DARKNESS
食事の後、解散。ワイズ邸のアトリエでオーガキングの槍の分析。
「良い物ではありませんが、悪くもないってところですか?」
「そうだね。でも、これちゃんと鍛冶師が作ってるよ。」
「鍛冶師・・・人間が協力してるのか?」
「どうだろ?アトム、鍛冶業界に噂とかないの?」
「あるよ。闇ギルド。」
「闇ギルド?昔、ガーネットとタチバナで潰したけど。」
「その闇ギルドに武具を供給していた鍛冶師の集団が居たんだよ。そいつらは
今も存在してるしこの槍の質より見た目、いかにもモンスターが持つ
デザインっていうのが彼等の好みだね。」
「それはなんというか・・・わからんでもない。」
「・・・そうだね。」
「そうなんですか?」
「商業ギルドには武器商人も属してるんだ。今の所、モンスターの存在があるから
特に規制はないよ。」
「命に関わるからどうかとは思うけど、考えてごらんよ。今日のオーガ達の武具が
業物で質重視のものだったら・・・。」
「・・・違和感しか。」
「まあ人型で武器を持てるモンスターに限定されるがな。」
「鍛冶師の中でもその類の武具は暗黙の了解で認められてるんだ。」
「ロマンなんだよなあ・・・。」
「いやロマンでも襲われる方はたまったもんじゃないです。」
「どうする?」
「僕もさ武具を作ってる時に、ふと目玉をつけたくなる時があるんだよ。」
「わかるわあ・・・僕もドクロとかカッコイイんじゃないかと・・・。」
「いやいや・・・。」
「これはあれだね。光と影というか陰と陽というか。」
「ほっとくか。」
「こっちとしても回収できれば再加工できるメリットもあるし。」
「本気ですか?モンスターはこの世界の脅威ですよ?」
「犠牲になる人も少なからず居るのもわかってるんだけどね、モンスターが急に
ゼロになるのも色々と問題が起こるんだよ。スズメ、人はそれほど偉くない。」
「モンスターという脅威が戦争を防ぐ抑止力になってる事、また討伐を生業に
してる人々が沢山居る事だな。」
「そうだね。僕は人間ではあるけど人間が善でモンスターが悪とは思ってない。
人もモンスターも等しくこの世界の住人だ。」
「つまり弱肉強食だと?」
「そう思ってる。だから、そっち系の武具を作る連中は放っておこうと思う。」
「わかりました。ですが目玉とかドクロがついた武具は作らないで下さい。」
「「「ドキッ!」」」
「ドキッじゃないです。オマタクラブの評判が落ちます。ミナミに3人が変な
ものを作らないように見張ってもらいます。」
「「「わかりました。」」」
男子3人が額を突き合わせてひそひそ話。
「学園生の中にも邪眼が疼くとか言う奴が居ると思うんだ。」
「絶対いるな。」
「これは裏窓口を作るべきでは?」
「確かに。」
「しかし、ミナミの見張りがつくぞ。」
「いやそれはつまり学園内ではNGという事だよね。」
「成程、プライベートで作る分には問題ないわけだな・・・。」
「「「グフフ・・・・。」」」
「あの、ちょっと・・・まじで変なの流行らせないで下さい。」
オーガキングの槍は残しあとは鋳つぶす事に。
「このオーガキングの槍のおどろおどろらしさは鑑賞に値するねえ・・・。」
「特にこの先が斧状に広がってる感じが意味はないんだろうけど
そそるよね・・・。」
「こいつを作った奴は天才か・・・。」
3人で鑑賞会だ。これはこれで非常に楽しい。
「ぼ、僕、剣の柄にドクロ入れてみようかな。」
「じゃあ僕は目の形のランタンを作るよ。瞼が開いて光る感じ。」
「い、いいなそれ。じゃあ俺はガードが展開して手に絡みつく感じで・・。」
「「「グフフフ・・・。」」」
ここに闇オマタクラブが爆誕した。クラブハウスはワイズ邸の地下だ。
オーガキングの槍はガラスケースに入れてクラブハウスに飾る事にした。
ワイズは呆れていたが・・・月に1回集まって各自作ったおどろおどろらしい
やつを見せ合う事に。グフフ、キングシリーズを集めたくなったよ。
アトムを送って行こうと思ったがバイクを購入したそうだ。
見せてもらったが何故か古代臭がするんだよね。
