REQUESTED
「ラスプ、博士を呼んでもらえる。」
「承知しました。」
テラスでコーヒーを飲んでると博士が来た。
「悪いね、呼び出して。」
「構わないわ。サンプルが手に入ったのね。」
「うん。その前に、こっちは仲間のエイル。バーサーカーの研究に参加したい
そうだ。」
「エイル?癒しと医学の神かしら?」
「初めまして、エイルと申します。バーサーカーに少々、興味がありまして。」
「いいわよ。カエデ、回収した相手の様子を聞かせて欲しいのだけど。」
「了解。映像があるからそれを見ながら説明するよ。カモナ、お願い。」
「かしこまりました。」
「これは鬼かしら?違うわね、オーガね。」
「おそらくオーガキングだよ。」
「へぇ、カエデが子供だとは言え同レベルのスピードね。朱の姫が吹っ飛ばされ
たのもわかるわ。あなた、相変わらず鎧を付けてないのね。」
「僕は神器で底上げしてたから。あと、異常に堅かった。それと知能も上がって
たみたいだ。」
「確かにオーガキングより強いと思いますが結局スズメに瞬殺されました。」
「まあ吹っ飛ばされたのは油断だね。それに僕がサンプルを欲しがったから
炎系の魔法は使わなかった。どう見る?」
「そうねえ、サンプルを調べないと・・・おそらくは予想通りかしら。」
「最適化か・・・。」
「そうね・・・。ティーターン神族も厄介なものを作り出したわね。」
「本当ですね。戦闘系の神と眷族の間くらいでしょうか。」
「こんなのが沢山居たら、国が滅ぶわ。」
「ティーターンが人間を相手にするとは思えないけど。」
「そうねえ、でも眷族相手なら十分に兵隊になるわ。」
「僕の目的としては、その仕組みだからね。」
「わかったわ、少し時間を頂戴な。エイル、来る?」
「是非。」
エイルは博士に付いて行った。
僕はのんびりしよう。やっと野外研修のばたばたが終わったしね。
美味しい夕食をたべテラスでぼーっとする。
「物凄い腑抜けてるわね。」
「んっ、夜叉か・・・。スタンビートやら色々あったからね。ひと休みだ。」
「お疲れ様って言いたいけど、あなたあまり戦ってないでしょ?」
「いや頭脳労働だよ頭脳労働。夜叉も休暇?」
「そうよ。働きづめだったから。」
「そっか・・・身体に毒だよ働き過ぎは。僕も反省中。」
「ポイべの件は?」
「さあ?クロ兄と孔雀なら大丈夫じゃない?」
「そうでもなかったみたいよ。クロス、あなたの兄は怪我したみたいよ。」
「へっ?まじで?ちょっとポイべをしばきに!」
「もう引き分けって感じで終わってるわ。」
「怪我は?」
「アスカが治したわ。」
「ふぅ・・・アス姉も来てたんだ。良かった・・・。それにしてもクロ兄が
怪我か・・・やっぱポイべも強いよね。」
「そりゃそーよ。クロノスの直近の部下よ。」
「いやね直近ごとき片手でちょいちょいと・・・。」
「いくらゼウス様の後継者と言っても、まだ無理じゃない?」
「いやいやクロノスと戦うんだから、それくらいになってもらわないと。」
「スパルタね。」
「だって、駆り出されるのも頼られるのも面倒じゃん。まあ、ベル姉も居るし
きっと2柱で力を合わせて・・・。うん、大丈夫だ。」
「大佐にいいようにやられてたらしいじゃない?」
「・・・・。う~ん、鍛え方が足りない?」
「スパルタね。」
「クロ兄は新婚生活があるからなあ・・・。よし、ベル姉達はやっぱ箱庭の
学校に通ってもらおう。」
「私は少し響の所でのんびりするわ。やっぱり私は日本よりなのよねえ。」
「まあ金剛夜叉様だもんね。ゆっくり休んで。呑む?」
「もちろんよ!」
1人と1柱でゆっくり過ごす。僕はコーヒーだよ。
夜叉との気の置けない時間もいいもんだ。
夜叉の言う通りこのままのペースじゃ2人はクロノスに勝てない。
どうすっかなあ・・・。金眼が発現しないかな・・・博士に聞いてみよう。
「長期の休みに入ったら、ちょっと旅をしようと思ってるんだよ。」
「ソドムアームス?」
「いや、それはキリコ達や白竜に任せるよ。目的は特に無し。
ただの旅、しかも徒歩にしようと。」
「物好きねえ。まあ、あなたの事だから大丈夫だと思うけど、一応
気を付けてね。」
「ああ。」
翌日ゆっくり朝食を食べ久遠島へ。夜叉は昨夜、響さんの所へ行った。
今日は久しぶりに植物の採取をするつもり。
「お早う、紅緒さん。」
「お早うございます、カエデ様。」
「笑君、居るかな?」
「サンルームに居ると思いますよ。」
「ありがとう。」
サンルームが2つになっていた。おそらくヴィータのだろう。
サンルームには笑君とニイが居た。
「お早う、2人とも。」
「うむ。」
「おう。」
「今日は採取に行こうと思うんだけど。」
「おっ、仕事か。いいぞ。」
「ニイは?」
「今日はこれから修行なんだ。鍛冶を玄武様に見てもらう。」
「そうなんだ。」
笑君と2人で森に入る。紅緒さんが弁当を持たせてくれた。
「サンルームにないのを見つけたいねえ。」
「案内する。」
「何か見つけたの?」
「名前はわからんが、サンルームにないやつだ。」
「おお・・・。」
途中、動物達に挨拶をしながら奥へと向かう。
戦闘音が聞こえてきた、何だ?
