FORESHADOWING RECOVERY 2
「う~ん。キリコ、対抗戦が終わるまで黙ってよう。アトムはカーボナイトとして
戦うはずだ。完全に記憶が戻ってるわけじゃないからね。」
「わかりました。」
「ガイア、そのメギドの火だけど昨年ゼウスに頼まれて修理した。」
「なに!」
「クロ兄の誕プレだったからだ。」
「メギドの火が誕プレだと・・・いかれておるな。」
「まあ、いかれてる。けど、持ち主がクロ兄なら間違った使い方はしないだろうし
他の神が持つよりよっぽど安全だと思ってさ。」
「そうかもしれんのう。」
「ガイア、僕はソドムアームスを探し出して箱庭に封印する。」
「そのほうがいいのう。カエデ、ソドムアームスはおそらく・・・。」
「ティーターン神族の連中も捜してるか・・・。」
「そうじゃろうて。」
「白竜。」
「わかってるわ。外に青国の拠点が欲しいわね。キリコ、あなたの屋敷を
使わせて頂戴。」
「はい。」
「ワイズにも協力してもらって。」
「了解。」
やれやれ、やる事が増えていく・・・。ゼルダとアトムの伏線回収回じゃん。
ついでだ、もうひとつも・・・。
「青ちゃん、ラフェリアは?」
「たぶん響の所だ。祭りがうるさいから別荘に行くって言ってたな。」
「あそこか、行ってみるよ。」
響さんの国は箱庭の観光地だ。日本でいう軽井沢を国にした感じ。天狐のくせに
都会派だからね。転位してまずは響さんの屋敷に顔を出す。
「たのもー。」 シュンと狐のメイドさんが現れた。
「こちらです。」
「あれ?」
「ヒビキ様が、そろそろカエデ様が現れるだろうと。」
「さすが・・・。」
案内されたのは広いガラス張りのテラス。切り立った断崖がよく見える。
水墨画とかにあるあれ。春さんも居た。
「久しぶりぶり、響さん。」
「・・・なんだその挨拶は。」
「既に疲れててさ。」
「まあ、察するがな。」
「ラフェリアに会いに来たんだ。」
「来てるのか?」
「青ちゃんがたぶん別荘だろうって。」
「わかった。使いの者をだす。」
「ありがとう。」
「カエデ、ここはすごい所です。狐魂に火がつきました。」
「えっ、そうなの?」
「私、やはりこの国に引っ越します。近代建築です。」
そうだった・・・。響さん達は箱庭の建築の全てをになってるんだった。
響さん曰く「デザインこそ命。」どこぞの坊主みたいだ。
「もちろんオーケーだよ。響さん、いい?」
「もちろんだ。春には私のサポートをしてもらう。逆にいいか?」
「もちろんだよ。それとたまにでいいからバロン爺ちゃんの所に顔だして。」
「爺ちゃん?バロンてあのバロンか?」
「そうだよ、弟子なんでしょ。僕はガーネットなんだからバロン爺ちゃんの孫
だし、ガーネットの森がなきゃ箱庭の稼働が出来なかったんだから恩人だ。」
「むう・・・面倒だが恩人とあれば1度顔を出しておくか・・・。」
「喜ぶよ。泣いて・・・。」
「・・・めんどーだな。」
「ちょっと!ヒビキ!何よ、私のシエスタの邪魔をして!」
スエットにTシャツ姿のラフェリアが来た・・・。
「知るか!王が呼んでる。」
「王?イカルガが!どこ!」
「ここ。」
「へっ?狐と人間のガキじゃない!しかも、人間の方の目は死んでるわ!」
「ほっとけ!久しぶりだラフェリア、聞きたい事があってさ。」
「えっ!本当にこの魚の死んだ目がイカルガなの!」
「魚が増えとるがな!」
なんか疲れた・・・僕は封魔のブレスを外した。その瞬間、魔力の奔流がテラス
のガラス全てを吹き飛ばした。えっ?あれ?
「アホか!お前、神刀持ってないだろ!早く魔力を抑えろ!」
おこられちっちー!
「キャー!イカルガ―!」
ラフェリアに抱き上げられた。
「魚の死んだ目こそイカルガだったわ!」
「うおい!」
「全く・・・。」
でっかい入道やら何やらがやってきて、あっという間にテラスは元通り。
すげえな、おい!
