UNVEILLING PARTY
クラブハウスへ戻り、反省会という名のお茶会。
「お疲れ様でした。映像を見ながらお互いに気が付いた事があれば
指摘して下さい。」
ケーキはフルーツタルト、見た目も美しい。さすがエルブスさんだ。
今更、皆に指摘する事はないし、美味しいタルトを楽しもう。
アトムなんかは皆の強さにビビッていたが。
「カエデ、僕達って本当に最弱だったんだね。」
「そうだぞ。」
「いえ逆にこちらはアトムに驚いているのですが・・・。初ダンジョンだった
んですよね?」
「うん。」
「あの黒い剣は何ですか?」
「えっと、カーボンソードだよ。」
「アトムはこう見えて、カーボナイトだ。」
「カーボナイト?」
「あれだよ、免許皆伝みたいなやつ。」
「ついこの間、ボコボコにされてませんでしたっけ?」
「これ以外は普通の子供だから。」
「成程。」
「カエデが冒険者を助けるシーンにモザイクがかかってます。」
「想像はつくな、ピギャアって・・・。」
「寄生されてたから、しょうがなかったんだって。」
「この直後にステーキを食ってたのか・・・。すげえな。」
「ですがベストな処置ですよ。寄生されたままでエクストラヒールをかけると
とんでもない事になりますから。」
「あの穴にまいた白い粉はなんですか?」
「小麦粉だよ。」
「えっ?」
「粉塵爆発を利用したんですか・・・。」
「地形破壊はシャドウスカルが出て来ると思ってさ。穴の中にデスマンティスの
卵とか幼体がわんさかだったからね。」
「小麦粉って、あんなに爆発するんですか・・・。」
「気のせいかカエデ達の方に強いモンスターが多いような・・・。」
「確かに。」
「変なルートを選んじゃったみたいだね。」
「シャドウスカルはキリコ達が遭遇したのか。」
「アカリがビビってるな。」
「黒い骸骨がウヒョヒョヒョって言ってるんですよ!思わずイングラムを
叩き込んでしまいました。」
「ゴブリン刀も使っては欲しいけど、身の安全が第一だよ。」
「とりまきっぽいのもいたんだな。」
「とりまきは優とアカリが引き受けてくれたので。」
「キリコ、シャドウスカル相手にゴブリン刀のままか・・。」
「いけるかなって・・・。」
「うっわ・・・斬るというより撲殺だな。」
「シーゲル、何か?」
「なんでもありませぬ。」
「2階自体はユキチとエイルがボスの手前まで到達してくれましたので
次週はボス戦からです。」
「まじ?」
「モンスターとの戦闘は極力避け、ひたすら走りましたよ。」
「余裕だな。」
体力お化け共め。まあ、助かるけどね。
「ああ・・疲れた。帰って寝ようっと。」
「カエデ、残念ですが明日のパーティーの貴族服のフッティングです。」
「えっー!」
「こいつ、忘れてたな・・・。」
「ツバキ様が自らお越しになって、プリチーなのをとオーダーしていきました。」
「母さん・・・前に作ったのあるじゃん!」
「あれはカッコイイけど、プリチーではないと・・・。」
「何だよ!プリチーって!」
「カエデ、あきらめてプリチーになれププ・・。俺達も参加なんだぞ。」
「あのう・・前から聞こうと思ってたんですが、オマタクラブに貴族の方は?」
「ああ、そうだな。俺、大将、キリコ、ヒカミ。エイル、スズメ、ザイルが
そうの・・・伯爵だな。」
「えっ?伯爵の子供とかじゃなくて?」
「本人が、だな・・。」
「「えっ、えっー!」」
アトムが土下座した。
「沢山の発注、ありがとうございます。皆様方でしたか。」
「よせアトム。伯爵って言っても一代限りだし別になりたくてなった
訳じゃない。」
「アカリも何で土下座してるんですか。全く必要ありません。それにこの姿で
帝宮に行くわけではないので、1部の方しか知りませんから。」
「アトム、兄弟子の所でも言ったろ。みんな、それぞれ自活しててそっちの方で
国に貢献して伯爵になったんだ。まあ、入学前に何回か国を救ったり
しちゃってたし・・・。」
「ふぅ、わかったよ。何でそんな人達がFクラスなの?実力と経済力。
Aクラス飛び越えてSクラスでもいいくらいだ。」
「アカリはわかると思うけど、Aクラスってめんどーじゃん?喧嘩ばっかしてるし
それで事前に学園長と裏取引をしてFクラスにしてもらったんだよ。」
「裏口入学ー!」
「まあ、そうだな。取引は取引だしちゃんと契約は守るよ。このオマタクラブが
そうだしね。」
「カエデも働いているのですか?」
「う~ん、働いているといえば働いているなあ。ワイズ探偵社っていうのを
やってる。みんなにも手伝ってもらってるし。」
「アカリ、カエデはこの国で、いえこの世界で1番のお金持ちですよ。世間的には
しられてませんが色々な物を開発しています。」
「魔導銃の開発なんていうのは、ほんの1部だ。」
「えっー!ボンボン飛び越えちゃってるじゃないですかー!」
「いやアカリ、僕は卒業したら旅人になるから不労所得は必要なんだよ。
働かないで旅をする・・・ああ、夢が膨らみまくりんぐ・・。」
「広がりまくりんぐは結構ですけど、フッティングしますよ。」
「えっー、やだー!」
僕はそのまま引きずられてキリコのアトリエへ。」
諭吉とシゲさんが合掌してたのは見逃さなかったよ。 覚えてろ!
