CAMPING 3
「カエデ!これは仕込みか?」
「んー、多分。の割には霊力やばいけどね。」
「諭吉と才蔵がどっか行ったけど。」
「たぶん刑部に誘われたんだろうね。」
「他はともかくアカリとボルタは大丈夫なのか?」
「どうだろう?けど、さすがに死ぬ事はないよ。ここは箱庭だから。」
「そうだった・・・。」
アカリとボルタが闘ってる狐面は錦だな。響さんが呼んだんだろう。
キリコとスズメは響さんと闘っている。バロン爺ちゃんと僕の時空魔法の
師匠だからね。ぶっちゃけ四聖獣以上なんだよね。剣技は当然だが
四方八方からくる狐火と剣圧。ショートジャンプで距離感も狂わされる。
2人は今まで闘った事ないタイプだろう。しかも人化してる時の話しね。
天狐状態はまた別。
ヒカミ、エイル、ザイルは悟空と闘っている。というか悟空の幻影とだ。
物語の悟空は自分の毛を抜いて分身させるがここの悟空はほぼ人と同じ
容姿なので毛は抜かない。霊気の分身体でしっかり質量もあるし技量も
同じだ。そしてその本質は霞みだ。例えばヒカミが凍らせたとしても氷の
悟空になるだけで動きは止まらない。ザイルの雷も同じ事。悟空本体を
叩かないと永遠に闘う事になるし、その前にこちらが疲弊してジ・エンドだ。
悟空本体はここには居ないだろう。
「次元が全く違います。」
「違いすぎてよくわかりません。」
「ヒカミ様、鎧姿もお美しい・・・。」 視点が違うな、こいつ・・・。
「技量の事はよくわからないけど、全員巨乳ね。カエデ、あなた・・・。」
「いやいや、巨乳と僕は関係ないだろ。」
「カエデ、キリコ達はこんなに弱くないだろ。何故だ?」
「相性だよ。」
「相性?」
「あの状態のキリコ達は確かに強い、神とタイマン張れるほどにね。けど、
全能という訳じゃない。キリコとスズメはパワータイプだけど響さんの
ような技巧派は苦手なんだよ。いくら剛剣でも当たらないと意味はない
からね。ヒカミ達も同じ事が言える。」
「うちの女性陣、パワータイプオンリーか・・・。」
「まあ、お互いに本気じゃないけどね。」
「これで・・・。」
「キリコは魔法、スズメは精霊術を使ってない。ヒカミ達も武具の特性は
使ってるけど魔法そのものは使ってない。」
「私・・・Fクラスに行けるのかしら・・・。」
「彼女達のあの姿は非常事態用だからね、比べる必要はないよ。」
さて、そろそろ終わるか。きりがないのはお互いにわかってるだろう。
予想通り自然に終了。
「ありがとうございます、響様。」
「2人とも強いわね。変化状態でそれだと実際成長したらもっと強くなるわ。」
「響様、私達の弱点がわかりました。」
「そうね。けど、それを補ってくれるのが居るでしょう?」
「はい。」
「げっ、錦ちゃん!」
「錦さんだったんですか。」
「2人ともだいぶ強くなったけど、まだまだね。」 そりゃそーだろ!
「はぁ、疲れたました。」
「修行がたりませんね。」
「全く幻影とは気づきませんでした。」
「ははは、悟空は屋敷で酒でも飲んでるんじゃない。」
諭吉達も戻ってきた。
「刑部さん、ありがとうございました。」
「諭吉よ、お前はおそらく神の力を使わずとも私達並みになれるからな。」
「刑部殿、これ頂いて良いのでござるか?」
「うむ。才蔵、主はほぼ完成しとるからな。いざという時に使って諭吉の
助けになるがよい。」
「かたじけない。」
へぇ、刑部が『変化の葉』を渡すって事はよっぽど才蔵が気に入ったんだな。
その後、汗もかいたしみんなで温泉。野外研修で温泉はないが今日はオーケー。
「錦ちゃんって滅茶苦茶強かったんだな。いつもママとだらだら酒呑んでる
姿しか見た事がなかった。」
「基本めんどーはやだって戦わないからな。」
「刑部さん、カッコ良かったな。ちょっと槍に憧れた。」
「いぶし銀だからな。忍者だし槍はどうかと思うけどニュー黒竹はいんじゃ
ない、使ってみれば?刑部が教えてくれるし。」
「何だそのホテルは?」
「ホテルじゃないし!」
アトムがおとなしいな・・・。ベースに戻り就寝。
お早う。
「カエデ、何ですかこのマットと寝袋は!寝た記憶がありません。」
「ははは、そうだろう。疲れもばっちりとれるしね。」
