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「まあ、まだ時間はあるし何とかするさ。クロ兄の頼みだし。」
「ちなみにお仲間の方は妖魔化してないんですか?」
「してるどころが進化者だよ。けど箱庭はそもそも人外の集まりだからね、
ラフェリアは仲間の中で真ん中くらいの強さだったかな。」
「ですがカエデ、妖魔は・・・。」
「人を食べるね。けど、人を食べない妖魔は妖魔と言えるだろうか?」
「もしかしてラフェリアさんはそうなんですか?」
「生肉なんて気持ち悪いって言ってたよ、どちらかと言えばミディアムがいいそう
だ。それにさ、僕達だって肉を食べるじゃん。もちろん、食べられたくは
ないけどいさ。」
「そうですが、そう考える人間は稀ですよ。」
「妖魔は妖怪と同じで個々の能力や特性が違うんだよ。ラフェリアはカーミラと
同じで魔力そのものでエネルギーを得れるから食事は趣味。ストームさんが
どんな妖魔の因子を植え付けられたかにもよるよね。」
「現状はパワーで押し切るタイプでしょうか。」
「もしかしたらドラゴン系かも。」
「パワーならザイルも負けてませんからね、あの大鎌を自在に操ってます。」
「サイの立場は・・・。」
終わったようだ。ストームさんが肩で息をしている。ザイルは全然へーき。
「ザイルは本当に1年か?」
「はい、11歳です。」
「カエデ様、ストームは全然なっていません。大鎌ごときに遅れをとるとは。」
「まあまあ暴風、これからでしょ?鍛えるのは。」
「お任せ下さい。」
「ストームさん、暴風はダンジョンとかハイランダー相手の時だけにして普段は
これを使って下さい。それとこのブレスレッドも付けておいて下さい。」
鉄製のクレイモアと鎧のブレスレッドを渡す。
「私からはこれを。」
キリコがアイテムバックと戦闘服を渡す。い、いつの間に・・・。
「ザイルと打ち合う姿にインスピレーションを得ました。」
「本当におまえらは・・・。」
「ストームさん、住まいは?」
「ああ、安宿を寝ぐらにしている。寮だと皆が怖がるからな。」
「では今夜からクラブハウスを寝ぐらにして下さい。リング達が面倒を
見てくれますから。」
「い、いや、しかし・・・。」
「問答無用、ブラウニーのみなさーん!」
「えっ?うわっ!何をする!」
ブラウニーの皆さんが大挙押し寄せ、ストームさんを担いでいった。
グットラック、ストームさん・・・。
「さてと、キリコちょっといいかな?」
「はい。」 リビングへ戻りコーヒーブレイク。
「昼間、スズメにも伝えたんだけど、箱庭が使えるようになるんだよ。」
ガーネットの森にできるディアナの神社の事を話す。
「わかりました。神のやる事です、今週末ガーネットに戻る頃には完成してる
でしょうね。」
「そんな気がするよ。どうする?」
「どうするとは?」
「青ちゃんと白竜と一緒に暮らせるけど?」
「ああ、そういう・・・。帝都に仕事も屋敷もありますし、ましてや学園も
あります。両親が帝都に住むなら一緒に暮らしてもいいですが、私が箱庭に
住む事はないです。」
「了解。」
「カエデはどうするんですか?元々の屋敷があるじゃないですか。」
「そうなんだよ。皆の事も、もちろん気になってるしね。行ったり来たりになる
かな。鈴音と白華が学園に来るととんでもない事になりそうだし・・・。
いいキャンプスポットもあるんだよ。」
「それは興味ありますね。」
「じゃあ長期休暇に入ったらみんなでキャンプをしよう。」
「それは楽しみです。」
帰りは転位門を使わずバイクでヒカミの屋敷に寄る。
「ばんわー。」
「いらっしゃいませ、カエデ様。」
フォグのメイド服を着たブラウニーにリビングに案内される。
「あら、カエデ。さっきぶりですね、どうしました?」
「ハイランダーやら何やらで話せなかったから。」
スズメ、キリコ同様にガーネットの森の神社の事を話す。
「成程、それで両親と暮らすかと?」
「そうだね。」
「現在、色々なベースが帝都ですから2人が遊びに来る感じでいいです。」
「了解。」 みんな、ごめん。娘達は自立しちゃったよ・・・。
「それよりカエデ、対抗戦が来週です。明日から代表の皆さんの仕上げに入り
