FORESHADOWING RECOVERY 1
トマト畑はここからそんなに遠くない。茄子畑だったらジープだったね。
おお・・・トマトがたわわに実ってる。箱庭の気候はパーフェクト。
「お~い、次元坊~!」
「何じゃわっぱ・・・、イカルガ様か?」
「今はカエデ・ガーネットだけどね。」
「なんのひねりもないのう。」
「ほっとけ!それより相談があって来たんだよ。」
「相談?何じゃ?」
「剣を妖力対応に改良したくてさ。」
「妖力?何じゃガーネットは妖怪か?」
「違うよ。仲間に雷電の子孫がいてさ、雷鳴剣を打ったんだけどうまく反応
しなくて。」
「雷鳴剣?ミスリルか?」
「そうそう。」
「そりゃ無理じゃ。玉鋼じゃないと妖力は練り込めん。ましてやカエデは
人間もどきだからのう。」
「もどきって何!」
「見せてみい。」 シカタを見せる。
「剣としては見事じゃのう、玄武クラスじゃ。じゃが妖力は通らんのう。
妖力とミスリルは相性が最悪じゃ。」
「考えてみればミスリルは教会が聖槍とかに使うか。て事は玉鋼で打ち直しか。」
「じゃがカエデよ、妖力が通りやすいの意味わかっとるか?」
「んっ、どゆこと?」
「妖力が通りやすい刀を妖刀というのじゃ。」
「あっ、そういう・・・あれ?僕、普通に使ってるけど。」
「カエデは既に理から外れとる、参考にならん。妖刀に飲み込まれるのは
簡単に言うと妖刀が持ち主を妖怪化しようとするからじゃ。」
「前に紅桜とやりあったけど、ひょん爺の孫が飲み込まれてたよ。」
「ぬらの孫は完全な妖怪じゃなかろう?」
「うん、クォーターだね。」
「妖刀は本来、妖怪専用の刀という事じゃ。」
「これも預かってきたんだけど。」 ボルタの鬼丸を渡す。
「これは・・・懐かしいのう・・・。」
「次元坊が打ったやつでしょ?」
「そうじゃ。次元坊と名乗る前、自分が妖怪だと知らなかった時じゃ。妖力の
練り込みが中途半端じゃ。」
「今の持ち主は千疋狼の息子だよ。ハーフだけど。」
「ほう、せんの・・・。半分妖怪なら問題なかろうて。
逆に妖力の練り込みが足らん。」
「そっか・・・これはこれで問題ありか・・・。」
「そうじゃのう、だが方法がない訳じゃないのう。」
「教えてプリーズ。」
次元坊は懐から何か出した。
「両方ともこれでコーティングすればよいのじゃ。」
「玉鋼・・・いや、違うな。赤いね。」
「酸化した玉鋼じゃ。儂の妖力が練り込まれておる。」
「もらっていいの?」
「構わん。もう刀を打つ事もあるまいて。」
「何で辞めたの?」
「歳で槌がぶれるんじゃ、納得のいくものが打てんようになってのう。」
「じじいだもんな。」
「せめて爺ちゃんと言わんか!」
「そんなじじいに赤い玉鋼のお礼だ。はい。」
「んっ、何じゃ?甘い匂いがするのう。」
「酒、好きでしょ?」
「好きじゃのう、そのために老体に鞭打ってトマトの収穫をしとる。」
「それは崑崙山の桃のソーマ。あげた人達はみんな若返っちゃうんだよね。」
「全く・・・相変わらずでたらめじゃのう。」
「次元坊が打ってくんなきゃ困る連中が居るでしょ。」
「ここには妖怪も沢山住んどるからのう。」
「それ飲んで鍛冶師にカンバックだ。」
「ふぅ・・・しょうがないのう。わかったのじゃ。」
「じゃあ早速、コーティングするよ。」
「カエデ、雷電はここに住んどるぞ。」
「まじ!知らんかった。どこ?」
「白殿の部下じゃ。」
「白さんの・・・会ってみっかな。ありがとう、次元坊。」
「うむ。」
姫が帰還してる街はどこもお祭り騒ぎだ。ジープを走らせるのは危ない。
転位して白さんの屋敷へ。
「たのもー。」
「んっ、わっぱどうした?これやるからママの所へ帰んな。」
「綿あめをもらいにきたんじゃないよ。白さん居る?」
「おまっ、ロードを白さん呼びとは・・・親を連れてこい!説教してやる!」
「いや申し訳ないけど、両親はバカンス中。」
「何!子を放っておいてバカンスとは・・・。」
いや、なんか事実は事実なんだよね・・・。
「これもやろう。」 りんご飴をくれた。甘党か!
