EYE OF GOD
「あまり知られてないんだけど、魔眼や邪眼には更に上があってね。」
「まさか・・・。」
「そうだよ。アリーナのそれは見鬼の上位互換の浄眼だ。僕はそれを神眼と
呼んでる。」
「神の眼・・・・。」
「見鬼は普通の人には見えないものが見える。一方、浄眼の最大の力は退魔だ。」
「退魔・・・・。」
「見るだけで消滅させる事ができるんだ。」
「救うどころが消滅させてしまう・・・。」
「そんな、とんでも神眼のアリーナに朗報です。制御の仕方を教えるよ。」
「へっ、誰が?」
「僕が。」
「へっ?」
「少々事情があって仲間を含め誰にも教えてなかったんだけど、僕も神眼を
持ってるんだ。」
「な、何ですと!」
「ちゃんと訓練すれば制御できるようになるから。」
「本当ですね?」
「うん。メガネや眼帯をしなくても自分の意思で使えるようになる。」
「・・・・お高いんでしょう?」
「お金はいらないけど条件はだすよ。」
「ゴクッ、じょ、条件とは?」
「我々のオマタクラブとギルドファントムに加入する事だ。」
「なっ!コ、コミュ力ゼロの私が・・・集団に・・・。ハードルが高すぎます。」
「理由は2つ。神眼を制御すると言っても別に目を鍛える訳じゃない。
身体能力と魔力をアップしないと駄目。幸いここのクラブはその2つを鍛える
にはもってこいだから。もう1つは友達が出来るよ。」
「と、友達・・・・お茶会したりできるんですか・・・。」
「お茶会どころがお泊り会なんてのもしてるみたいだよ。」
「お、お泊り会・・・未知の領域・・・。こんな私でも友達が出来る・・・。
ふぅ・・・覚悟を決めました。わたくしアリーナ・ウイルスはクラブと
ギルドに入部します・・・。」
「ようこそオマタクラブとファントムへ。」
「オマタクラブ!何ですか!何されるんですかー!」
「オートマタ研究クラブ、略してオマタだよ。」
「で、できる・・・・。」
「今日はクラブの活動日だからみんな集まってるし、紹介する。行こう。」
「えっ、ちょ、ちょっと待って下さい。準備の心が・・・。」
アリーナは深呼吸を何度も繰り返し、過呼吸になっている。
「ははは、大丈夫だよ。みんなくせはあるけどいい奴らだから。」
アリーナを連れてリビングへ。1度集合してもらう。
「みんな悪いね、新入部員だ。1年Aクラスのアリーナ・ウイルスだ。」
「は、はじ、はじ・・・・。」
「ヤマイさん、いえアリーナ。落ち着いて、大丈夫ですから。」
「アカリさん・・・。ふぅ、初めまして皆様。訳あってクラブとギルドに
入部させて頂く事になりました。」
「カエデ、その訳っていうのは聞かせてくれるのか?」
「リング、最高強度の結界を張って。」
「承知しました。」
「みんなは魔眼や邪眼は既に知ってるよね。」
「はい、何度かあいまみえましたから。」
「僕らが知ってるところだとAクラスのクララとか、メデューサなんかだね。」
「アリーナは魔眼もしくは邪眼持ちだと?」
「スズメ、魔眼と邪眼に更に上がある事は?」
「あくまで書物限定ですが過去の勇者、賢者、聖女もっと言うと神々の中
ですらそれ以上の話しは出て来ないです。ただ私はあると思います。」
「うん。実際あるんだなこれが。」
「やはり・・・話が見えました。」
「彼女は邪眼を抑えるためにオマタに眼帯の依頼をしてきた。
今までほぼ両目を閉じて生活してきたそうだ。見鬼という魔眼があってね。」
「見鬼・・・それは見鬼の才の事でしょうか?」
「それだね。」
「アカリ、知ってるのですか?」
「はい。人ならざるモノを感じたり見たりする力です。京だと稀に僧侶の
中に発現したりします。」
「アリーナの眼がそれだと?」
「さっきも言ったけど、ただの魔眼や邪眼は珍しいけど居るからね。それだけで
誘ったりはしない。彼女の眼は見鬼の上位互換、浄眼だ。僕は神眼と
