BEHIND THE SCENES
「夜分、失礼します。」
「大丈夫だよ。」
「昼間依頼があった件、調べ終わりましたのでご報告を。」
「ありがとう。」
「被害者4名の家は全て下級貴族で親同士の繋がりもあります。おそらくカエデ様
の推測通りなのではと。4人ともかすり傷でぴんぴんしてます。」
「上にそれを指図した奴はいないの?」
「おります。ビクター・アレキサンドル伯爵です。」
「成程ねえ。つまり少しでも1年Aクラスが戦いやすいようにと。でも雷帝は別に
そんな事で喜ばないでしょ?」
「霊帝というよりは自分の息子に箔を付けさせたいんじゃないでしょうか。」
「くだらないな。」
「どうしますか?」
「従魔じゃなければそれでいいよ。どっちみち馬鹿親父がどうあがいてもAクラス
の優勝はないから。紐付けはしておいて。」
「承知しました。」
「カモナ、ちょっとフユさんの所へ。」
「かしこまりました。」
「フユさん、ばんわー。」
「いらっしゃいませ、カエデ様。」
「諭吉いる?」
「リビングに居ますよ。」
囲炉裏のある部屋に行くと才蔵も含め、みんな居た。
「美月、九郎。久しぶりー。」
「お久しぶりです。」
「おう。」
2人は思兼の所で修行している訳ではなく松月の帝都支部で忙しく働いている。
「どうした?」
「ああ、昼間の件。わかったから報告に。」
「こっちも報告がある。被害者の周りに従魔がいる者はゼロだ。」
「恨まれるような事もゼロですな、むしろクラスの人気者でござった。」
「そうか・・・。」 なんか辛い話になっちゃうな、本人達の意思は?
2人にワイズと話した事を伝える。
「腹立たしいな。」
「本人達に拒否権はないでござるか・・・。」
「才蔵が居た大和に近い物があるよ、この世界は。」
「家や親は絶対でござるか・・・。」
「そうだね。そのアホな親達の思惑はぶっ壊すさ。学園にまで政治を持ち込み
やがって・・・。」
「その為にもFクラスの優勝か?」
「そうだな。」
「実際、どうなのでござるか?」
「今の時点ではさすがに厳しいと思う。代表者は弱くはないけど学生レベルの話。
いいとこまでいけるかもという感じ。」
「チーム戦だから3勝しないとか・・・。」
「ボルタとアトムで必ず2勝してもらって、残りの3人のうちの誰かが1勝をもぎ
とるって事だね。」
「最上級生はさすがに強いだろうしな。組み合わせで左右しそうだ。」
「抽選っていつだっけ?」
「来週のはずでござるよ。」
「シゲさんってくじ運、いいんだっけ?」
「いや、期待できん。」
「そこはこう神の力でちょちょいと。」
「できるか!」
「う~ん、ならばラッキーアイテムを持たせよう。」
フユさん泊、完全なる和室でなんか落ち着くー。
朝起きて里山をランニング、ほとんど道がない、木から木へ飛び移っていくんだ。
ランニングじゃないし・・・。朝食はザ・朝食だが全部美味しい、思わずおかわり
したよね。クラブハウスへ。
「お早うございます。今日は2階のボス戦からです。ボスは全員で当たり3階で
チーム分けします。武具はカエデの作った物で、行ける所までお願いします。」
冒険者ギルドは特に何もなかったので割愛。
「行きます。」
扉を潜るとすげえ広い草原。でかいの来そうで嫌だな~。
「来ました。」
うわ~、でけえキメラ。しかも3匹、多くね?1階でやり過ぎたな。
「ボスは3匹です。ではご自由に。」 えっ!まじ?