「あー、アトムー!これディーに持ってってー!」 酒瓶を数本、投げ渡す。
「なにこれ?」
「サケ―!ソーマー!」
「えっ!」
「いや~、つまらんパーティーだと思ってたが、プリチーカエデという楽しみが
できたな。」
「プププ・・・プリチーカエデ、プププ・・・。」
「映像、お願いします。」
「任せておけ。」
フッティングは地獄だった。ザビエルみたいな襟で全体がピンクだよ、ピンク!
どういうセンスしてるんだ母さん!キリコに土下座して普通の貴族服にして
もらった。普通といってもキリコが本気で作るんだから、やばいよね・・・。
地獄のフッティングを終え、やっと屋敷に帰れた。
子供のお披露目パーティーなので夜ではなく昼間だ。
その後のキャンピングジープ泊を糧に乗り切るとしよう。どうせ、何か起きるだろ
うし、長引かなきゃいいなあ・・・。なんとなくカモナで夕食を食べ、檜風呂へ
入って寝た。
翌朝、ルーテインをこなし食堂へ。
「お早う。」
「カエデちゃん、舐められちゃだめよ。最初が肝心よ。」
「い、いや~、なんとか壁と同化しようと思ってるんだよ。」
「光彩は駄目よ、すぐに暗部が来るから。」
「ですよねー。」
「父さん達は準備でもう帝宮に行ってるから、向こうで合流して。」
「わかった。」
食べ終わりアトリエへ。認識阻害グッズはつけるけど激しいのはかえって
怪しまれる。という事で眼鏡を作る事に。あのグリグリなやつ。それと香輝の指輪
に細工。こんなもんでいいだろう。
まだ少し時間があるのでキャンピングジープをいじる。中はまあまあ広いが
空間拡張で更に広くする。キャンピングジープの時は全て中で完結したい。
お風呂も付いてるし、これはこれで家だな。ベットは大きくした。
IA化もした、名はラバンさんだ。
「ラバンさん、今日の夜から出掛けようと思ってるよ。」
「デビューですか・・・。」
「そうだね、砂漠を越えて海の予定。」
「腕がなります。」
「よろしくね。」
さて、そろそろ帝宮に行くか。はぁ~気が重い。
メイド長が迎えにきた。
ガーネット家の大型ジープだ。さすがに今は馬車は少ないそうだ。
嫌だなあと思ってると、あっという間に着くもんだ。会場に入ると既に到着して
いた着飾った子供達とその親達が歓談していた。ビッフェスタイルでヒカミが
プロデュースしてると聞いたので昼食は食べていない。腹減った。
「カエデちゃん♡。」
「母さん、服装はこれにしたからね。」
「あら残念。まあ、それもプリチーだからいいわ。」
母さんもいつもの巫女服ではなくドレスだ。とても美しい。
自慢の母さんだね、特に胸部装甲。
「カエデちゃん♡。」
「父さん、段取り教えて。」
「お披露目パーティーと言っても、なんとなくの顔合わせ。すでに婚約者同士も
いるしね。」
「本当に婚活パーティーなんだ。」
「そうだね。ジルが挨拶をして、あとは立食パーティーで自由。僕達はとても
面倒なんだけど親達に捕まったり挨拶されたりかな。カエデちゃんは他の子供達
と友達になったりする。」
「友人なら間に合ってます。」
「わかるけど向こうから来るよ。というか絡まれるから、うまく躱してね。」
「はぁ・・・了解。」
皇帝陛下一家の入場だ。うっわー雷子がこっちを見てるよ。
皇帝陛下の挨拶はいつも思うが、堂々としててかっこいいな。それに我がクラブの
メンバーの大人バージョン。戦闘服や鎧姿しか見た事がなかったけど、貴族的な
やつを着た彼らのオーラは半端ない。皇帝陛下クラスの注目度だ。
微笑んでいる・・・こっち見んな!