屋敷に戻って風呂入って寝た、明日は銃の授業もある。
お早う。いつも通りなので割愛。
「さて、全員の魔導銃のプログラムも終わり渡した訳だがまずは野外研修の斑に
分かれてくれ。」
ガタガタと机の向きを変えたりして斑に分かれた。
「分かれたな。皆の魔導銃の動力は魔石ではなくジェムに替えてあるので
魔石の交換は必要ない。とは言え魔力は持っていかれる。個人差はあるが
エイルの見立てだと1発か2発が限界だ。そこで斑で話し合っていざという
時の運用を決めてくれ。」
「教官、運用というのは?」
「野外研修は斑で行動する。1人1発しか撃てなくても4人なら4発撃てる。
その4発をどういう状況に陥った時に使うのがベストかという事だな。」
「成程、了解しました。」
全員IA化してるから倍の話し声が聞こえる。中にはIA同士で言い争いに
発展している斑もある。さすがはインテリジェンスアームス・・・。
アトムは頬ずりしてるから銃のの方がドン引きだ。
ベースはみな同じ型なのだが、少し個性もでてきてるようだ。
各班を回りながら話を聞いたりアドバイスをする。
オマタの連中が各班に分散してるから野外研修までにはきっちりシュミレート
できるだろう。
「来週は実際に射撃場で撃ってもらう。それと魔導師志望じゃなくても魔力は
多いに越したことはない。時間がある時に瞑想、寝るまでに魔力を使い切る
ようにしてくれ。魔力腺が広がって流れる魔力も増加するからな。
不明点はブラウかザイルに聞いてくれ。以上だ。」
昼食を食べ午後からの授業もまじめに受ける、教師陣が試験の事をちらほらと
話し始める。錬金術の試験て何やるんだろう?
それとリナからオーダーが入った。蛇腹剣・・こいつ本当に錬金術の名門か?
だがシゲさん、アトムと目を合わせる。これこそ闇オマタの案件だ。
フフフ、リナよ、バンパイアの始祖を師匠に持つ君に相応しいおどろおどろ
しい蛇腹剣を作ってあげよう。
クラブハウスに行くとみんな明日に備えて訓練場で調整していた。新チームで
の始動だし連携の確認とかしてるんだろう。真面目かっ!
僕も新装備だしちょっと確認しておこう。真面目かっ!
「リング、ゴーレムお願い。」
「承知致しました。」
明日使うのは黒竹とガティックブラスターだ。身体強化はヴァジュラが調整
してくれるだろう。まずは黒竹オンリーで挑む。
「とうっ!」
んっ?ゴーレム君めっちゃ強よない?
まあ、いい訓練になるか・・・。
「私、カエデが戦ってるの初めて見ましたけどすごいですね。人間って残像も
だせるんですね。」
「いや普通は無理ですよミナミ。あれは言ってしまえばカエデの
エクストラスキルみたいなものです。」
「ふぇ~、あのゴーレム君って見た事ないです。」
「あのゴーレム君はリングさんがカエデ用に強化した最高難度のタイプです。
私でもゴブ刀だけじゃ無理かもですよジュリ。」
これはチームアルファ。
「ヒカミ様、何ですかあの変態的な動きは?」
「目で追えるだけでもすごいですよ、カルラ。」
「あれ神成分ゼロですよね?」
「ええアカリ。ロイド様もツバキ様も普通ではありませんが人間です。」
これはチームベータ。
「諭吉殿、あれは影分身とは違うのでござるか?」
「違うな、素だ。」
「あれでカエデ何パーですか?」
「本人曰く、5%だそうだ。俺からすると3%だがな。」
これはチームガンマ
「スズメ、カエデ様は瞬間移動ですか?私も覚えたいです。」
「優、あれはただ動いてるだけですよ。」
「・・・・。」
「しかも黒竹です。私、最近カエデが刀を使ってるの見た事ないです。」
「私もですザイル。新しい銃を試すとも言っていましたね・・・。」
これはチームデルタ。
よし、こんなもんかな。持ち手が小さくて使いづらい、しかし片手に収まると
いうのがセールスポイントだし。う~む、そうだ持ち手を2重にしてスライド
出来る様にしよう。座り込んでその場で改良。
「ギルマス、明日ゼータはゴブリンだけどいいかな?」
「はい、アルファもジュリが初ダンジョンですのでゴブリンからです。」
「って事は他のチームが河を渡った所からだね。」