「そうなんです!身体が軽いんです!」
初めてマットと寝袋を使った連中はその快適さに驚いていた。
朝食は練習も兼ねてレーションだ。
「同じレーションでもヒカミと優のものとは違うような・・・。」
「彼女達はプロだからね。レーションといえども手は抜かない。」
「旨いんだよな。ダンジョンでも癒しなんだ。」
朝食後は自由行動。女性陣は化粧水を求め湖の中の街へ突撃。
男性陣はのんびり釣りをする事にした。
「キングサーモンが釣れるから。」
「まじっ!」
釣り糸を垂らす。気持ちいいなあ・・・。
「「カエデ、話がある。」」
「えっ!」 諭吉とアトムが同時に話しかけてきた。
「あっ、諭吉からどうぞ。」
「いや、俺は後でいい。」
シゲさんとボルタはいきなり当たりが来て湖に引き込まれた。
言うの忘れてたな・・・。
「でっ?」
「ああ・・じゃあ僕から。昨日の夜さみんな鎧姿になってたでしょ。」
「そうだね、僕とアトム以外は。」
「でさ、ミナミの鎧なんだけど・・・。」
「なんか東洋風の甲冑みたいな感じだったな、そう言えば。」
「あれイシスの鎧と同じなんだけど・・・。」
「まじ?」
「まじ。」
イシスはアトムと同じヘリオポリス9柱神の1柱だ。
「鎧のブレスレッドは瞬時にその人間をスキャンして最適な鎧になるんだ。」
「そうか・・・。ミナミはイシスの転生体なのかな?」
「どうだろ?本人じゃなく子孫とか関係者って事もあるし。」
「イシスは結婚してないよ。」
「どうする?」
「どうしよう?」
「転生体だったら何かのトリガー、つまりここだったり僕らだったりで記憶が
戻るでしょ。屋敷もそのままなんだから。能力もそのままなんじゃないの?」
「能力かあ・・・。魔導かな、あと悪巧みの天才。」
「悪巧みは置いておいて、魔導の事は聞いた事なかったなあ。まあでも同じ
生産チームなんだし変化に気づくよね。」
「そうだね。」
「確か錫を使ってよね?」
「うん、柄の長い斧みたいなやつ。」
「イシスの屋敷に保管してあるから見せてみれば?」
「イシスだとして強制的に記憶を戻していいのかな?」
「アトムだってテムの転生体だけど、アトムはアトムだろ。」
「そうだね。連れてってみるよ。」
「諭吉は何?」
「あ、いや、たいした事じゃないんだが・・・。」
「何だよ、もったいぶって。」
「もったいぶってる訳じゃないんだが・・・。才蔵と婚約した。」
「あっ、そう。」
「えっー!」
「温度差!」
「いやだって、キリンさん最初からそのつもりだっただろ?」
「俺は知らなかった。」
「シーゲルといい諭吉といい・・・。今の時代は早婚なのか・・・。」
「いつ?」
「卒業したらすぐに結婚式をする予定だ。」
「了解、おめでとう。シゲさんとダブル結婚式だ。神界を巻き込んで。」
「えっ!」
「当然じゃないか。不動と愛染が大人しくしてる訳ないだろ。」
「そうだよなあ・・・気が重い。」
「よし、じゃあ昼食は祝いの鮭のフルコースだ。」
シゲさんとボルタがキングサーモンを引きずって上がってきた。
「あ~、酷い目にあった・・・。」
「んっ?どうした?」
「ミナミが神かもしれなくて、諭吉が婚約した。」
「そうか。」
「えっー!」
「温度差!」
「いやだって、ミナミは神気の中でも平気だし、大将はキリンさんが初めから
そのつもりだったろうし。」
「お、大人の階段ってやつ?」
「そっ、大人の階段ってやつ。」
「シーゲルと諭吉を見る目が変わる。パイセン・・・。」
「まあ目出度いって事だよ。」
みんなでキングサーモンのフルコースに舌鼓。
「うっま!白米にばっちりだ。」
「イクラもお食べ。」
「わかったぜ、ママ。」
「誰がママか!」
「美味しそうですね。」
女性陣が湖の街から帰ってきた。
「まだ沢山あるからお食べ。」
「はい、母様。」
「誰が母様か!」
「カルパッチョもあるからね。」
「こ、これは・・・。」
「や、やばいですねえ・・・。」
「この緑の粒は?」
「ああ、ケッパーだよ。昨日見つけたから採取しておいたんだ。」
「さすが、プロサバイバー。」
「どんな状況でも美味しく食べたいからね。」
うんうんとヒカミと優が頷いてる。
「一家に一台、カエデですね。」
「全くです・・・。」