ますのでアドバイスをお願いします。」
「そっか、ヒカミから見てどうなの?」
「そうですね・・・優勝の可能性は今のところゼロでしょうか。」
「厳しいね・・けどそれが現実か。付け焼き刃で優勝する程、
甘くはないよね。」
「しかし、希望もあります。アトムは何か隠してるようですし、ボルタも1瞬
ではありますが私達並みに。」
「アトムにタイタンソードをあげたんだ。」
「タイタンソードって、あのタイタンソードですか?」
「うん、箱庭にあってさ。誰も使わないっていうか、誰も使えないから。」
「箱庭の超が付くほどの猛者達が使えない剣をアトムが使えると?」
「そうだよ。」
「・・・アトムは何者ですか?」
「う~ん、タイタンソードに刻まれてる文字を普通に読んでたから超古代人の
転生者かなんかだろうね。ガイアに聞けばなんか知ってるだろうけど、別に
どうでもいいしね。今を楽しむナウ。」
「まあ、そうですね。」
「ゼルダはどうなの?京に行って自分の素性を知ったけど。」
「大妖怪の子孫という事ですが、いかんせん身体ができてません。雷を纏う事は
できるようになりましたけど、エイルの見立てだともって数分、無理すると
自分の雷で感電死する可能性があるそうです。」
「子孫と言っても、ほぼ人間だろうからね。対抗戦では使わせない方がいいね。」
「はい、そう思います。」
「剣技だけでどこまでいけるかか・・・。ブラウとベルグは?」
「頑張ってますよ。ですが、年相応なのが当たり前ですから。」
「そうだね。まあ明日、見てみて方法を考えるよ。付け焼き刃の付け焼き刃。」
「何か手がありそうですね。」
「まあねー、ここまでは想定内。」
「やはり。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
僕はそのままシークレットプレイスに転位。
「久しぶりだな、ここに来るのは。」
「あらカエデ。ストレスでも溜まったの?」
「あっ、夜叉。居たんだ。」
「ええ、休みよ。ストレスが溜まったから。」
「丁度良かった、聞きたい事があって来たんだよ。」
「スリーサイズは知ってるでしょ?」
「知るか!」
「わかってる、雷電の事でしょ?」
「・・・正解。」
「そんなに知らないわよ。」
「やりあった事は?」
「魔神時代にあるわね。」
「クラスメイトに子孫が居てさ、少しだけ雷の力を受け継いでるんだ。けど、
その力をうまく使えないんだよ。長時間使うと自分も感電死するらしい。
うまく使う方法、知らない?」
「雷電も感電してたわよ。」
「そうなの?」
「落雷を受けても耐えれる身体って事ね。」
「そういう事か・・・。」
「私やインドラは身体に雷は受けないわ。私ならヴァジュラだしインドラだった
ら矢でしょ?」
「確かに。」
「カエデも雷を使うでしょ?」
「使うけど、僕の場合は複合魔法だからね神のようにノープロセスで発動は
できないよ。でも、何かわかった。何に雷を纏わせるかだ。」
「電気と違って雷は1瞬の出力がケタ違いなのよ。」
「プラズマ放電だしね。それに耐えれる剣があればいいんだ。あれ?雷鳴剣を
渡してあるけど。」
「雷電の子孫なら妖力用にしないと駄目よ。」
「そっか、鬼丸の剣版に改良すればいいんだ。」
「そんな事、出来るの?」
「いや、さすがに無理。けど箱庭に鬼丸の作者がいるし箱庭が復活する。」
「私、箱庭に屋敷が欲しいわ。」
「僕の屋敷を使うといいよ。山の上だから景観がいいしラスプが面倒
みてくれるから。」
「フフフ、ありがとう。同棲ね同棲。」
「違うし。」
ゼルダの目処は立ったけど、ぎりぎりだな・・。剣技を伸ばすか・・。
ガーネットの屋敷に転位し風呂入って寝た。翌朝ルーティンをこなし朝食。ベル姉
達はすでに学園に行ったそうだ。運営だって大変だ。メイド長によると父さん達は
そのまま別荘で週末を過ごしてから帰ってくるそうだ。円、よろしく。
のんびりコーヒーを飲んでからクラブハウスへ。珍しく全員いた。
「あれ?珍しいね、みんなぎりぎり?」
「違いますよ。今日から対抗戦の準備で授業は休みです。」
「知らんかった・・・。」
「カエデ、例のBクラスのアホ共が復帰しました。早速、ミナミを呼び出した
