SETTLEMENT
「とうっ!」
僕はぐおーとか言って暴れているアズールにパンチ&転位。かったー!
訓練場には既にエイルが来ていた。
「モップです。あの、鬼神相手にモップですか?折ったら怒られますよ。」
「まずいか・・・。それよりアズールを視てくれる。
何かこの力、違和感があるんだよね。」
「わかりました。」
「アズール!待たせたな。しょうがないから相手してやる。」
「ぐっ、ぐっ、カエデ・・・グワーネット・・・き、きさま・・殺す・・。」
こわいー!あとガーネットな!速い!
かろうじて避けた。ドカンッ!ええ・・・地面に穴があいてるよ・・。
もどきとは言え鬼帝は鬼帝か・・・。
どうすっかな・・・殺すわけにもいかないし、モップを折ったら怒られる。
神刀やIA達を箱庭から呼び出すのも気がひける。こんな所で極大魔法を使う
わけにもいかない。あっ、ヴァジュラ持ってた。
「ヴァジュラ、刀。」 あとは実弾銃か・・・。
「カエデ、わかりました。心臓に何かあります。何かの実のような、それ自体
脈打ってますから寄生型の何かだと思います。」
「となると・・・よし、1回死んでもらおう。リバイブお願い。」
「しょうがないですね。わかりました。」
鬼神アズールは確かに速いしパワーも人のそれじゃない。だけど、剣技という
事もなく力任せに鬼帝を振り回してるだけだ。鬼帝がこん棒に見えるよ。
当たったら痛そうだなあ、ってか死ぬよね。実弾銃の弾だとあの赤い皮膚は
貫通しそうにないし。などと考えながらも必死に避けてる状況。
やれやれ、諭吉の言う通り鈍ってるのかな・・・。
ヴァジュラのお陰で何とかなってるようなもんだ。夜叉、ありがとう。
「手伝います?」
「お願いと言いたい所だけど、鈍ってると言われるのも嫌だしもう少し頑張って
みるよ。」
鬼神アズールはもう言葉も話せないようだ。普通の子供がここまでなるか・・。
「あら、キメラが来ましたね。では私はこちらを。」
エイルは大人化して斬鉄剣で向かっていった。
「ヴァジュラ、デザートイーグル!」
ショートジャンプで超接近。ほぼゼロ距離だ。
ドウン!ドウン!ドウン!3発全て心臓へ。さすが神銃、貫通したよ。
寄生物も吹っ飛ばせれば・・・。
鬼神アズールは仰向けにズズーンと倒れた。姿も元に戻った。
胸に大穴あいてるけどね。
「エイル!」
「はいはい。リバイブ!」
キメラは残り5匹。
「ヴァジュラ、刀。斑鳩流『絶刀』!」
今出せる最大スピードで5匹を倒す。アズールが死んだからおかわりはない。
「ふへ~、全く見えませんでした。」
「アズールはどう?生き返った?」
「はい。ですが身体の衰弱が激しいので当分目は覚まさないでしょう。」
「良かった。さて、武道大会はどうなったかな?」
「うちの優勝ですよ。このアホは反則負けですし大量のキメラを呼び出し
てますからね。」
「こいつ退学にならないかな?」
「たぶん停学くらいじゃないですか。キメラは呼び寄せましたけど街にも
学園にも被害はゼロ。ここ以外のキメラはベル様達の迅速な指示で倒され
ました。それどころが沢山の素材が手に入り学園は黒字だそうですよ。」
「何かこいつ、いい事したような感じ?」
「さすがにそれは・・・。間違いなくAクラスの立場は弱まるのと家の方は
肩身が狭くなるでしょう。」
「ガーネットで証拠押えたからね。封じ込めるんじゃない。」
「予定通り貴族の面目丸つぶれの大円団です。」
「ふぅ・・・長かった。」
アズールは保健委員の皆さんが回収していった。回復したら風紀委員の取り調べ
が始まるそうだ。オマタの連中は光彩で姿を隠してキメラ達を瞬殺してまわり、
雷子達も何だかんだと活躍し、リナに至ってはカーミラと笑いながら鞭を
振るっていたそうだ。こわいー!
