NEW FACE
「リナ、対抗戦は体術に出場するんだって?」
「本意ではありませんが、他に居ないのでしょうがないんです。スネカジリ。」
「魔導部門にでも出場したかったの?」
「いえ、総合に鞭で。ですが皇女が出場しますので。」
「・・・鞭って。」
「いけませんか?ちなみに師匠は学園長です。」
「ああ確か、ローズウィップだったか。」
「よくご存知で。それはもう美しい鞭捌きです。シーゲル様は出場するまでもない
として、スネカジリとそこの空気は出場しないんですか?」
「僕は応援、頑張るよ。あと、そこの空気は剣代表だ。」
「ほう・・・。」
「いや、空気みたいなもんだけど一応、アトムね。」
「イチオウ・アトム。あなた錬金術師なら当然、錬金術を駆使して戦うんです
よね?」
「僕は錬金術師じゃない、鍛冶師だよ。」
「生産系ですか。なのに剣代表・・・捨て駒ですか。」
「・・・頑張ります。」
リナはAクラス代表だからな。アトムは捨て駒と思ってもらった方がいい。
情報戦はとっくに始まってるのだよ、リナ、君も既に丸裸だププ・・。
「何でしょう、スネカジリ虫に猛烈な殺意が・・・。」
さあ放課後だ。ゴーレムとの特訓はみなに任せ僕とアカリ、ミナミは武具を取りに
来た人の相手をする事にした。長刀の1年Gクラスの子と両刃剣の1年Jクラスの
子に会いたい。あと、チャクラムの子にも。
「カエデ様、お客様です。」
「了解。」
早速、両刃剣の子が取りに来たようだ。
「すいません、注文した剣を取りにきました。」
「いらっしゃい、出来てるよ。」
「あっ、あなたは・・・。」
「あっそうか、Jクラスには1度お邪魔した事があったね。」
「あの時とは随分、雰囲気が違います。」
「あの時は銃の授業の前で教官モードだったんだよ。」
「モードなんてあるんですね。あの時の言葉は胸に響きました。クラスみんなの
目の色が変わりました。」
「カエデはJクラスで何を言ったんですか?」
「何しに学園にきている、クラスなんて関係ない、ちゃんと学ばないと卒業したら
死ぬぞと。あと、クラスを牛耳っていたボンボンをぶっ飛ばしました。」
「・・・・。」
「青春してますねー。」
「やめてー!」
「その言葉を聞いて学園では使う気がなかった両刃剣を発注しました。ダンジョン
に潜ろうと思いまして。」
「元々の得物は?」
「使う事もないだろうと、実家に置いてきました。」
「迦楼羅さんは魔族?」
「そうです。取りに帰るのは遠いですから。」
「ダンジョンにはチームで?」
「いえ、ソロで潜ろうと思ってます。両刃剣は他の人との連携が難しくて。」
おお・・・中々の猛者だな。
「そっか・・・役に立つといいけど、初心者用の安い素材で作ってるからね。」
「銀貨1枚で作って頂いてるので当然かと。」
両刃剣を渡す。
「セパレイト・・・。」
「長いと持ち運ぶのが大変だと思ってね。魔力を流すと柄の部分が伸びて
合体するから。」
「すごいですね。これ本当に銀貨1枚でいいんですか?」
「いいよ。それより振ってみて、調整するから。カモナ、訓練場に案内して
あげて。」
「かしこまりました。」
丁度その時ヒカミが来た。
「ヒカミ、来た早々で申し訳ないけど武具のテストをしてあげて。」
「わかりました。ええと・・・。」
「カルラと申します。」
「わかりました。ではカルラさん、行きましょう。」 2人は訓練場へ。
コーヒーを飲んでひと休みしてると長刀を取りに来た。
確かGクラスの生徒だったな。
「あら、長刀を発注してたのはナガイだったのですね。」
「はいアカリ様。ボルタに教えてもらいました。」
「ナガイは弓を使っていませんでしたか?」
「いや~、せめて学生の時は弓から離れたくて。詰襟に長刀というスタイルに
憧れていました。」
なんか、わかるわあ・・・。実際、僕の戦闘服も詰襟だし。
「ナガイ君は栄花家の人?」
「そうです。長刀というか刀の経験はゼロなんですが、昔から家を離れたら
絶対使うと決めていました。」
「成程。刀は依頼通りのサイズで作っておいたよ。」
「おお・・ありがとうございます。・・・カッコイイ。」
「ナガイ、憧れはわかりますがそれ抜けるんですか?」
「ははは、アカリ様。抜けるかどうかは問題ではないのです。」
「飾りですか?」
「いえ、スタイルです。」 ふふ、面白い奴だな。
「ツカサにしばかれますよ。」
「だ、大丈夫だす。あ、姉上は弟に甘いはず・・・。」
嚙んでるけどな・・・。けど、長刀を持ってる弓使いか、面白い!