「そうなります。なるべく進むようにお願いしてます。」
「まあ、無理のない所で。」
「カエデ、サバイバルキットが揃いました。」
「来週、配布しよう。オマタ分は渡しちゃって。」
「わかりました。」
さて、帰ろう。お腹空いたし。帰る準備をしていると青ちゃんから念話。
「カエデ、帰りに青国の帝都支部に寄れるか?」
「丁度帰る所、キリコは?」
「別に一緒に来なくていい。」
「了解。一緒に帰るよ。」
「き、貴様ー!」
「キリコ、青ちゃんに呼ばれたから屋敷に行くけど、どうする?」
「帰ります!」
「小腹も空いたし、カフェでも寄っていこうか。」
「パンケーキの美味しい所があるんです。」
「いいね。」 ジープで行く。
「ここです。」 おお、蔦が絡まっとる。いい雰囲気だ。
「神がやってるなんて言わないよね?」
「とても感じの良いお婆様ですよ。」
カランカランとカウベルが鳴る。
「こんにちは。」
「おや、キリコちゃん。学園の帰りかい?」
「はい。」
「今日は殿方といっしょかい?」
「はい。同じクラブとギルドなんです。」
「そうかいそうかい。」 ニコニコと本当に感じの良い老婆だ。
「カエデ・ガーネットです。」
「おやまあ、ベルちゃんの弟さんかのう。」
「はい。ベル姉もこちらに?」
「よく来てくれるよ。」
「私達はベル様に教えて頂きました。」
「そうだったんだね。」
「パンケーキ2つとコーヒーをお願いします。」
「少し待っとくれ。」
きたきた、これは・・・・。
「メレンゲ・・・。」
「おや、メレンゲを知ってるのかい?」
「お婆様、カエデの作るケーキは絶品なんですよ。」
「貴族様なのに?」
「あ、いや趣味程度です。」
「私にメレンゲの事を教えてくれた人も趣味って言っていたねえ。」
「頂きます。うまっ!」
「ふわっふわで美味しいんです。」
これは確かに通いたくなる。僕も通う事にするよ、グルカ・・・。
「大変美味しかったです。また来ます。」
「ありがとよ。」
「いや~旨かった。量も丁度いいね。」
「あの、カエデ・・・お婆様にメレンゲの事を教えたのはもしかして・・。」
「イカルガだね。」
「やはり・・・。」
「彼女の夫だった男と知り合いでさ、相談されたんだ。」
「ずっと昔にお亡くなりなったと伺いました。」
「そうだね。それでワイズにサポートを頼んだんだ。僕自身は数回しか会った
事がなかったから忘れてた。老婆じゃなかったし。」
「ヒカミが唯一ブラウニーの食材を使ってる店って言ってたんです。
納得しました。」
「彼女自信あまり商売には興味が無いらしくて、ワイズの方で客の選別を
してるって。忘れてたけど・・・。」
「それはしょうがありませんよ、関わった全ての人間を覚えてるなんて
ありえませんから。」
「思い出したし、僕も通う事にするよ。」
キリコの屋敷に着くと青ちゃんが門の前で待っていた。
「遅いぞ!」
「いや~、途中に美味いパンケーキ屋があってさ。」
「ふ、2人で寄り道だと!羨ましい・・・いや、けしからん!」
「青ちゃん、あまり干渉すると嫌われるよ。」
「何だと!それは嫌だ!ど、どうしようカエデ?」
「知るか!僕は子を持った事はない。白竜に聞けば?」
「駄目だ。あいつは放任主義なんだ。」
「っぽいね。」
そのまま青国の帝都支部へ。白さんが言っていた通り寛ぎのスペースだ。
キリコは着替えに行った。
「それで話しって?」
「ああ、ソドムアームスの件だ。」
「見つかったの?」
「本物かどうか白竜が調べている。」
「何が見つかったの?」
「水晶ドクロだ。」
「あれか・・・確かにレプリカも多いね。」
水晶ドクロはいわゆるDEWだ。指向性エネルギー兵器だ。
本物は水晶と名はついているが水晶ではない。この世界でガラスは貴重品では
あるが作れない事はない。その為、水晶どころがガラスで作られ美術品と
して高額で取引されている。
「本物なら即回収だね。動力として使うならいいけど兵器利用されると面倒。」
「ティーターンの眷族達も探しているようだぞ。」
「争奪戦か・・・白竜に無理しなくていいって伝えておいて。」
「いいのか?」