父さんはベル姉の凛とした姿に涙を流し、バート叔父さんもアリ姉の
リーダーシップに涙を流していたそうだ。授業参観みたいになったな。
さすがに表彰式は後日に延期され、祝勝会は表彰式の後クラブハウスでやる事に
した。全てがいい感じに収まったが一つだけ謎が残った。
アズールの心臓にあった脈動する種というか寄生物だ。
ティーターンが造ったのには違いないと思うが、薬を改良したものとは思えない。
生け捕りができれば良かったが、さすがにそんな余裕はなかった。
封魔のブレスは今は外せないし、野外研修に持ち越しだな。
教室に全員集まった。
「まずは優勝おめでとう。色々あったが優勝は優勝だ。担任として私も誇らしい。
代表チームはもちろんだが、それをサポートし協力したクラス全員の勝利だ。
表彰式と祝勝会は来週に持ち越しだ。明日からの4連休、ゆっくり休め。
シーゲル。」
「はい。代表チーム、優勝おめでとう。正直、本当に優勝するとは思って
なかった。なんとかなるもんだな。行事としては来月、野外研修がある。
今日のキメラを見てわかる通り、モンスターが活性化してる中での研修だ。
来週からしっかり準備をしよう。うちにはサバイバルのスペシャリストが
数人居るからな。今日は解散だ、ゆっくり休んでくれ。」
みな、それぞれの帰路に就く。
「シゲさん、じゃあ明日カスミを連れて箱庭に。ついでにアトムとゼルダも
拾ってきて。」
「わかった。」
「僕は婆ちゃんを送ってから屋敷に戻って母さん達を連れて箱庭に行ってる。」
「了解。」
クラブハウスに婆ちゃんを迎えに行く。
「婆ちゃん、お待たせ。帰ろう。」
「すまんのう。」
お店に戻り、少しだけ残った商品を棚に戻す。
「婆ちゃんもお疲れ様。」
「いや、色々と面白かったわい。」
「アカリに聞いて驚いたよ。キメラを何匹か倒したって。」
「龍神様の加護のお陰じゃのう。昔の血が騒いでしもうた。」
「それも驚いたよ。元Sランク冒険者、閃光のレットア。」
「大昔の話だわい。」
「婆ちゃんが『月隠』の所有者だったんだね。もう腰も曲がってないしね。
あっ、そうだ、これあげる。」
「何じゃ?」
「うまい酒。」
「おお、ありがとう。」 桃のソーマなのは黙っておこうププ。
「アトムの所で黒竹を量産してもらうから売って。」
「わかった、ありゃ流行るな。使ってみようかのお・・・。
カエデよ、しばらく仕入れの旅に出ようと思うとる。売る物がないわい。」
「いつ出るの?」
「まあ2,3日はゆっくりしようと思うとる。」
「了解。それまでにまた来るよ。」
「わかったのじゃ。」
婆ちゃん1人じゃ危ないな、強いらしいけど。そうだ、ラバンさんに付いて行って
もらおう。ガーネットの屋敷に転位。リビングに行くとみな揃っていた。
「ただいまー。」
「カエデちゃん♡。」
「今日はお疲れ様。僕らも色々収穫があったし面白かったよ。なにより優勝
おめでとう。」
「代表チームががんばった。」
「カエデ、あの鬼神とかふざけた事言ってたアレクサンドルの息子は?」
「それなんだけどねバート叔父さん。バーサーカー化させてたのは心臓にあった
木の実位の何かだったんだよ。エイルが言うには脈動してたらしくて
寄生虫みたいなものじゃないかって。取り出せればよかったんだけど心臓ごと
吹っ飛ばしちゃったから。」
「えっ、殺したの?」
「1度は。面倒だったし。ちゃんと生き返らせて病院に送ったよ。
しばらくは目を覚まさないだろうけど。」
「良かったわ。お馬鹿だけどまだ子供だしね。」
「親の方も最初は焦ってたけど、キメラの素材が大量に手に入ると知って
開き直ってたよ。まあ、証拠はこっちにあるから当分はおとなしくして
もらう。」
「良かったよ。母さん、マリア先生、これから箱庭に行くけど行ける?」
「大丈夫よ。楽しみにしてたんだから。」
「じゃあ父さん達は週末に迎えに来るね。」
「了解。僕達も楽しみなんだ。」
母さん達を連れて箱庭へ。
「ここが箱庭なのね。すごい所ねえ。」
「本当に・・・。強者の気配しかないわ。」
「この屋敷で働いてる連中も相当強いからね。空島の連中より強いから。」
「楽しみすぎて、ぞくぞくするわ。」
「まあまあ、まずはゆっくり寛いで。テラスからの見晴らしもいいよ。
ラプス、僕の母さんと叔母だ。」
「承知しております。初めまして無国の宰相をしておりますラスプと申します。
以後お見知りおきを。」
「ラプスさんも強いわねえ。」