「ナガイ君、詰襟の戦闘服は?」
「これから作ろうと。その為にずっとおこずかいを貯めてきました。幸いにして
長刀が銀貨1枚で手に入りましたのでいけるかと。」
「ならばいい服屋を紹介しよう、同志よ。」
「おお、それはありがたい。」
キリコに念話。
「キリコ、ちょっといい?」
「はい。」
「エントランスにお願い。」
「わかりました、」 すぐにキリコは来てくれた。
「訓練中悪いね、早速なんだけどこのナガイ君に詰襟の戦闘服を作って
欲しくてさ。」
「詰襟の・・・。わかりました。」
「えっ!カエデ君、服屋って噂のキリコさん?」
「ナガイさん、噂とは?」
「えっはい、Fクラスにとてつもないユルフワの・・・間違えました。
とてつもなく強い女の子がいると。」
「・・・・。」
「ククク・・・。」 やばい、笑ってしまった。
「確かにユルフワですね。」
「手入れが大変そうですね・・・。」
「天パです!」
「そうだったのー!」
「んもう!ナガイさん、詰襟以外で希望はありますか?」
「はい、家のイメージカラーが群青ですのでそれで。」
「栄花家って、イメージカラーなんてあるの?」
「えっ?皆さんはないんですか?」
「ないよ!」
「わかりました、群青で作ります。今、作ってしまいますのでじっとしていて
下さい。」
「えっ?」
「「「おお・・・・。」」」 さすがキリコ。
「い、糸使い・・・。」
あっという間に完成。すげえな、糸のレベルも上がってるのか・・・。
「おお、良く似合ってるよナガイ君。」
「これはすごい!来てる感じがしないです。」
「長刀と戦闘服のテストをして、微調整するから。アカリ、お願い。」
「わかりました、ナガイ行きましょう。」
ナガイ君とアカリはカモナの訓練場へ。チャクラムを発注していた女の子が
既に来ていた。他の剣も取りに来ていたのでキリコとミナミにお願いした。
「すいません、お待たせしました。」
「大丈夫だよ。美味しいケーキとお茶をもらってたから。」
言葉は男の子っぽいが女の子だ。
「チャクラムとは珍しいですね。」
「ロイド流の道場が近所でさ、よく遊びに行ってたんだ。そこでアスカ様を見て
カッコイイなと思って。」
やはりそうか。
「同門なんですね。」
「見た事ないぞ。」
「ああ、すいません。僕はカエデ・ガーネットです。」
「何!お前が出涸らしの次男!」
「そうです、出涸らしの次男です。」
「何故、道場に来ない!出涸らしなんだから修行しないと駄目だろ!」
「いや~、レビやビッケにも言われてるんですけど忙しくて。それにロイド流は
たまに父さんに教えてもらってますよ。」
「ぬ・・直接か・・羨ましい。なら、いい。」
「ラルさん、チャクラムの師範なんて居るんですか?」
「うむ、バート様の後輩というか、私の父が教えてくれている。」
「そうだったんですね。僕も小さい時にバート叔父さんに無理矢理、学ばされまし
たよ。7歳の誕プレ、チャクラムですよ。」
「なんと私も同じだ同志よ。あれじゃないか、魔導書型のチャクラム。
しかもIA。」
「そうです、そうです。」
「それはバート様と父様が共同開発したものだ。開発したのはいいが需要は
ゼロだ。」
「ははは、ポケットにしまえて便利なんですけどね。気づかれませんし。」
「私は最近やっと少しIAを使えるようになった。今回お願いしたのは練習用の
ものだ。道場にあるのはちょっと大きくてな。」
「成程。オーダー通りのサイズで作ったのとハンドチャクラムも用意しました。」
「おお・・・。欲しいと思ってたんだが父様にまだ早いと言われてな。」
「まあ、今から慣れておくのもいいんじゃないですか。」
「お前はハンドチャクラム、使えるのか?」
「いえ、僕の得物は刀や剣がメインなので。」
「そうか、ツバキ様からも学べるのか・・羨ましい。」
「2人とも世界を飛び回ってますから、たまにですよ。チャクラムを試して
下さい。調整しますから。行きましょう。」
「どこへ?」
「訓練場があります。」
「すごいな、ここ。小屋にしか見えなかったが。」
「まあ、色々あって。行きましょう。」
訓練場に行くと先に来ていた連中がテスト中。
カルラさんがヒカミに膝まづいてるのは見なかった事にしよう。そういや王族だ。
ナガイ君が長刀に振り回されてるのも見なかった事にしよう。
ラルさんにチャクラムを渡す。
