MINAMI
「この前作ったゼルダの剣と基本は同じ。けど少しオリハルコンを混ぜる。」
「いや、オリハルコンなんていう幻、手に入らないから。」
「まあ、そうなんだけどね。けど良い刀や剣を打とうと思うと、どうしても玉鋼、
ヒヒイロカネ、アダマンタイト、できればオリハルコンなんかが必要になるし
ダルタニアで売ってるから。」
「いや、行けないから!」
「転位門があるよ。シゲさん、ダルタニアの特別顧問だし。」
「まじ!お金貯める!」
「買わなくてもストックが沢山あるから好きに使って。」
「ウヒョー!」
「で、柔らかい分折れる事はないけど歪んだり曲がったりする。そこで例の
金剛のサーキットを刻む。それで柔らかい丈夫な剣にする。」
「鍛えないの?」
「鍛えるよ。でも他の素材よりも少なく叩く。」
炉に火は入れてあった。熱してポイントだけ叩く、これ以上叩くとまずそうだ。
冷やして刃を研磨して完成。女の子だし、彫刻を入れよう。
「香輝、優の剣なんだけど彫刻をお願い。」
「わかった。」
「うわっ!突然現れたー!」
「彼女は香輝。彼女の彫刻は芸術だ。」
「ま、まあな・・・。」 照れている・・・。
「香輝が彫刻してる間に柄と鞘を作るよ。」
「す、すごい・・・まさに芸術だ・・・。」
アトムが香輝の彫刻を見て感動している。
ふぅ・・・完成。銘は刻まないけど「カレイド」という名の剣だ。
今日はかなりの量の武具を作ったので、さすがに疲れた。帰ろう。
「アトム、帰ろうぜ。」
「わかった。」
ジープでアトムを送り、ガーネットの屋敷へ帰る。
「ただいまー。」
「お帰りなさいませ。」
「父さん達は出張だっけ?」
「そうでございます。」
「了解。」
自室に戻り、カモナの檜風呂に入ってコーヒー牛乳でまったり。
キリコが来た。
「お疲れ様です。」
「お疲れー、会議は終わったの?」
「はい、大体の目星はつけました。それで・・・。」
ミナミと話した内容を伝える。
「そうですか・・・。明日、ミナミは来るでしょうか?」
「来ると思うよ、来なくてもやる事は決まってるけど。ワイズに昼間の奴らの親の
事を調べてもらってる。」
「社会的に抹殺します。」
「本人が1番駄目なんだけど、親も同罪だと思うよ。」
「あの・・・ありがとうございます。」
「何が?」
「ミナミはおそらくカエデの言葉は受け入れると思います。私では無理でした。」
「う~ん、来たらオマタクラブとファントムに所属してもらうから、ダンジョン
アタックで生活には困らなくなるでしょ。その上で将来、何になりたいとか
どうしたいとか考えればいい。経済力と武道の実力を優クラスにするよ。
クラス対抗戦の方はお願い。貴族が特別だなんて思ってる連中を叩き
のめして。」
「わかりました。」
「それと・・・我慢させてすまなかった。」
「・・・お気になさらず。」
翌朝、ランニングしてクラブハウスへ。ロイド流の稽古は休み。
ミナミが来るかもなので早くクラブハウスへ行く。
「お早う、リング。朝食、お願い。」
「承知しました。昨日の女の子がいらしてます。」
「えっ、もう?」
「ご一緒なさいますか?」
「そうするよ、食堂に案内してあげて。」
「承知しました。」
食堂へ行くとミナミがきょどっていた。
「お早う、ミナミ。」
「お、おはようございます、カエデ様。」
「・・・・カエデでいいよ。朝食は?」
「まだです。何か落ち着かなくて・・・。」
「成長期なんだからちゃんと食べなきゃおっきくなれないぞ。」
リングが和食定食を持って来た。
「食べながら話そう。」
「わかりました。」
鮭、うっまー!昨日、ヒカミが仕込んでおいてくれたそうだ。
「美味しいですね・・・。」
「ヒカミが仕込んでおいてくれたんだ。」
「すごいんですね。」
「ヒカミに限らず、うちの連中はみんなすごいよ。」
「カエデ、私は皆さんと違って普通の人間です。」
「そうだね。」
「そんな私が夢を見る事が許される世界なんでしょうか?」
「この世界にはモンスターが居る。災害だってある。神や眷属も実在するし、