ようです。」
「ふーん、問題は?」
「ありません。」
でも気になるな・・・様子を見にいくか。
「カエデ、過保護ですよ。もう一か月前のミナミではありません。」
「そうは言うけどねキリコ。なんだかんだ忙しくて完璧な魔改造が出来てるか。」
「魔改造言うな!」
「しょうがないですね。リングさん、お願いします。」
「承知しました。」
モニターに訓練場裏が映し出される。おお。やっとるやっとる。
ミナミはとても穏やかで凛としている、睨む事もない。
成長したんだなあ・・・。
「カエデ、父親のような顔になっとるぞ。」
「いや、感覚的には孫だね。」
「お爺ちゃんの顔だったのか・・・。」
おっ、ミナミの態度にアホ共が怒り出し襲いかかる。全員フワッと宙に舞い地面に
叩きつけられる。合気だ、すげえな・・・。
アホリーダーが剣を抜いた。学園内だぞ、さすがアホ。
再びミナミに襲い掛かるも爆発した。
「残光?」
「違いますよ、ゴブ刀です。ミナミはゴブ刀でもエクスプロージョンを使える
ようになりました。」
「まじか・・・。スズメ、唯心流は?」
「皆伝クラスです。残光の指導の賜物ですね。」
「アホの腕、もげてるぞ。」
「んっ?黒子?」
するすると黒子が現れ、アホの腕をつなげた。
「エイル・・・。」
「最近コスプレが出来てないってぼやいてましたから。」
黒子は地面に這いつくばっていたアホ共を立ち上がらせホコリを払って消えた。
「何してんだアイツ?」
「仕上げですよ。」
ミナミはエプシロンをそいつらの足元にぶっぱなした。
「おいおい。」
「いや~、私とぶっ倒れる寸前まで射撃練習をした成果がでてますね。見事な
照準です。」
「アカリ・・・。」
ミナミは腰を抜かしているアホ共に何か呟き去った。
「キリコ、親達は?」
「私達で土地やら権益やらを半分にしてやりましたよ。アレクサンドル家に泣き
ついてるようです。アレクサンドル家が私達を招こうと必死ですが学生です
から丸無視です。」
「もっとやって。ミナミの急成長も見れた事だし対抗戦に集中しよう。」
シゲさんとキリコは組み合わせの抽選へ。頼むよー。
特訓の前にミーティング。
「いよいよ来週から対抗戦だ。特訓の成果を存分に発揮してちょーだい。」
「「お。おー・・・。」」
「どしたどしたー、元気ないぞー。」
「1度もゴーレムチームに勝ててないんだよ・・・。」
「大丈夫、ドーピングだ!」
「はっきり言うな!」
「ボルタ、奥義は?」
「なんちゃって奥義は使えるようになった。週末に京に戻ってママに見てもらって
仕上げるわ。」
女性陣が円陣を組んだ。
「聞きました?」
「ええ、ド変態がママって言いました。」
「ド変態なうえにマザコン?」
「錦さんもめっちゃ母性がありました。」
「ああ見えてボンボンですからねえ・・。」
「・・・・。まあ、がんばれボルタ・・・。」
「何を―!」
「アトムは・・・まっいいか・・・。」
「さびしー!」
「いやだって、いざとなったらタイタンソードを使うだろ?」
「まあそうだけど、師匠が来る時は使えないよ。泣くから。」
「任せるよ。師匠の手前、負けられないだろうし。」
「そうだね。」
「ゼルダ、雷鳴剣を改造して妖力用に調整する。」
「・・・何か雷が霧散する感じなんだよね。かといって身体に留めるのは危ない
からやめろって言われるし。」
「改良は事情があって週末になっちゃうから、それまで雷抜きで練習して。
ぶっつけ本番になるけど大会中に慣れて。」
「了解。」
「私は魔導も頑張ってはいるのですが、妙にストライクロッドの扱いが上手く
なってしまって・・・。」
「悪い事じゃないけどね。スズメ、ルール上はどうなの?」
「魔法を戦略的に組み込めば問題ありません。」
「よし、じゃあブラウはその方向で最終調整しよう。」
「わかりました。」
「ベルグはクロ―に慣れた?」
「慣れたけど、クマ先輩のゴーレムにどうしても勝てないんだよ。」
「そっか、後でちょっとクマ先輩とやってみるよ。」
「カエデは体術もいけるの?」
「カエデはジークンドーの達人以上です。私達の体術の先生と互角ですから。」
「ふえ~、本当に同級生?」
「11歳じゃ。」
「お爺ちゃんの顔!」