「ラフェリアも落ち着け、そして着替えろ!王の前だ。」
「えっ、イヤ~ン。」 ボンッ、白いドレスになった。
「いや別にスエットにTシャツでもいいけど・・・。」
「いやよ!」
「さいですか。聞きたい事があってさ、僕は今帝都の学園に通ってるんだけど
先輩にハイランダーが居てさ。兄の頼みでその人のバックアップを
してるんだよ。」
「イカルガ、ハイランダーギルドの事は知ってるでしょ?」
「知ってるよ。ちょっかい出してきたら潰すけど。」
「・・・本当にやりそうね。で、何が聞きたいの?」
「妖魔化を止める方法、無理ならラフェリアみたいに自我を持ったまま進化者に
なる方法。」
「成程。まず、妖魔化を止める方法はないわ。植えられた因子にもよるけど
遅かれ早かれ必ず妖魔になるわ。」
「そっか・・・進化者の方は?」
「パターンは2つ。1つは人間を食べまくる事。もう1つは人間を全く
食べない事かしら。」
「まあ予想通りだ。ラフェリアが人間を全く食べないで進化者になったのは
やっぱり因子のせい?」
「そうよ。私はバンパイアの因子、しかも始祖の因子だったから魔力のみで
生きてこれた。」
「戦ってる姿を見たけど、ドラゴン系の因子っぽいんだよね。」
「ドラゴンか・・・絶望的ね。妖魔になる前に楽に殺すか、妖魔になってから
多大な犠牲を払って殺すかの2択よ。」
「どっちも選ばないよ。どのくらい時間があるかわからないけど、方法は
考えるさ。」
「1度、そのハイランダーを連れてきて。因子と進行度を見てあげる。」
「お願い。」 そううまくはいかないか・・・。
その後、みんなアフタヌーンティー。
「ラフェリアはしばらくこっち?」
「明日、戻るわ。祭りも終わるでしょうし仕事も再開するし。」
「仕事?」
「服屋よ。白竜とやってるの。」
「そうだった。」
「そういえばカエデも春もいいの着てるわね。」
「キリコが作ってくれてるんだ。」
「キリコ?青の姫の事?」
「そうそう。」
「ふ~ん、やるわね。私、帰るわ。」
「急だな。」
「青の姫に突撃よ!」
「わかった。じゃあハイランダーの件、よろしく。」
バサッと翼を出した。白い蝙蝠の翼だ。うわ~飛んでったよ。
「全く・・せわしない。でっ、どうすんだ?」
「まっ、とりあえずは来週の武道大会を終わらせてティーターンに狙われてる
野外研修だね。その後、期末テストでやっと長期休暇。あっ、クロ兄の
結婚式もあるね、荒れそうだけど。」
「神に狙われてる割には余裕だな。」
「白さんの国が動くみたいだし大丈夫じゃない?僕はフレイアからの依頼分は
頑張るさ。それに今の学園を舐めてもらっちゃあ困る。四聖獣の姫達、
しかも神とのハイブリッド。不動と愛染の息子、北の神の娘達、神居の神の
孫達に上位ドラゴン達ときた。なにより僕の姉や従妹達が生徒会だよ。
僕なら絶対に手はださない。」
「カエデ、わかってると思うが箱庭が稼働しだしたら世界は動くぞ。」
「だろうね。けど、僕はスローライフだ。邪魔する奴らは潰すだけ。」
「フフフ・・・スローライフ命か・・。それも良かろう。」
「響さん、スローライフとは別にソドムアームスを回収する。白竜にも
伝えたけど手伝って。」
「わかった。狐たちを外に出すぞ。」
「お願い。」
屋敷に戻ると夜叉が居た。
「早速来たわよ。」
「いらっしゃ、寛いで。」
のんびり夜叉と夕食を食べながら、この2日間の事を話す。
「盛り沢山すぎてお腹一杯よ。ソーマ頂戴。」
テラスに移動して街の夜景を見ながら飲む。僕はコーヒだよ、もちろん。
「雷電の噂を聞かなくなったと思ったら箱庭に居たのね。」
「中々、面白い奴だった。」
「ティーターンの件を伝えにきたのだけど、既に知ってたのね。」
「フレイアから依頼を受けた。ただ、さっきも言ったけど僕はクラスの連中の
安全の確保でいいかな。目的を考えるとAから順番って感じじゃない?」
「私だったら真っ先にカエデのクラスを狙うわ。」
「やめて!それはフラグ。やつらがどこまで情報をつかんでるか。やっかい
なのは野外研修の前に武道大会がある事だね。優勝を狙ってるから。」
「優勝なんてすると目をつけられちゃうわね。」
「本当だよ。僕達は分散した方がいいかもね。」
「ボディーガードね。」
「夜叉は神界に居るの?」
「ほとんど居ないわ。昼間は旅をしながら情報収集。夜はお店ね。」