「いえいえ、わたくしなど外の人外共に比べれば弱いほうですから。
戦闘は担当外でございます。」
「ますます楽しみねえ。」
「ラスプ、鈴音を呼んで。」
「もう居るわ。」
「あっ、鈴音。母さん、マリア先生、彼女が鈴音。婆ちゃんの師匠でもあるね。」
「は、初めまして。ツバキです。」
「大きくなったわね。よく、オムツを替えたわ。」
「えっー!何か恥ずかしいー!」
「全然ツムギに似てないわね、特にその胸。」
「ははは・・・。少しの間滞在するからよろしく。鈴音と闘って
みたいんだって。」
「ほぅ・・・私と。死ぬ覚悟はあるの?」
「何でそうなるんだよ!」
「あります!」
「あるのー!ちょっとマリア先生!」
「私もあるわ。」
「なんでー!」
「楓、勝負事は真剣にやらないと面白くないわ。」
「はぁ・・・。じゃあやるならユイカにも居てもらって。」
「わかったわ。ツバキ、マリア。私の屋敷に泊まりなさい。剣術談義に花を
咲かせましょう。」
「いいですね、是非。」
「楽しみです。」
2人は鈴音が連れて行った。やれやれ・・・。
「ラスプ、この辺に屋敷を3軒建てたいんだけど場所あるかな?」
「大丈夫です。この山は広げれますから。」
「そうだった。響さんの所へ発注して、デザインは任せるから。
それと、明日から友人が数人くるからよろしく。」
「承知しました。」
本当は神楽の人達も呼びたかったけど、1度に大人数は疲れちゃうからね。
また今度にしよう。
今日は久しぶりに戦闘もしたし、やっと武道大会も終わった事だしのんびりだ。
食堂で美味しい夕食を食べ、コーヒーを飲んでまったりしてると博士達が
夕食を食べにきた。
「やあ、博士。久しぶり。」
「ぬっ、イカルガか?いや、転生体か・・名は何だ?」
「カエデ・ガーネット。」
「本名じゃん!」
「まあ、そうだね。」
博士ことスレッタ。箱庭の研究者を束ねる科学者だ。もちろん人間ではなく
バンパイアの始祖。カーミラよりももっと格上だろう。
「クロノスの対抗策って事だったけど、また神とやりあうの?」
「いや、僕自身は関わる気はないけど身内が関わるもんだからさ。
念の為ってやつさ。」
「そう。今の所、対抗出来るのはあなただけね。時間とか時空の概念を
無視して動けるのは。」
「疲れるんだよねえ・・・。今の母さんもタイムストップを使えるけど。」
「母親って化物なの?けど、意味ないわ。お互いに時を止めたって我慢比べ
なだけだから。」
「アブソリュート・ゼロは?」
「それも同じ事ね。」
「頼むよスレッタ。それだと結局、僕が切り札になっちゃうし僕が止まった時間
の中でも動けるのはクロノスしか知らないんだよ。」
「封印が解けるまでどれ位時間はあるの?」
「あと7、8年かな。」
「考えてみるわ。」
「それと、バーサーカーって覚えてる?」
「バーサーカー?ティーターンの?」
「そうそう。」
「覚えてるわよ。あそこまで見事な失敗作はそうそうないもの。」
「また研究してるんだよ。」
「懲りない連中ね。」
「今日、戦ったんだ。」
「あなたも懲りないわね。」
「しょうがなかったんだよ。ヨウキが強化薬を作ったからそれだと思って
たんだけど違うみたいでさ。どうも寄生型の何かっぽいんだよね。」
「寄生型ねえ・・・サンプルないの?」
「そんな余裕なかった。」
「あくまで推測だけど、ハリガネムシって知ってるでしょ?」
「ああ。カマキリに寄生して操るやつ・・・まさかそれ?」
「そのものじゃないわ。けど、うちの連中も研究してて寄生じゃなくて
共生させるってのが今の所の結論ね。」
「共生かあ。」
「寄生先に死なれては困るでしょうし、住環境として最適化するかも。」
「その最適化の副産物が異常強化か・・・。」
やれやれ・・・。スレッタと話していて点と点がつながった。
スレッタも気が付いたようだ。
「カエデ、バーサーカー化した時の姿は?」
「1本角の赤鬼だったよ。」
「あれね、ハイランダーに近いかもね。」
「僕もそう思ったよ。」
「ハイランダーの因子にあたるのが、その寄生型の何かで急激な妖魔化を
おこす。いずれにせよサンプルがないと詳しい事はわからないわ。」
「わかった。近々、野外研修というのがあってね。そこで遭遇しそうだ。」
「野外研修?あんた学生プレイでもしてるの?」
「ちゃうわ!ちゃんと学園の1年生だ。」
「酔狂ねえ・・・。」
「今世はスローライフ命。」
「さっきまでの話とは正反対ね。」
「・・・・。」