「俺が1匹もらう。行くぞ才蔵、優。」
「わかり申した。」
「はい。」
「では、私も1匹頂きます。エイル、ザイル行きましょう。」
「「はい。」」
「スズメ、アカリ、ミナミ。行きますよ。」
「えっー!分かりました。」
「んじゃ、僕らは観戦という事で。」
「フォローはして下さい。」
「了解。シゲさん、アトム。茶でもしばこーか。」
「そうだな。」
「カモナ、お願い。」
「かしこまりました。」
アースコントロールでテーブルと椅子を作り、優雅に観戦。
「なんかさゴブアンの武具が優秀に見えてきた。相手はキメラだよキメラ。」
「俺、エリシエーターあんまり使ってない。」
「鍛冶屋視点で言うと、弘法筆を選ばずって何か嫌だよね。」
「何だそりゃ?」
「達人って木の枝とかでも戦えちゃうって事。」
「成程、確かに作り手からするとやりがいみたいなものがないな。」
「本来の得物とか使い出したら、どうなるの?」
「あの程度のキメラだったら1人で瞬殺。」
「ひぇ~。」
「どのチームが1番に倒すかな?」
「よし、かけよう。今日の昼のデザートだ。」
「俺はなんだかんだで大将チーム。」
「僕はヒカミ達かな。月華流はやばい、カーボンソードを何本も駄目にした。」
「んじゃ僕はキリコ達で。スズメが出力50パーセントぐらい出せばいける。」
キメラは頭が獅子と羊、尻尾が大蛇っていう中々の大物だ。その3匹分の生命力が
ありタフだ。
「羊頭は魔法を使うんだよね。」
「何の魔法?」
「スリープ。」
「スリープ?眠くなる魔法か・・・。」
「あと、大蛇が毒。」
「うわー・・・。」
「まっ、問題ないでしょ。」
結果を言うとかけは成立しなかった。3匹のキメラが合体したからだ。
頭は増えなかったが巨大化した。
獅子は諭吉が大車輪で首を落とし、羊はキリコが斬ったというか潰した。ひぇ~。
大蛇はヒカミがゴブ剣にもかかわらず凍らして粉砕。ドロップはでっかい魔石に
獅子の剣、羊のロッド、蛇っぽい鞭。売却決定。
1度休憩をはさみ3階へ。ボス戦のチームで行く事に。
僕はシゲさんとアトムの男性チーム、のんびり行こう。
3階は砂漠フロアーだ。ここ、建物の中だよね?
「キャンピングジープで行こう。」
「いいな、どっちので行く?」
「カスタムしてる?」
「もちろんだ。ホムラがした。」
「んじゃ、シゲさんので。」
「キャンピングジープ?」
「イルミワークスが開発した泊まれるジープだよ。」
「すごっ!」
諭吉達は装甲車、キリコ達とヒカミ達は大型ジープだ。
みんなには悪いが住居部分で寛ぐことにしよう。運転はシゲさんが自らする。
運転は趣味だそうだ。
「ほとんど揺れない。今、砂漠を走ってるんだよね?」
「最高のショックアブソーバーを入れてるんだ。」
モニターで外の様子は見れる。この光景には見覚えがあるぞ。
「シゲさん、ここルーン砂漠にそっくりだ。」
「という事は出て来るモンスターもそれに準じてるか・・・。」
「普通のジープだと獅子頭、やばいかも。」
「注意しておくか。」
シゲさんが全チームに注意喚起。諭吉は装甲車だし、ザイルとスズメが居るから
強力な結界を張れるだろう。
「キリコ達が何かと戦いだしたぞ。」
「うわー、でっかいサソリ・・・。」
「巣に入ったのかな?んっ、あれは・・・。シゲさん、2時の方向へ。」
「了解。」
「アトム、訓練だ。大王蟲が居る。」
「大王蟲?」
「ものすごく大きいダンゴムシ。すげえ硬い、甲殻は高く売れるからあんまり
傷付けないでね。」
「えー!ヒントプリーズ、教官殿。」
「うむ、俺なら電撃で中から攻撃して甲殻は無傷でゲットだ。」
「雷は無理だけど、電気ならいけるか・・・。やってみるよ。」
「カエデ、2匹いるぞ。」
「1匹は僕達でやろう。ロイド流のデビューだ。」
「おう。」
近くまで来ると意外とでかい・・・。
「う、うわぁ・・・でっかいね。」
「アトム、さっきわたしたAMSを試してくれ。」
「了解。」
「キリコ、聞こえますか。どうぞ。」
「戦闘中です。どうぞ。」
「ごめんて、ミナミにAMSを。どうぞ。」
「既に着用してます。どうそ。」
「よろしく、どうぞ。」
アトムはAMSにスイッチした。おお・・・・
「カックイイね、シゲさん。」
「自信作だ。グローブに出力調整ダイアルがある。さすがにマックスは時限を
つけた。」
「どのくらい?」
「色々シュミレーションして、1分が限界だ。」
「うまく運用しないとだね。」
アトムは刃を付け替えた。おっ、あれはグラファイト。そうか通電しやすいのに
チェンジしたのか。
「さて、僕達も行こう。」
「ロイド流に電撃出せるのある?」
「ないよ。」
「・・・・どうすんの?」
「いや~基本に忠実、真っ向勝負だね。」
「はぁ・・・柔らかいのが良かった・・・。」
「超巨大ワームなら居ると思うよ。」
「さあ!行こう!基本の世界へ!」
大王蟲が土煙を上げながら向かって来る。
「シゲさん、関節狙いで。」
「わかった。」
僕が囮になろう、エリシエーターを構えて正面に立つ。うっわー、ビキビキいって
るよ。頼むよ、ヴァジュラ。クロックアップして闘牛のように大王蟲を躱す。
でかいくせにはえーな、おい!シゲさんが横から斬りかかる。
「基本!」 ガッキーン!折れたー!ってか基本って叫んでたし・・・。
「シゲさん!」 予備のエリシエーターを渡す。
「手が痺れてるー!フラッシュ!」
「ピギー!」 大王蟲の動きが止まった。
「今だ!カエデ、よろしく!」
「えー!しょうがない。」
ここは疾風のお披露目だな。なるべく甲殻を傷つけないように頭の方の関節を
狙う。ズバン!ふぅ・・・何とか斬れた。
「おお・・・って、それロイド流?」
「少しアレンジ。」
「アレンジあり?」
「あり。」
アトムはどうだ?