くだらない奴らも大勢いる。そんな中で生きていくのは大変さ。けどね、
夢を見ちゃいけない世界じゃない。どうだろうミナミ、まずは顔を上げて
みるところから初めてみないか?そうすれば見える世界も変わるさ。」
「世界が変わる・・・。」 ミナミは泣き出した。
「・・・主。」
「ああ、そうだったね。ミナミ、刀を返すよ。」
「えっ!」
「やっと、やっと主の役に立てます・・・。」
「えっ!」
「その刀は元々ミナミのだ。銘は『残光』。」
「残光・・・。」
「私はずっと主と共におりました。しかし、主が辛い時に私は何もできず、ただ
見ている事しかできませんでした。辛かったです、悲しかったです。しかし、
カエデ様に力を頂きました。これから主に起こる不公平や理不尽を私が斬り
捨てましょうぞ。」
ミナミは残光を抱き締めた。
「カエデ、私を夢が見れるくらい強くしてくれますか?」
「もちろんだとも、ようこそオマタクラブとギルドファントムに。」
ミナミに昨夜作った銃、ピアス型鎧、食材や回復薬が入ったアイテムバッグを
渡す。
「その中にはこれから必要なものが入ってる。使い方は今日に放課後から教える
からクラブハウスに来て。それから・・・・。」
「わかりました。」
それぞれの教室へ。もう少しの辛抱だミナミ・・・。
「キリコ、なんとか説得できたよ。」
「良かった・・・。次は私の番です。」
午前中は魔導の授業だ。離れた所でBも授業をしている。
「どうすんの?」
「糸で転ばせるふりをして手足を骨折させます。ヒールでも時間が掛かるよう
少し複雑な感じで。」
「それはいいね。マーキー先生にばれないようにしないとね。」
「お任せを。瞑想しながらでも出来ます。」
僕の斑はブラウを入れて3人なので目立たずやれる。
そっちはキリコに任せて僕はブラウと瞑想。おっ、ブラウの魔力量が増えてる。
先週のレクチャーがきっかけになったかな。遠くから悲鳴が聞こえる。
瞑想の後はブラウの魔法をみる。驚いた事にブラウは雷以外は威力に差はある
ものの使えるようになっていた。ほぼ、オールじゃないか。
なんと、キリコも・・・。やばい事、教えちゃったみたいだ。
Bのあの連中は担架に乗せられ運ばれていった。
「次は親達です・・・フフフ・・・・。」 こ、こわいです、キリコ。
シゲさんがマーキー先生に頼んだみたいで、早めに授業は終わりクラス対抗戦の
話し合いだ。
「クラス対抗戦についてだ。剣術、刀術、体術、魔導、総合で1づつ計5人で
3勝した方が勝ちというシンプルなルールだ。フィールドは仮想空間化
される為、怪我はしないが痛みはあるらしい。それもあって得物は自由。
大抵は今使ってるものだろうがな。それでニング先生とも話したんだが我が
Fクラスは優勝を目指す事にした。」
事情を知らない生徒達は驚いているか、笑ってるかだ。
「1年生の真ん中のクラスが上級生やAやBを倒すのって痛快だと思うんだがな。
代表もニング先生が決めてくれてる。剣術はアトム、刀術ボルタ、体術ベルグ、
魔導ブラウ、総合ゼルダ以上5名だ。希望者がいれば調整する。俺は本気で
優勝したいと思っているからルールの範囲内で最大限のバックアップをする。
みんなも優勝するために協力してほしい。」
「面白そうだ。優勝してやろうぜ!」 乗りのいい奴らだ。
「代表はボルタ以外放課後にオマタクラブのクラブハウスへ。装備の確認をする。
代表以外のみんなのバックアップの体制はキリコ、ヒカミ、優の方で
まとめてくれ。大将、才蔵、エイル、スズメは他のクラスの情報と分析、
作戦の立案を頼む。」
Fクラスは優勝するぞプロジェクトがスタート。僕はミナミを急に強くするぞ
プロジェクトのスタートだ。昼食を食べ午後からの授業は真剣に聞き放課後。
クラブハウスに行くとボルタ以外全員揃っていた、ミナミもね。
「みんな紹介する。今日からオマタクラブとファントムに所属するミナミだ。」
「皆様いたらないところが多いですが、よろしくお願いいたします。」
「待ってましたよ、ミナミ。」
「キリコ、心配かけて申し訳ありませんでした。」