呼んでる。」
「神の眼ですか・・・。」
「カエデは浄眼というのを知っていたのか?」
「まあそうだね。」
「シオン・・・。」
「アトムも知ってるのか?」
「眼の名前は知らなかったけど、箱庭にいつも両目を閉じてる奴が居た。」
「神眼というのは厄介でね。魔眼や邪眼は基本、神々には通じないんだけど、
神眼はいわば対神用の眼なんだよ。」
「神刀、神銃と同じ・・・。」
「そういう事。アリーナはまだ子供だし現状ではさほど脅威にはならない。
だから今の内に制御の仕方を覚えないと神に狙われる。」
「えっ!少し待たれよ!さ、さっきはそんな話してなかった。しかも神って
何です、神って!」
「アリーナ、この世界では神は普通に存在する。例えばあの辺はリアル神だね。」
「あの辺って一括りにされましたよ。」
「まあ神といっても端くれですし。」
「私は記憶がまだところどころ飛んでますから自覚ゼロです。」
「「えっ!」」
「ああ。そうだった。ミナミはヘリオポリス9柱神の1柱イシスの転生体
なんだ。昨夜、発覚した。」
さっきからキリコとヒカミが黙り込んでいる。
「あの、カエデ。」
「何だい、キリコ。」
「アリーナが神眼を持ってて制御方法を教えるというのはわかりました。
ですが・・・。」
「私もそれを考えていたんです。誰が教えるんだろうと。
カエデ、もしかして神眼を持ってるんですか?」
「まあ気づくよね。いい機会だし僕の神眼の話しもしておくよ。」
魔力の循環を神眼用にかえる。
「金の眼・・・金髪・・・・。」
みな驚いている。そりゃそうか・・・。
「これは時眼と言ってね、普段は何の役にも立たないんだけどある条件下の中
では役にたった。過去に1度だけ使った事があってね。」
「クロノスですか・・・。」
「ビンゴだよスズメ。クロノスが時間を止めてもこれのお陰で関係なく僕は
動ける。そのお陰でクロノスを封印する事ができたんだ。」
「神々は知っているのですか?」
「いや知らない。対クロノスに特化してるからね、利用されるじゃん。
という訳でアリーナに制御方法を教える事が出来る。あとアトムが言っていた
けど箱庭にシオンってのが居てね、彼女も神眼なんだけど今はまだ眠ってる
んだ。起きたら教師をお願いするつもり。」
「何か私のために、大層な事になってるような・・・。」
「アリーナ、神眼は大層な事なんだ。使いようによっては世界が滅ぶ。」
「えっえー!」
「まっ、大丈夫だ、なんとかするさ。キリコ、ヒカミ、アリーナが現状
何が出来るか確認してくれる。」
「わかりました。行きましょう、アリーナ。」
「へっ、ど、どこへですか?」
「訓練場です。」
「えっえー!私・・その・・武道が苦手でして・・・。」
「大丈夫です。確認するだけですから。」
「いや~!離して~!」
結局アリーナはキリコに引きずられて行った。合掌。
「神眼か・・・。アリーナの浄眼とは神にとって脅威なのか?」
「脅威だよ。暴走すると本人だけじゃなく世界も飲み込むんだよ。」
「えっー!やばいじゃん!」
僕は浄眼の本質は退魔ではなくブラックホールなのではと思っている。
神だろうが何だろうがそんなものに飲み込まれたらジ・エンドだろう。
「武道が苦手てどうやってAクラスに入ったんだ?」
「僕らと同じ裏口入学か、苦手と言っても戦えるかだね。
制御方法と言っても基本になるのが身体能力と魔力量の問題だからね
当面は体力作りと瞑想だね。」
「つまり、いつも通りという事だね。」
「そういう事、やっぱ基礎がないとね。そうだシゲさん、ロイド流の道場に
いかない?最近、稽古出来てないからさ。」
「そうだな。1度も顔だした事ないし行ってみるか。」
アリーナの事は女性陣に任せ、男性陣で道場に行ってみる事にした。
道場には諭吉のジープで行く。
道場は大きく受付が複数ある。冒険者ギルドより大きくないか?