そーっと覗いてみるとスズメが久遠と戦っていた。修行か・・・。
よっぽどオーガキングに吹っ飛ばされたのが悔しかったとみえる。
まっ、頑張れ若人よ。
「スズメの弱点はスピードというか目だな。」
「わかるの?笑君。」
「いやだって、本ばかり読んでるだろスズメは。」
「ごもっとも・・・。」
普段、メガネをかけてるがあれは魔導具だからな。度は入ってない。
ぶっちゃけ気配だけで何とかなるけど、それはもっと経験が必要だ。
難しいな・・・無理に経験する事でもないし。まっ、何とかするだろ
スズメ自身が。
「ここだ。」
んっ!これはチレコドン・ペアルソニー。
「ナイス!笑君。」
ペアルソニーは種が小さすぎて実生は断念したんだ。
大きいやつは高くて買えなかったんだよね。これは嬉しい。
幼苗を4株程採取。他にもあるらしい、更に奥へ進む。
再び戦闘音が聞こえる。覗いてみるとキリコが先生と戦っていた。
キリコは刀だ。先生は爪を1本だけ伸ばしている。
器用だな、先生って体術だけじゃないのね。頑張れ、若人。
「この辺のはずだが・・・あったあった、これだ!」
おお・・・これはグラウミニアナ・・・しかし、でかい。
「でかいね、幼苗がないかな?」
笑君と探す。う~ん、ないな・・・。
「これ、種じゃないか?」
「本当だ。よし、これを回収して植えよう。」
結構な量の種を回収できた。
「お弁当にしよう。」
見晴らしのいい場所でラグマットを敷く。
おお、幕の内弁当的な何かだ。
「笑君、箸を使えるの?」
「練習したからな、大丈夫だ。」
箸が使えるカーバンクル・・・この島の動物達はみんな器用だからな。
熊達は先生の養蜂を手伝ってるらしいし、先生はパンダだった。
「うまい!」
「美味しいね。」
このピクニック感もいいもんだ。笑君用の小さいカップもあったので
お茶を淹れる。
「そう言えば、ディアナドラゴンが用事あるって言ってたぞ。」
「えー、面倒くさい。」
「内容、知らんだろ?」
「絶対に面倒事だよ。」
「ははは、そうかもな。」
「しょうがない、戻ったら聞いてみるよ。」
のんびりと散歩をしながら屋敷に戻る。
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ、お客様がおみえです。」
「了解・・・。」
リビングへ行くとディアナが居た。
「久しぶりね、カエデ。」
「久しぶり・・・。」
「警戒してるわねえ。」
「面倒事なら八仙に頼んでよ。」
「崑崙以外の事だからそうもいかないのよ。」
「はぁ・・・っで、何?」
「ドラゴンの子を見つけ出して連れてきて欲しいのよ。」
「ドラゴンの子なら3人いるけど?キングにバハムートにブライト。」
「違うわよ、私の家系。」
「えっ、癒しのドラゴン?」
「多分、本人は気付いてないわ。あなたなら知ってるでしょ?」
「覚醒か・・・。」
「それまではちょっと力の強い人間ね。」
「どこに居るかわかるの?」
「それが帝都らしいのよ。」
「何だって帝都に?」
「わからないわ。ディアナドラゴンは元々ディアナドラゴンじゃないのよ。
成長の過程で発現するのよ。」
「じゃあ今はまだ普通のドラゴンか自分がドラゴンだと知らないかか・・・。
何故その子がディアナドラゴンだと?」
「・・・わかるのよ。リーファンじゃないけど私も代替わりの時期なの。」
「キングに頼めば?」
「駄目よ。ハーレムに入れられたら困るじゃない。私が引退できなくなるわ。」
「はぁ・・・わかったよ、捜してみる。」
「ありがとう。お礼に桃を沢山あげるから。」
「そいつは嬉しいな。」
ディアナドラゴンからの依頼を受け、今日採取したものたちを植えたり、播種
したりしてワイズ邸へ。後の事は笑君に任せる。