「あいつ、何してんだ?」
大王蟲の突進を躱しながら、木箱のハンドルを一生懸命回している。ま、まさか。
「蓄電中ー!」
「あほか!魔石がジェムを使え!」
「もう少し・・・よし!」
グラファイトの剣にコードを繋ぐ、グラファイトが青白く光り出す。
あれはエレクトリックソードだな。
ガッキーン!バリバリ!グラファイトソードは折れたが電気は流れたようで
大王蟲の動きが鈍くなる。ナイスアイディアだが倒すまではいかないか・・・。
んっ!まずい!
「アトム、上に飛べ!」
「えっ?」
バシュ!何かが大王蟲を貫いた。獅子頭の狙撃だ!
「みんな、結界に入って!」
「何だ?大王蟲が動かなくなった。」
「獅子頭の針が貫通したんだ。これは剣じゃ無理、遠すぎる。シゲさん、狙撃。」
「了解。」
シゲさんはキャンピングジープの上に乗りF40を構える。
「何それ、カッコイイ!」
その間にも結界に針が突き刺さる。ひぇ~・・・。
ガオンッ!ガオンッ!遠くからも銃声が聞こえる。エイルか・・・。
「倒せたみたいだ。」
「カモナ、ドローン。」
「かしこまりました。」
「うわー、5匹も居る。エイルも狙撃したみたいだね。」
「ここ、やばくないか?」
「やばいね。結界がないと死ぬ。ギルドに注意喚起しておこう。さっ、回収して
先に進もう。大王蟲は大商いだし獅子頭の針も高く売れる。」
「獅子頭は?」
「エイル、お願い。どうぞ。」
「わかりました。どうぞ。」
再びキャンピングジープに乗り込み、先に進む。もう少しで昼だが・・・。
キリコに念話を飛ばす。
「お昼、どうする?」
「戦闘中のチームもありますし、各チームで。」
「了解。」
「アトム、何か食いたい物ある?」
「ガーネットの狼!」
「ホットサンドね、了解。カモナ、準備お願い。」
「かしこまりました。」
みんなでカモナの食堂に移動。チーズとチキンのホットサンドだ。
「これがガーネットの狼かあ・・・美味しそうだね。」
「食べた事なかったの?」
「いつも混んでるし、行列ができてるから。」
「そっか・・暖かいうちに食べよう。」
「うん。うっまー!なにこれ!」
「俺も好物なんだ。」
「確かに毎日でもいけるかも、並ぶのわかる。」
「さっきの木箱だけど。」
「エレキテール?」
「そうそれ。もっと小型化して出力を上げよう。」
「いっその事、剣の握りに仕込んだらどうだ?」
「グラファイトソードって、それにしか使わないんでしょ?」
「そうなんだけどさ、これ以上小さくすると火花くらいしかでないんだ。」
「いやいや手巻きの蓄電式はないよ。ハンドル回してる間にやられるから。」
「動力をコイルからジェムに替えれば小型化できるし、ハンドルも必要ない。」
「何その未来!」
「シゲさんなら30分だ。」
「はぁ・・わかったよ。アトム、グラファイトソード貸せ。」
「う、うん。」
「30分でもどる。」
シゲさんは空島に行った。