「すげえな。」
「僕もびっくりだよ。」
受付に並び来た事情を説明する。僕達は制服だったが他にも制服の学生達が
沢山居て特に違和感もない。
「まあ、カエデ様。やっとお越しになったんですね。次男の方ですから武道より
政治の道に進むのではと噂してたんですよ。」
「はは・・すいません。なんか学園で色々やってたら来るタイミングを逃して
しまいました。」
「フフ、お気になさらず。今、責任者を呼びますから。」
「あっ、いえ、見学に来ただけですから・・・。」
「カ・エ・デ・様っー!」
その時に受付の風が吹いた。な、何だ?
諭吉とアトムは躱したが僕とシゲさんとボルタは風に捕まった。
「えっ、ちょ、ちょっと・・・。」
僕は突進してきた女の人に抱き上げられ頬ずりされている。
「クリア様!落ち着いて下さい!エントランスが滅茶苦茶じゃないですか!」
「えっ!す、すいません、私とした事が。つい嬉しくなってしまって・・・。」
少し騒ぎは続いたが、副責任者の人が来てくれて何とか収まった。
応接室に案内された。
「申し訳ありません、皆様。クリアは先走るタイプでして・・・。」
クリアさんは正座させられている・・・。
「いえ、お気になさらず。それよりクリアさんを許してさしあげて下さい。」
ピキーンとジャンプ1番、副責任者の隣に座った。
「私はクリアのサポートをロイド様から仰せつかってる、ニグマと申します。」
いやあニグマさん、渋カッコイイ。
「よろしくお願いします。普段は父上、母上より週1回程稽古をつけてもらって
るのですが、何分にも2人共多忙でして。ですので1度道場の見学をさせて
頂きたいと思ったのです。」
「大、大、大歓迎です!ロイド流がメインではありますが色々と
取り揃えていますから!」
いや、お店かよ!
「それは良いですね。僕とシーゲルはロイド流を学びたく。諭吉は直刀、ボルタ
は刀術、アトムはカーボンソードです。」
「ええ、シーゲル様と諭吉様は面識ありますよ。」
「お久しぶりです、クリアさん。その節はお世話になりました。」
「いえいえ護衛などお安い御用です。」
「諭吉も?」
「クリアさんもニグマさんも、よく松月庵に来てくれてるんだ。」
「アトム君も面識ありますよ。」
「師匠と何回か出稽古をさせてもらったよ。」
「あとキリコちゃんが鳳舞流の師範ですから、定期的に来てくれています。」
「そうでした。」
僕らはそれぞれの得物に分かれて見学する事に。ロイド流は人が多い。
ビッケや見た事あるのが数名、やってるやってる。
素振りや型をやってる人に先輩らしき人達がアドバイスをしている。
奥の方では模擬戦だ。まじ道場っぽい。
「カエデ君達も少し身体を動かさないかい?」
「そうですね、是非。」
ビッケ達のそばに行く。
「カエデ、シーゲル。やっと来たか。」
「そうなんだよ。ここんところ剣を握ってなくてさ。」
「俺もだ。」
「お前ら黒幕だもんな。」
「ちゃうわ!」
よし始めよう。父さんに言われた事を思い出しながら剣を振る。
ガーネットの道場では10番目くらいだったからな。
シゲさんも父さんに褒められてたし。
「へぇ、2人ともちゃんとできてるじゃん。」
「素振りは、全く問題ないね。じゃあ、打ち合ってみよう。」
「カエデ、俺とやろうぜ。」
「おう。」
ビッケに声を掛けられたので了承。
「学園じゃモップを使ってるのしか見た事ないからな。」
「確かに・・・。」 ビッケは意外に強いんだよ。
シゲさんは爽やか青年に声を掛けられていた。
「いつから学んでる?」
「一応7歳からだね。マリア先生に教えてもらった。」
「そいつはすげえな。もしかして既に皆伝か?」
「まさか、ガーネットの道場で10番目くらいって言われた。」
「いや十分、すげえから。なら本気で行く。」
「まじ?しょうがない。」
決して速いわけではない、基本に忠実に打ち込んでくる。
う~ん、忠実すぎて次に何が来るか分かり易すぎる。
「ビッケ、ダンジョンのポジションは?」
「前衛。アタッカーというよりタンクに近いかな。」
「盾は?」
「そろそろ用意しないときつくなってきた。カエデ、全部流されるんだが
それはロイド流なのか?」
「自信ない・・・、同時に槍も学んでたからさ。ロイド流だけで戦ってるか
どうかもわかんないだよ。」
「それでいんじゃないですか?」
「クリア師範。」




