REBOOT
「魔導の代表はレイキ家の長男だ。」
「リナのお兄さんか・・・錬金術師が相手だね。けど、レイキ家の体質が古いから
もしかすると無詠唱でいけるブラウが有利かも。」
「無詠唱はまずくないですか?」
「確かに・・・。短いなんちゃって詠唱を言ってもらおう。」
「体術はこのクマか・・・無理じゃね?」
「無理かも・・・。」
「体格差がありすぎます。」
「もし当たったら、トラウマになる前にギブしてもらおう。」
「総合の代表は槍使いだな。」
「槍とういかこれは・・・。」
「十文字槍ですね、知ってるんですか?」
「僕は今ガークさんが作ってくれた短槍を使ってるんだけど、『箱庭』に元々
使ってた槍があるんだ。『蜻蛉切』っていうんだけどね。その槍と同じクラス
の名槍、『無骨』。」
「短槍ではないんですね。」
「うん、短槍は今の身体のサイズに合わせただけ。」
「やばいのか、あれ。」
「やばいね。15歳であれを振り回す事ができるのは相当な腕力だ。」
「ゼルダもギブ推奨ですか?」
「いや、この部門は総合だからね。ゼルダが雷系の魔法を使いこなせれば
勝機はある。」
という風に各クラスの傾向と対策を練る。正直言うとベル姉達を見てるので
それに比べると・・・比べちゃいかんのだけど、大したことはない。眷属も
出場してないみたいだし、これは意外と団栗の背比べだな。
ぶっちゃけると現時点での優勝候補は5年Aクラス、1年Aクラス。
ダークホースで1年Bクラスってとこだろう。
「優勝候補は5年Aクラスと1年Aクラス。伏兵が1年Bクラスって感じだな。」
「そうですね。」 シゲさんスズメが同じ見解なようだ。
「本物の上位ドラゴンもやばいですよ。」 エイルは1年Bクラス推し。
「この3クラスのデータをゴーレムに組み込んで特訓すれば、他のクラスにも
対応できそうだ。」
「大将から3年Cクラスの弓使いに注意しろって伝言をもらってる。」
「あれ?見逃したか。」
「えーと、あっ、この人ですね。総合に出場ですがデータ上は槍になってます。」
「えっ?リング、あの槍にズームして。」
「承知しました。」
「あれは・・・。」
「知ってるのか?」
「実物を見るのは僕も初めてだけど、多分あの槍は弓に変形する。遊子弓といって
ベル姉がたまに使う月天弓ほどじゃないけど人間の力では引ききれないはず。」
「女性ですが・・・。」
「もしかすると鬼か竜人なのかも・・・。」
「キリコは知っているでしょうか?」
「どうだろう?見た感じだと鬼って感じはないかな。ほら、蛍って鬼とのハーフ
だけど筋骨隆々でしょ?」
「確かに・・・。」
「もしかして栄花家の人かな?」
「名前は・・・ツカサ・エイカですね。」
「それなら納得だ。神居の鬼混じりの武家だね。個人戦なら脅威だけどチーム戦
だからね、一応チェックって感じでいいんじゃない。」
「わかりました。」
「それじゃあ明日からゴーレムとチーム戦だ。みんなもやれば?」
「俺はパスだが大将あたりは喜ぶだろうよ。」
「私はトライしたいですね5年Aクラスがいかほどのものなのか体感して
おきたいです。」
訓練場によって様子を確認して屋敷に戻りぼーっとする。いいな。
春さんに僕も黒い狐面を作ってもらおう。
「春さん。」
「はい。」
「僕にも黒い狐面を作って欲しくて。」
「出来てますよ。今、持って行きます。」
少し待つと春さんだけではなく、小梅、イチ、ニイも来た。
「おや、みんなおそろいで。」
「今日はガーネットで従魔会がありますので。」
「そうなんだね。僕も久しぶりに大食堂で夕食を食べようかな。」
という事でみんなでガーネットへ。なんだかんだで超久しぶりのガーネット領だ。
とりあえず大食堂で夕食。精霊達が飛び交い、人も多いし中には空島の住人も。
これこれ、これが大食堂だ。
「あっ、カエデー!」
「やあ、みんな久しぶりだね。」
小梅達は従魔会の席に行った。さてと僕は・・・。
「カエデ。」
「あっ、バート叔父さん。」
「どうした、問題か?」
「違うよ!夕食を食べにきたんだよ。後、お土産を渡しに。」
「あら、カエデちゃん。久しぶりね。」
「マリア先生、久しぶり。」
「お土産か・・・嫌な予感しかせん・・・。」
「大丈夫だよ。ただの海産物だから。」
「何かしら?」
「キャノンマグロとでっかいロブスター。あとアワビとサザエ。」
「えっ!」
「料理長ー!」
すぐにダニエルさんが来た。僕の顔を見て溜息をついた、何で!