「おお・・・プリチーではないか。」
「百合の彫刻を入れました。使ってみて下さい。」
「わかった。」
ラルさんは何か呟いた。おお、基本通りパスで操るんだ。まあ、僕の使い方が亜流
あんだけどね。
「少し打ち合ってみましょう。ラムさん、お願い。」
「御意。」 気に入ってるな・・・。
「おお、それがカエデのチャクラム。IAを使いこなすとは・・・本当に
出涸らしなのか?」
「出涸らしの次男です。」
僕の魔力を使ってラムさんは自由に動いてくれる。
見てるとバート叔父さんやアス姉とは少し違う使い方だ。ずっと飛ばしていると
いうよりブーメランのように手元に戻すのにパスを使っている。ジャグリングを
見ているようだ。少し打ち合って終了。
「どうですか?」
「すごい使い易い!これが銀貨1枚でいいのか?」
「ええ、素材自体はいいものを使ってるわけではないので。上達したらもっと
いい素材のチャクラムに変えて下さい。」
「わかった。それにしてもカエデのチャクラムはすごいな。操ってるようには
見えなかったぞ。」
「実際、操ってませんよ。IAのラムさんが自分の意思で動いてくれてます。」
「そうか、IAか・・・。私ももっと魔力量を増やせばできるようになるか?」
「もちろんです。」
「ありがとう、ためになった。それと忙しいのかもしれんがたまに道場に顔を
出せ。師範達が喜ぶ。」
「ええ、対抗戦が終わったら顔を出しますよ。」
次はシゲさんが作った手甲と足甲だな。結界杙もまだ取りに来てないか。
生産部も仕事をためると忙しいな、注意しよう。
「カエデ様、お客様です。」
「了解。」
エントランスに戻ると、赤髪のナイスバデーの人が居た。
「すいません、お待たせしました。」
「大丈夫よお。」 2年Aクラスの人だ。
「手甲と足甲でしたね、出来てますよ。」
「噂には聞いてたけど、仕事が早いわねー。」
「難しい素材は使ってませんので。」
「その歳で素材の良し悪しがわかるのもすごいわねえ。」
「ナギサ先輩は九重家の?」
「そうよお、華様が勧めてくれたの。」
「華姉達のギルドですか?」
「そうよお、タチバナとはズブズブねえ。」
「鉄製でいいんですか?」
「ギルドで深部に潜る時は『赤虎』を使うわ。」
「ああ、成程。普段使いには強力すぎるんですね。」
「そうなのよお、かと言って素手じゃ手や足が荒れちゃうし・・・。」
「赤虎を見せていただいても?」
「いいわよう。」
おお、初めて見る。九重家の赤虎・・・軽いな。
「ナギサ先輩、赤虎が思っていた以上に軽いです。鉄製だとかなり
重くなりますが?」
「いいのよう、鍛錬になるし。」
見た目とおっとりした口調とは裏腹にストイックだな。ベル姉達のギルドに所属
してるのは伊達じゃないか・・・。
「わかりました。構造と見た目はほぼ赤虎です。」
「すごいわねえ、華様がプッシュするわけねえ。
さしずめ銀虎というとこかしら。」
「いいですね、銀虎。早速テストしましょう。」
「いいわよう。」
「ザイル、カモナの訓練場に来れるかな?」
「大丈夫ですよ。」 ザイルがすぐにきてくれた。
「ザイルちゃん、こんにちわ。」
「あっ、ナギサ先輩!」
「2人は既に知り合い?」
「はい、体術クラブで指導をしてもらってます。」
「そうなのね。銀虎のテストに付き合って。」
「わかりました。・・・あの、鎧を付けていいですか?」
「えっ、いいけど。」
「ナギサ先輩が相手だと生身は無理です。」
それほどまで・・・始まった。確かにすごいな・・神であるザイルが押されてる。
ジークンドー・・いやマーシャルアーツか。まあ、ザイルも得意なレスリングは
使ってないがな。お互いに礼をして終わったようだ。
「お疲れ様です。どうでした?」
「いいわねえ、これ。もしかしたら赤虎より使い易いかも。本当に銀貨1枚で
いいのかしら?」
「いいですよ。鉄製は鉄製です。耐久力はそんなにないのでダンジョン深部では
赤虎を使って下さい。」
「わかったわ、ありがとう。」
「ナギサ先輩は大会には?」
「出ないわよお、華様達のお手伝いね、っていうか私、書記よ。」
「ああ、すみません。役員の方だったんですね。」
「そうなのよお、あの3人が居るから私なんてカスミ草よカスミ草。」
「髪、赤いですけど・・・。」
「それは言わない約束なのよお。」
カラカラと笑ってナギサ先輩は去って行った。




