコツ師匠に剣を習ってたんだよ。」
「あの鎧・・・。」
「知ってんの?スズメ。」
「英雄伝説という本で見ました。確か・・・ヨハネスという剣豪の方だと。」
「ヨハネスって、あのグランドマスター?」
「そうです。」
「どおりで強いはずだ・・・。」
「あれですねえ、シーゲルは強くなってるんですか?」
「当たり前だろ!見ろ、息切れしてないだろ!」
「・・・・そうですねえ。」
「カエデ、あの長槍は初めて見ます。」
「蜻蛉切だね。少し身長も伸びたみたいだし、使ってみた。」
「何ですかあれは?斬ったというより消失してませんか?神槍ですか?」
「あれは蜻蛉切の能力だね。無名の能力に似てるんだけど、刃に写ったもので
あればもれなく断つ。神槍の試作槍なんだよ。」
「とんでもない槍ですね。」
「偃月刀の方がやばいよ。」
「実戦であまり使ってないんですよねえ・・・。」
「神相手以外は使わない方がいいよ。」
「何でしょう、この連携は?アイコンタクトすらしてませんが。」
「いや~、付き合いが長いからね。」
「あれはもしや、クレセントでは?」
「ミナミ、クレセントとは何です?」
「教会の暗部で私は大嫌いだったようです。」
「話してる間に頭が爆発して、禍々しいレイピアをカエデがもらって喜んでます。」
「残光、エクスプロージョンを試してみたよ。」
「アトム様、ミナミより完璧に使えては困りますぞ。」
「いいのです残光。アトムは昔からそんなですから・・・。」
ヘリオポリスはヘリオポリスで色々あるようだ。
「今日のダンジョンのギャラです。武具は持ち帰りましたので主に魔石のです。」
なんとギャラは1人頭、金貨100枚超え。ボスの魔石が4つあったためだ。
「金銭感覚崩壊。」
「何かの標語ですか?実家に送金します。」
「1年生がもらう金額じゃないです。懐が潤うどころが重くて破けてますよ。」
「ジュリとアリーナはリングさんに言って口座を開設して下さい。」
「カエデ、ボルタのギャラってギルドから出てるのか?」
「出てるとは思うけど、あそこは大所帯だからねえ。」
「経済格差だね。是正は?」
「まあ探偵社でバイトしてもらうよ。」
「ミナミ、2号店へ行きましょう。」
「贅沢は敵ですが、ケーキは味方です。」
「ええ、ええ。その通りです。私も行きます。」
女性陣はみんなでパティスリー2号店へ行くようだ。