「それはもういいのです。それより4の日に塔のダンジョンのボス戦があります
ので少しでも仕上げておいて下さい。」
「えっ!」
「とりあえず1ヶ月間魔改造して、みんなと一緒に行動できるようにするから。」
「えっ!」
「エイル、ミナミのボディチェックお願い。」
「わかりました。」
「えっ!」
「やや寝不足ですが、魔改造には何ら問題はありません。」
「よし、ミナミ。訓練場へレッツラゴー。」
「は、はい。」
「アトム、私達も行きますよ。」
「えっ!」
「あなたは2刀流ですから、私が相手しますよ。」
アトムはスズメに引きずられて行った。
「か、鍛冶ぃぃぃー・・・。」
「シーゲル様、お客様がお見えです。」
「来たか。ザイル、ブラウを見てくれ、ヒカミはゼルダを。エイルはベルグを。」
「「「わかりました。」」」
諭吉と才蔵は色々な調査に。
訓練場へ行き、ミナミと色々話し合う。アカリにも付き合ってもらう。
「刀術なんだけど、新陰流は捨ててもらう。」
「えっ!」
「新陰流の奥義には明鏡止水とか鏡花水月なんてあるんだけど、その全てが妖力
ベースなんだよ。」
「霊力や魔力とは別物なんですか?」
「違う。何故なら妖怪しか使えないからだ。」
「えっ、という事は・・・。」
「藤家当主はぬらりひょんという大妖怪だ。」
「リクオ・フジもですか?」
「リクオ君はクォーターだね。霊力も妖力も使えるハイブリットだ。」
「新しい刀術を覚えるという事ですね。」
「覚えるんじゃなくて作るだ。刀術は新陰流を除くと大きく3つのパターンに
分けられる。ひとつはキリコのような剛の刀術、僕のようなスピードタイプ。
あとは抜刀術や居合だね。剛の刀術は今の所ミナミの身体能力だと無理だ。」
「という事は私はスピードタイプとか抜刀術や居合ですね。」
「そうなるかな。僕は斑鳩流というのを使うんだけど一撃必殺の暗殺剣でね。
いざという時以外は封印中なんだよ。それでミナミに教えるのはツバキ流、
僕の母親が生み出した流派にしようと思う。」
「ツバキ様、勇者様の刀術・・・。」
「うん、大元はタチバナ流なんだけど、それに母さんが自分の体形ぶっちゃけると
巨乳なんだけど、それに合うように効率化したんだよ。」
「えっ、巨乳・・・。」
「刀術は知っての通り、直線的な動きが多いんだけどその体形ゆえに、曲線的な
動きになるんだ。これがまた、非常に戦いにくい。」
「それを私が覚える・・・つまり巨乳になれと・・・。」
「ちがーう!動きだけ!プラスそこにアカリの勇神流の要素や他の流派の要素も
入れてミナミ独自の流派を作る。」
「アカリ様の・・・。」
「ミナミ、アカリでいいです。私も修行中の身ですがお手伝いします。」
「それじゃあアカリと軽く打ち合うから見てて。アカリ、ゆっくり動いて。」
「また、難しい事を・・・やってみます。」
正直、ツバキ流はもう覚えた。奥義とかないからね。
勇神流の特徴は静から動への切り替えにある。刀を収めない居合みたいな感じ。
ゆえに速く感じるのだ。
「刀の出処がわからないですね。」
「そうなんだよ。」
ミナミはじっと見ている。レベッカさんみたくスーパーナーブだとすぐに覚え
られるんだけど、そうは都合良くいくまい。
「こんな感じ。ミナミ、アカリと打ち合ってみて。」
「わかりました、お願いします。」
2人が打ち合うの見て方針を考える。剣筋は悪くない、今まで新陰流の練習をして
きたからだろう。しかし、いかんせん筋力が足りないな。う~む、体術も取り入れ
よう。
「キリコ、合気をミナミに教えて欲しいんだけど。」
「わかりました。」
キリコがミナミとアカリに合気を教える。その間に注文をやっつけよう。
アトリエに行きメモをチェックしながらロッドと杖を数本作る。剣の注文も
数本あったのでエリシエーターをコピーして調整。注文分はこの位かな。
ミナミの底上げグッズも作ってしまおう。前に小梅達に作った独鈷杵だ。
これがあれば普段、絡まれても怪我をする事はないだろう。
完成した独鈷杵を持って訓練場へ戻る。
おお・・みんなやってるな、がんばろうぜ。