「カエデがキャノンマグロとおそらくはエンペラーロブスターを持って来た。」
「えっー!」
「あっ、モサクジラもあるよ。」
ダニエルさんが気絶した。何でー!
その後は例によって大食堂が大騒ぎに。そして宴会に突入。
「やばいわね、初めて食べるわ。」
「美味しかったよ。」
「まあ、いつもの事だと割り切ろう。美味いしな。学園はどうだ?」
「う~ん、どうだろう?始まったばかりだし、今の所は目立たずやれてるかな。」
「お友達はできた?」
「まあ、いつも面子に数人増えた感じ。麻呂の孫とか千疋狼の息子とか超古代人
とか。超古代人はカーボナイトだね。」
「・・・・・。」
「麻呂って神様の?」
「うん。」
「相変わらずと言えばそれまでだが、カーボナイトとはレアだな。」
「これからクラス対抗戦があるんだよ。」
「ああ、今頃ね。でるの?」
「でないよ、応援かな。アリ姉達も運営サイドだから出ないしね。」
「今年は面白いんじゃないの?黄金の世代だし、ヒカル君も居るでしょ?」
「そうだね。我がFクラスも優勝目指して頑張ってるよ。」
「・・・・何を企んでいる?」
「えっ、いや~ちょっと貴族たちの選民思想をぶち壊そうとおもって、
イダダダ!」
「アホか!お前、去年神居の封建制度をぶち壊したばかりじゃないか!」
「い、いや、すぐに貴族制をぶち壊そうとしてるわけじゃないよ!学園に居る間に
下剋上を当たり前にするだけだよ!」
「カエデちゃん、同じ事のような・・・。」
「AクラスにもBクラスにも人を見下すような貴族がいてさ、特にアレクサンドル
家は冒険者を雇ってまでして自分の息子を優勝させようとライバルを襲わせてる
からね。」
「なに!アレクサンドル家だと!」
「そいつが雷子の腰巾着で僕にもちょっかいを出してきてうざいんだよ。」
「よし!カエデ、やってしまえ!」
「あれ?」
「ああ、バートはアレクサンドル家が大嫌いなのよ。」
「一応は雷帝派だからな。兄上も雷帝も敵対してる訳ではないのだが・・・
なにしろ性格が悪い。」
「バートは学生の時によく嫌味を言われてたわね。」
「そうなのだ。激怒するほどでもない事をチクチクと言われたな。」
「うわぁ・・・。まあAクラスと当たるかどうかわかんないけど、もし当たったら
アレクサンドル家の思惑は木端微塵にするよ。」
「面白そうね。カエデちゃんのクラスが決勝まで行ったら見にいこうかしら。
アリスにも会いたいし。」
「うむ、そうしよう。カエデ、決勝まで必ず行け。」
「今、代表達を鍛えてるから任せておいて。」
「・・・ずるはなしだぞ。」
「ルールの範囲内で。」
「・・・・・。」
爺ちゃん達もきて、久しぶりに皆で夕食。これはこれでいいもんだ。
食事しながらガーネット領の現状を聞いた。造船も飛行船も絶好調でもう少し
好景気は続くと見ているとの事。酒造、回復薬、燻製、ホットサンド、カフェも
何の問題もなくガーネット家の資産がどんどん増えており、何か新しい事に投資
しないと目立ち過ぎるとの事。
僕は学校を作る事を提案。帝都に1校だけだと少なすぎる。ガーネットに学校が
出来れば僕は間違いなく転校する。学園の後の大学みたいなものでもいい。
バート叔父さんは父さんと相談するとは言ってたがかなり前向きなようだ。
さて、今夜はガーネットの森でキャンプしよう。世界樹の周辺や湖でもいいが、
せっかくなのでもっと奥に行く事にする。なにしろガーネットの森は広いからな。
明日は直接学園に行けばいいし。
「イド君、森の真ん中辺までお願い。」
「かしこまりました。」
真ん中辺まで行くと、そこは人の手が入っていない原生林だ。イド君が降りれる
スペースもないので最寄りの大木に降ろしてもらう。真っ暗だな。
カンテラを点け木を降りる。久遠島ほどではないが大きな木だ。