「あら、カエデ。」
「あっ、お嬢様。ロードは?」
「どっちの呼び方も止めて下さい。綿あめにりんご飴・・・甘党ですね。」
「まあ、嫌いじゃないけど。この人にもらったんだよ。」
「ヒカミ様、この不憫な子のお友達ですか?」
「不憫?あの、カエデはこの国の王ですが。」
「なっ!イカルガ様ですかー!・・・何代目の?」
「う~んと初代かな。」
「なんで子供ー!あのじじいが・・・さては悪魔に魂を売ったな!」
「違うわ!転生だ!あれ?会った事ある?」
「あのカエデ、その方が雷電さんです。お父様の腹心というか右腕の方です。」
「まじ?超フツー。もっとこう長髪で筋骨隆々かと・・・。」
「うん、まあ昔はな。っていうかじじいに負けてロードに拾われたんだぞ。」
「まじ?記憶にない。でも丁度いい、雷電に用があるツラかせ。」
「えっ!」
「さっきから騒がしいぞ、ライ。」
「やあロード、久しぶりププ。」
「カエデー!ゆるさんぞー!」
「何がだよ!話がややこしくなるだろ!」
「カエデ様、いらっしゃいませ。玄関で騒いでないでお上がり下さい。」
「久しぶり、ロードママププ。」
「ロードママ・・・あなたが変な呼ばれ方をするから・・・。」
「いやだって、領主的なものだし・・・。」 モジモジロード、キモイぞ!
リビングに通された、フレイアが居た。
「おっす、フレイア。来てたのね。」
「ええ、カーニバルに目がないのです。」
「さっき次元坊に会ってさ、雷電が白さんの所に居るって聞いたから会いに
きたんだよ。」
「ロード、イカルガ様が我との勝負を覚えていません。」
「アホ!デコピン1発でのされてただろう。」
「カエデ、ゼルダの件ですか?」
「そうなんだよ。得物の件は解決できそうなんだけど今ひとつ雷の使い方が
わからなくてさ。本人に聞こうと思って。」
「何の事だ?」
「クラスメイトに雷電の子孫が居てさ、雷の使い方で悩んでるだよ。コツを
教えろ、雷電。」
「なんと、我の子孫ですか?」 雷電は考え込んでいる。
「あのう、イカルガ様。我、結婚した事ないんですが。」
「へっ?子供は?」
「居りません。」
「本人が知らないだけとか?」
「いえ、我、恋愛には奥手でして・・感電するし・・・。」
モジモジ雷電、キモイ!
「錦がさ弱いけど雷電と同じ妖力だって言ってたんだよ。」
「狐仙が・・・。もしかすると我ではなく妹のもではないでしょうか。」
「妹さん、居るの?」
「はい、生まれつき妖力が弱くて妖怪より人に近かったです。人として生き
人として死にました。」
「そっか・・・冥福を祈るよ。でも、それなら子孫がいても。」
「はい。人間と結婚し幸せに暮らしました。そうですか・・ミズホの子孫・・。」
雷電は何かを思い出すような、遠い目をした。
「ライ、妹さんは雷を使えたのか?」
「我と性質は違いましたが、少し使えました。」
「というと?」
「我は雷を身体で受け止めエネルギーに転化しますが、妹はその身で雷は受け止め
られませんでしたので、雷玉というのを使ってました。」
「そういう事か・・・プラズマだ。」
シカタは避雷針になって雷を受け止めるが、そうじゃなくて剣をプラズマで覆えば
いいんだ。雷より威力はないが身体の負担も少ない。ゼルダの雷光、あれは妖力
じゃなくて魔力でやってたんだ。ハイブリッドって複雑・・・。
ゼルダには電離の仕組みを理解してもらわないと。
「参考になった、ありがとう奥手。」
「雷電っす!イカルガ様、子孫はどんな子ですか?」
「メガネをかけてる。」
「不憫な・・・目に障害が・・・。」
「いやカエデ、それは見た目では?」
「ははは、そうだね。雷電、今度連れてくるから色々教えてあげてよ。」
「はい!お任せを。」
「カエデ、少しいいですか。」
「何だい?フレイア。やっかい事ならノーサンキュー。」
「探偵社に依頼です。」