「ワイズ―、ちょっと手伝って。」
「承知しました。」
ディアナドラゴンの依頼を話す。
「成程、自覚無しのドラゴンを捜すと。」
「そうなんだよ。帝都には居るらしいんだけど、それ以外の情報はゼロ。
あっ、力は普通の人よりは強いらしい。」
「帝都にはそれなりの人口が居ますね。」
「うん。もし力を隠してるら時間がかかるかもね。」
「力を利用してるとすれば・・・。」
「冒険者ギルドに行ってみるよ。ワイズはそれらしい噂がないか探って。」
「承知しました。」
今日はワイズ邸に泊ろう。ガーネットの屋敷は父さん達の帰還の準備で
大わらわだし。
ゆっくり風呂につかりながらディアナドラゴンの事を考える。
冒険者をやっていない可能性もあるけど、なんとなくやってる気がするんだよね。
もしくは力を活かしてポーターとか・・・蘭お姉様以外の冒険者とあまり接した
事はないが正直、質がいいとは言えない。基本ドラゴンは性格がいいからな、
騙されてたりすると大変だ。誰に手伝ってもらおうか・・冒険者と言えば
キリコだが・・・。
「キリコ、今いい?」
「大丈夫ですよ。」
「明日の予定は?」
「フォグに少し顔をだすぐらいです。」
「仕事を手伝って欲しいのだけど。」
「いいですよ。」
「じゃあ明日、ワイズ邸に来てくれる。」
「わかりました。」
風呂上りにコーヒー牛乳プハーして寝た。
お早う。久しぶりにランニングをして素振り。
少しぶれてるな・・・自分で言うのもなんだが器用貧乏の弊害だな。
調整をしながら素振り。食堂へ行くと丁度キリコが来た。
「お早うございます。」
「お早う、朝食は?」
「まだです。こちらで頂こうと思いまして。」
という事で2人で朝食。食べながら仕事の内容を説明。
「帝都限定なのは救いですね。私もカエデと同意見です。おそらく孤児院、
もしくは養父という線でしょうね。」
「うん、もしかしたら貴族という線もあるけどそっちはワイズに頼んだ。」
「ではこれから冒険者ギルドへ?」
「そうだね。学園ダンジョンの方はリングに頼むし、もし冬のダンジョンなら
ヒカル達が気づかないはずはない。」
「塔のダンジョンですか・・・あそこはならず者に近い冒険者が沢山いますから
心配ですね。」
「まずは冒険者ギルドで情報収集だね。頼むよSランク。」
「止めて下さい。」
コクーンで冒険者ギルドへ。昨日のスタンビートの件があるからまだ
てんやわんやだ。蘭お姉様ではなく受付嬢に聞いてみよう。
「すいません。」
「あっ、キリコ様。」
「お忙しいところ申し訳ありませんが、少々尋ねたい事が。」
「は、はい。何でしょう?」
「最近、冒険者かポーターの中で力自慢の方はいませんか?」
「力自慢なら沢山居りますけど・・・。」 そうりゃそーだ。
「その中で年齢にそぐわない方は居ませんか?」
「・・・あっ、そういえばマスターが気になさってた方が。少々、
お待ちください。」 おっ、いきなりビンゴか?
少し待つと受付嬢が資料片手に戻って来た。
「この方ですね、名前はザクロさん。年齢は11歳ですからキリコ様と同じ
ですね。基本は冒険者登録が出来ませんから扱いとしてはポーターです。
所属は・・・『龍の巣』です。今日は砂漠のフロア―ですね。」
「『龍の巣』・・・・。」
「知ってるの?」
「ええ、帝都の中では大きいクランです。ただ、あまりいい話は聞きません。
私も何度か誘われましたがお断りさせて頂きました。」
「へぇ・・・。」
「クランマスターとサブマスターがSランクですね。」
「ザクロさんに会ってみないとわからないね。」
「わかりました。情報ありがとうございました。」
「あの・・キリコ様。『龍の巣』には注意して下さい。最近の行動には問題が
あるとマスターも頭を痛めてましたから。」