立食パーティーが始まった。皆遠慮してるのか旨そうな料理を取りにいかない。
くっそー僕は腹ペコなんだ。やむおえん、クロックアップ!
目にも止まらぬスピードで料理をキープ。ふぅ・・頂きます。うっまー!
ヒカミ、ナイスだよ。そばに居た子供達がぎょっとしてる。
「い、いつの間に・・。よし、僕らも取りに行こう。」
それを皮切りに、みな料理を取りに行きだす。
「カエデ?」
「んっ、久しぶり。イトル。」
「さすがだな。皆を料理にいざなうとは。」
「そんなんじゃないよ、腹ペコだったんだ。」
「フフフ・・・そういう事にしておこう。」
「どうなの、Bクラスは?」
「楽しいぞ。友人も少しだが出来た。将軍の娘のガクとは友人だ。」
「そっか、ガクちゃんと友達に・・・。良かったね。」
「お前達がFクラスなのは驚いたが、ヒカルから理由を聞いて納得した。私も
Aクラスはちょっとな・・・。」
「Bクラスだったら隣でしょ?」
「ああ、超仲が悪いぞ。ヒカルもよせばいいのに、ぜってーAには負けねえって
みんなを煽ってるからな。それが楽しいようだが。」
「あいつ馬鹿!?いや、馬鹿だった・・・。」
「ははは、私もルリハも何だかんだで楽しんでる。」
「それは良かった。ガクちゃんをよろしくね。」
「ああ、今日の来てるはずなんだが・・・。」
「ガクちゃんなら、あそこ。変なのに絡まれてる。助けてあげて。」
「はぁ~、あいつ強いのに気が弱いからなあ・・・ちょっと行ってくる。」
イトルが助けに行った。キリコが行こうとしてたからね、絡んでる方が危ない。
それにしても貴族の同級生って結構いるんだな。AとかBに集中してんのか?
「おい!カエデ・ガーネット!」 うへっ、雷子だ。
「これは皇女様。今日は一段とお美しいですなあ。」
くんなよ!取り巻きが睨んでるだろ!
「変なお世辞はいらん。それより何でお前はFなんだ?」
「何でと言われましても、試験の結果としか言いようが。」
「やはりお前は出涸らしなのか?」
「はい。兄と姉と比べるとそういう事になりますね。」
「悔しくないのか?」
「もちろんでございます。私は兄も姉もこよなく愛しております。
それに、Fクラスも楽しいですよ。」
「ぬぅ・・・。相変わらずの腑抜けぶり。」
「皇女様、そんな落ちこぼれにお声掛けとは懐がお広い。」 んっ?誰だ?
「むっ、アズールか。」
「はっ、Aクラスで皇女様のお隣の席のアズールでございます。」
「アズール、こやつは・・・。」
「アーズル様のおっしゃる通りでございます。」
「アズールだ!貴様、私の事を知らんのか!」 やっべ、まじ知らん。
「も、申し訳ありません。私にとってAクラスなど遥か天上でございます。
未知の世界の御方など、畏れ多く目も向けられませんので。それでは、
お二人とも、ご機嫌麗しゅう。」
「待て、カエデ!」 しつこいなあ・・・。
「はい。」
「お前を私のギルドに入れてやろう。鍛え直してやる。」
「なっ、皇女様!」
「お断りします。私は既にギルドに所属しておりますので。」
「き、貴様!皇女様のお誘いを!」
「よせ!アズール。こやつは私が誘うたびに断るのだ。ベルのギルドか?」
「いえ、ギルドファントムでございます。」
「ギルドファントム・・・。アカリ・サカウエを誘った時にもファントムに所属
していると断られた。」
「皇女様、アカリ・サカウエなどという末端は我らビクトリーエイジには必要
ありませぬ!」