「忙しいね。」
「そう?カエデの方が忙しそうに見えるけど。」
「いや~学生って忙しいよ。ところでヘリオポリスに知り合い居る?」
「居ないわ。っていうかクロノスの時に全員消滅したじゃない。」
「やっぱそうなんだ。」
「モンスターにも注意した方がいいわよ。」
「活性化してるとは聞いてる。」
「それもあるけど、ティーターンがあれの実験を始めたわ。」
「あれ?」
「覚えてない?クロノスの時の。」
「・・・まさか、バーサーカー。」
「それよ。」
「でも、あれは失敗してたじゃないか。無差別で暴れ出すからティーターンにも
相当な被害が出てた。」
「オリンポスが帝国と密約を交わしたのも、結局は兵隊不足じゃない?」
「成程ね、確かにティーターンも同じ状況って言ってたな。それをモンスターで
補おうとしてるんだ。」
「モンスターだけじゃないわ。」
「えっ、まさか人間も?」
「人工的に眷族を作ろうとしてるというのが私の見解ね。」
「・・・不可能じゃないね。人間の中に力を欲している者は山ほど居るよ。」
「人間に対しての実験は容易にできるわ。冒険者や・・・学生。」
「・・・全く、対抗戦や野外研修が荒れそうだ。」
「ええ、注意した方が良さそうよ。」
夜叉は屋敷に泊まって、翌日箱庭観光をして帰るとの事。
僕はバーサーカーの話を聞いてしまったので、すぐに戻ってゼルダとボルタに
得物を渡す。ぶっけ本番は危険だ。
諭吉に連絡して2人を集めておいてもらう。夜も遅いけどね。
「ラスプ、急用が出来たから戻る。後、よろしく。」
「承知しました。」
フユさんに転位。
「夜遅く、ごめんねー。」
「大丈夫です。皆さんは居間に。」
「ありがとう。」
囲炉裏部屋に行くと、ゼルダとボルタが眠そうにしてた。
「悪いね遅くに。」
「・・・・。」
「ねみー。」
「相手が欲しい、諭吉達も手伝って。」
「構わんが、何をだ?」
「後で説明する。とりあえず移動しよう。」
「どこへ?」
「空島。」
「お~い、円ー。」
「おう、準備は出来てる。そこのガキ共は寝かせる。」
「お願い。諭吉達は事情を聞いてから寝て。」
諭吉達にだいたいのところを説明する。
「盛りだくさんだな・・・。」
「急展開でござるな。」
「箱庭が稼働して色々伏線回収しちゃった感じかな。」
「それにしてもバーサーカーですか・・・。」
「神のやる事だ、何でも有りというわけか・・・。」
「対抗戦なのか野外研修なのかはわからないけど。」
「空島に来たのは時間稼ぎか?」
「うん。ゼルダの剣とボルタの刀を改良してきたんだ。ぶっつけ本番は
さすがに厳しいよ。別物になったし。」
「したんだろ!」
「そうとも言う。1週間ぐらいは稼げるだろう。悪いが付き合ってくれ。」
「まあ下じゃ1日だ。俺達も休暇に丁度いい。才蔵は空島、初めてだしな。」
「空島・・・。そもそもどこでござるか?」
諭吉達が空島の説明をする。
「おとぎ話ですな。まあこちらの世界はそうでござるが・・・。」
「別に1日中、彼らにつきあわなくていいしね。エステもあるよ。」
「エステ?」
「美月、行った事あるでしょ?」
「はい、キリコに連れられて何回か。」
「才蔵を連れていってあげて。」
「わかりました。楽しみです。」
「それじゃあ、明日からよろしく。」
父さんと母さんも居るな。まあ、朝にでも会えるだろう。
箱庭の件とティーターンの件は伝えておいた方がいいだろう。
母さんは鈴音と勝負したがってたしね。
さて、風呂入って寝よう。風呂に行くと諭吉と九郎も居た。チャポーン。
「バーサーカーとやった事あるのか?」
「あるよ。けどその時はモンスターオンリーだった。人間のバーサーカーは
僕も知らない。」
「強いのか?」
「滅茶苦茶強い。わかると思うけど僕達にはリミッターがあるでしょ?」
「ああ、俺達はそれをどう超えるか修行してるようなもんだ。」
「そうだな。バーサーカーにはそれがなくなるんだ。」
「脳はそうかもしれないが、身体はそうじゃないだろ?」
「うん。だからバーサーカーは敵味方関係なく暴れて死ぬ。」
「・・・ティーターンってアホなのか?」
「う~ん、彼らにとってモンスターや人間はその程度のものだろうね。
まっ、言いようによってはオリンポスもそうだけど。」
「戦ってみたいな。」
戦闘馬鹿2人がワクワクしてるよ・・・。