降りると苔むした世界が広がり丁度1人用のテントを張れるスペースがある。
最近、自作した小型の焚火台を使ってみる事に。お湯を沸かすだけだし十分だ。
いいな、獣の気配は多数あるが結界を張るほどではない。ただ、魔力がすげえ。
小さい焚火を見ながら1人ぼっーとコーヒーをすする。気づくと1羽の白い梟が
こちらを見ている。
「こんばんは。今夜、野営をさせてもらうね。朝には帰るから。」
「気にしなくていいわよ、森は本来誰のものでもないわ。」
「おや、話せる梟。コーヒー飲む?」
「ええ、頂くわ。」 バサッとナイバデのお姉さんに変化した、いや逆か。
「やっぱディアナか。」 ディアナドラゴンではない。森の神だ。
「あら、私の事を知ってるの?」
「久しぶり、イカルガだ。と言っても転生体だけどな。」
「成程ねえ・・・今はガーネットの子?」
「そうだよ、ガーネット家の次男。11歳になりました。」
「納得だわ。この森、異常だもの。」
「別に俺のせいじゃないぞ。エルが世界樹を植えたり、大精霊が頻繁に出入りして
たりしてるし、何より神々の祠が多数ある。」
「それは外側の話。私が言ってるのは内側の話よ。」
「どゆこと?」
「魔力が多すぎるのよ。」
「つまり人間で言うところの魔力過多?」
「そうね。」
「原因はわかってるの?」
「森が張り切ってる感じかしら。」
「えっ?」
「温暖な気候、適度に風も吹く、水も清流、人も立ち入らないから土壌もいい。
イカルガ、『箱庭』は?」
「魔力不足で数分しか使えない。」
「ああ・・・それね。」
「それ?」
「この森はあなたのために魔力を作ってるのね。」
「はっ?」
「ここなら『箱庭』が使えるわよ。」
「まじ?」
「まじ。あなた自身の魔力じゃなくてこの森の魔力を使うの。外部電源みたいな
感じかしら。」
「どうやって、そんな事できるの?」
「あなた、自分のエクストラスキルなのに理解してなかったの?」
「何を?」
「考えてもみなさい。『箱庭』の住人達は別に『箱庭』の1部じゃないでしょ?」
「・・・そうだね。あれ?じゃあ何でスリープしてるの?」
「自分で言ってたじゃない、魔力不足って。」
「まさか・・・『箱庭』を維持するため・・・。」
「住人達が『箱庭』が消えない様に維持してるのよ。そのエネルギーがあれば眠る
必要もないし自由に動けるはずよ。1度動き出せばこの森の魔力と『箱庭』の
森の魔力で稼働しだすはずだから、あなたの魔力は少しで済むわ。」
「・・・・でもどうやって森の魔力を取り込むの?魔石やジェムってわけじゃ
ないでしょ?」
「そうね、祠じゃ弱いわね。神社か神殿を造りましょう。」
「えっ?そんなスペースないじゃん。」
「大丈夫よ、木々がどいてくれるわ。」
「ええ・・・・。」
木々達がズズズッと動き出した。こわいー!
丁度、神社を造れるくらいが更地になった。
「神社にする?神殿にする?」
「えっ、誰が建てるの?」
「私が建てるわ、住みたいから。」
「ええー!って、まあいいか。ここなら誰も来ないだろうし、神社でお願い。」
「静かで最高の場所よ。完成したら連絡するわ。」
「お礼をしないとね。」
「必要ないわ。定住できる家が欲しかったのよ。」
「まあ、何か考えておくよ。」
「それじゃあそういう事で。準備があるから行くわ。」
ディアナは白梟になって飛んで行った。更地にテントがポツンと・・・。
う~ん、箱庭の復活か・・・嬉しいけど嫌な予感も沢山するよ。
鈴音と白華は一緒に居たがるだろうし・・・。そりゃあ僕だって自分の屋敷が
1番落ち着くよね。キリコ達は親と一緒に暮らした方がいいかな?
う~ん、今考えてもしょうがないか・・・神社が完成してから考えよう。
さて、焚火を楽しむとしよう。