「・・・・何?」
「ティーターン神族が学園を狙っています。」
「へっ?何でまた。自分達の眷族も居るでしょ。」
「ティーターン神族も1枚岩じゃありませんよ。」
「そりゃそうか、中には過激派も居るか。」
「そうです。クロノスが復活する頃に丁度いい戦士になってますし、帝国は
オリンポスと密約を交わしてます。」
「ああ。僕の兄と姉がそうだね。」
「あっ、ユーリーとクロスの結婚式は今から楽しみです。」
「僕と父さんは憂鬱だよ。」
「すいません話がそれました。情報としては野外活動がターゲットのようです。」
「まあ学園側もまさか神が狙ってるとは思わないか・・・。」
「そういう事ですので、よろしくお願いします。」
「何を!」
「決まっています。ティーターン神族を追い返して下さい。」
「えっー、めんどくさいー!」
「義母殿、我々が動くのは問題ありますか?」
「ないですよ。眠っていた分、存分に暴れてけっこうです。」
「復帰戦ね!」
ロードママが指をボキボキ鳴らした。あれ?こんな武闘派だっけ?ヒカミを
見るとやれやれのポーズをしていた。まっ、そのほうが楽できる。
がんばれ白国の民よ。
さて、屋敷に戻ってシカタと鬼丸にコーティングをしよう。
転位して、そのままアトリエに直行。
赤い玉鋼、妖珠と名付けよう。なんか、カッコイイから。
妖珠を溶かした所にシカタを漬けて見る。んっ?妖珠がミスリルに浸食して
いった。成程ねえ・・・。不思議と刀身は赤くならなかった。けど、これは
妖刀・・・いや妖剣か。同じように鬼丸も処理。シカタは雷鳴剣から妖剣に、
鬼丸は名刀から妖刀にジョブチェンジ。
ああ、腹減ったなあ・・昼食忘れてた。食堂へ行く。
「バウンズごめん、何か食わせて。」
「ピラフでいいですか?」
「いいね。」 バウンズのピラフは絶品なんだ。
ピラフの上にステーキが乗ってるー!ウヒョーうまそう!
「バウンズ、うまいぞー!」
「フフ、ありがとうございます。」
コーヒー飲んで青国へ。アフロディーテやフレイアが居るならガイアも居る
だろう。聞きたい事がある。転位ー。
「たのもー。」
「あら、カエデ。」 すぐにキリコが来てくれた。
「ガイア、来てる?」
「来てますよ。」
リビングに行くと、青ちゃん、白竜、ガイアが居た。
「みんな、ひさしぶり。」
「むっ、カエデ・・・ゆるさんぞー!」
「おまえもか!」
「あなた、カエデは用事があってきたのよ。」
「全く・・・青龍は・・・。」
「ガイア、超古代人について教えて。」
「超古代人?ずいぶん懐かしい・・・。」
「タイタンソードの古代文字を読めるやつがいてね。」
「ほう・・・古代文字を。超古代人はタイタンソードを見てもわかる通り
兵器作りの1点において他の事より先に進んでおった。タイタンソードだけ
ではなく、他の武器もあってなどこぞに封印されておる。」
「その進みすぎた兵器開発が神の怒りにふれ、メギドの火で滅んだ。」
「そうじゃ。だが、住民のほとんどはお告げによりメギドの火が落ちる前に
避難できた。」
「という事はその末裔か?」
「その可能性が高い。だがそれだけでなく避難する住民の中に混ざりゼウスから
密命を受けた神達もおった。」
「マリス・・・。」
「何じゃ、知っておるではないか。」
「イカルガの仲間にマリスが居たんだ。そいつが使っていたのが
タイタンソードだ。そいつはクロノス戦で消滅した。」
「カエデ、まさか・・・。」
「そいつの名はテム。ヘリオポリス九柱神の一人だった。」
「ああ・・・あいつか・・・。」
「キリコ、テムには他にも呼び名があってね。それがアトウムだ。」
「やはり・・・。」
「どうやらアトムは末裔じゃなくてテムの転生体のようだ・・・。」
アトムの素性がわかった、テムだったんだ・・・。
まさかのエイルパターン、神そのもの。