「いや、もの扱い・・・。」
夕方まで湖畔でのんびり過ごす、女性陣は才蔵から聞いていたらしいが
特に驚きも無くおめでとうという感じだったらしい。
解散し屋敷がない連中は無国へ。
「お疲れー、ここから学園に行けるからゆっくりして。」
「すごいですねえ・・・。」
「あの・・・カエデ、少しいいですか?」
「何だい、ミナミ。」
「あの・・・こちらに来てから何かおかしいんです・・・。」
「そうか・・。」
「初めて来たはずなのに、そんな気がしないと言うかなつかしい?」
「そうか・・・。ちょっと付き合って。」
「はい・・・。」
「ラスプ、アトムを呼んで。」
「承知致しました。」
1人で居るのも何だしジュリにも来てもらった。
3人でイシスの屋敷に向かう。着くとアトムは既に来ていた。
「ここは・・・。」
「ヘリオポリス9柱神の1柱、イシスの屋敷だよ。」
「・・・・。」
ミナミはブラウニーに案内される事なくリビングへ向かう。
僕達は後を付いて行く。
ブラウニーがお茶を出してくれた。
「・・・あの、もしかして私はイシス様の生まれ変わりなのでしょうか?」
「僕達も今日まで気づいてなかった。けど、アトムがミナミの鎧姿を見て
イシスと同じだって言うから。可能性はあるかなって思ってた。」
ミナミがおもむろに片手を振る。錫が召喚された。
錫をまじまじと見て。
「ふぅ・・・、我が王、テム。久しぶりでいいのでしょうか?」
「イシス・・・・。」
「どうやら本当に私はイシスのようです。混乱してますが。」
「イシス、僕はねイカルガはイカルガだと考えてる。利用はしてるけどね。」
「僕もだよイシス。テムはテムだし僕は僕だ。」
「はい、私もミナミです。」
「こうなるとあれだね、他の柱も転生してる可能性が高いね。」
「そうだね、捜してみるよ。」
「私も捜します。」
「了解。2人に任せるよ。」
募る話もあるだろう、ジュリを連れて先に帰る。
「あのカエデ、さっぱり事情が・・・。」
「だよねー。」
屋敷に戻り夕食を食べながらジュリとスレイズに説明する。
「ふぇ~、という事は私とカエデを除いて神様、もしくは眷族で構成されて
いると言う事ですか・・・。」
「半妖のボルタ、よくわからないカルラ。それと半蔵、まだクラブ員じゃないけど
カスミは人間だよ。」
「カエデ、ヘリオポリスというのはソドムと関係してるのか?」
「ソドム自体に関わりがあるわけじゃないけどね。スレイズはソドムアームス
なんでしょ?」
「ソドムで作られたとういう意味ではそうだ。しかし最初から使用者はソドム
の民じゃなかったからな。」
「そうなんだね。ソドムは神の怒りにふれ滅ぼされた。その時に一般人は
お告げにより避難したんだ。それでも神々が民を警戒し監視をつけた
それがヘリオポリスだよ。」
「あの、そのヘリオポリスのミナミがカエデの事を我が王って・・・。」
「ああ・・・そうだね。僕はイカルガの転性体でね。ここも僕というより
イカルガの能力で作られた所だよ。」
「納得した・・・それならカエデの異常さも理解できる・・・。」
「イカルガって、あの物語に出て来る英雄ですか?」
「そんな大層なもんじゃないよ。けど、イカルガは何かと戦いの日々でね。
だから僕は今生ではスローライフを送りたいんだよ。」
「ムリじゃね?」
「何でー!」
「話が大きすぎてよくわかりません。」
「ははは、そうだね。みんな僕らと同じように学生でそれぞれやりたい事も
ある。まあ個性くらいに思っていればいいんじゃない?」
「まじで?」
「まじで。ジュリだってやりたい事あるでしょ?」
「そうですねえ・・・。私は地方貴族の末っ子ですので自分の身は自分で何とか
しないとですからまずは冒険者になって稼ごうかと・・・塔のダンジョンに
いって思い始めました。」
「それもいいけどねえ。学生としてはまだ4年以上あるし他にもやりたい事が
できるかもだしね。その時はオマタやファントムがバックアップするよ。」
「ありがとうございます。当面の目標は皆さんの足手まといにならない事と
Fクラスを目指す事です。」
「今のジュリなら既にAクラスも狙えるけど?」
「今やFクラスは憧れの的なんですよ。」
「まじ?」
「まじ。」




