RESCUE
ハングリーウルフの群れか、2人じゃちときつい。
「アトム、結界を張るよ。」
「うん。」
桜花の剣で結界を張る。
「この結界は中から攻撃できるから、張り付いたやつを倒して。」
「わかった。」
丁度いい、イングラムを試そう。だいたい30匹くらいか・・。5匹はアトム
に任す。応援を呼ぶタイプかな?とりあえず倒してみよう。
ドンッ!ヘッドショットで3匹まとめて倒す。残りはバーストモードだ。
アトムも頑張って倒したようだ。ふぅっと息を吐いている。
「ちょっと、カエデ!銃ってすごいね!僕にもつくれるかなあ?」
「錬金術のレベルが上がれば作れるよ。」
「よーし!燃えてきたー!早く行こう。」若いって素敵、だが・・・。
「アトム、ドロップ品と魔石の回収。」
「そうだった。」
「仲間を呼ぶタイプじゃなくて良かったよ。」
「そんなのも居るんだね。」
「リーダーを見つけださないと無限狼。」
「うっわぁ・・・・。」
「他のチームに当たってるかも・・・。」
その時、女性の悲鳴が聞こえた。「キャー!」
「アトム!」
「うん!」
悲鳴が聞こえた方へ突っ走る。
あれは・・・レッドベアー。目の前には怪我してる女性冒険者が2人か・・・。
「アトム、2人に回復薬と転位石渡して、僕はレッドベアーの相手をする。」
「えっ、1人で?」
「2人を転位させたら手伝って。」
「わかった。」
レッドベアーよ、新しいエリシエーターの威力を味わうがいい。アトムが
ゴゴゴゴーって、もの凄い集中力で作った鉄剣だ。
「とうっ、基本に忠実ロイド流、タテ一閃!」 あっ、声に出しちゃった。
パキンッ!
「えっ?」 折れたー!1振りでー!
「ちょっとアトム!1振りじゃん!なんだよ、あのゴゴゴゴーって!」
「お腹空いてたんだよ!」
「腹の虫の音ー!なんか食えよ!食堂あんだから!」
「忘れてたんだよ!2人は転位したよ!少しの間、動きを止めて!」
「無茶言うな!しょうがない。デル君、雷弾!」
「イエス、マスター。」 ドウン!
「あー!デル様ー!」
「デル様じゃねえ!すぐに動きだすぞ!」
「わかってるよ!ディー式クロスホライゾン!」
シュインとおよそ剣ではない音でアトムとレッドベアーがすれ違った。へぇ・・。
レッドベアーの首がゴトリと落ちた。
「アトム、見事な剣筋だ。鍛冶屋じゃなくて剣士になったほうがいいぞ。」
「やだよ!師匠にも跡を継げって言われてるんだから!」
「へぇ、ディーが・・・。もしかしてアトムはカーボナイトか?」
「そうだよ!もう教える事ないって・・・。」
カーボナイトとはカーボンソード使いの免許皆伝の称号だ。
「隠してたのか?」
「隠してないよ。今日が初ダンジョンなんだから。」
いや、考えてみれば初ダンジョンでポイズンフロッグを真っ二つにして、
ハングリーウルフを僕が撃つスピードと同じ位の時間で倒し、レッドベアーの
固い首をシュインって落としたよな。面白い!拾い物だ。
アトムは僕からデル君を奪い、頬ずりしている。
「ちょ、ちょっと、マスター・・・。」
「アトム、次に行くぞ。ステーキが待ってる。」
「そうだった。デル様、わたくしめにも、もうじきデル様の弟君が召喚される
のでございます。是非、紹介させて下さいませ。」
「わ、わかりました。」
ヒャッホー!と言いながらレッドベアーのドロップ品の回収に行った。
「マ、マスター、あの人やばくないですか?」
「なんだろーなー・・アトムといいボルタといい、まともな奴はおらんのか。」
「みなさんと同じ匂いが・・・。」
「はぁ~。まっ、面白くていいけどね。」
「たぶん、それ!」
「もう1回くらい戦ったら、外に出よう。」
「うん。」
少し先に進むと竪穴を発見した。けっこう深いな・・・。
「カエデ、うめき声が聞こえる。」
「冒険者が落ちたのかな?ライト。」 光の玉がゆっくり下に落ちていく。
「あ、3人いる。んっ、なにあれ?」
「大丈夫ですかー!」
「に、逃げろ・・・・。」
「今、行きます。」
「く、くるな・・・ここは・・・。」
ブンッと頭の上を何かが通過してアトムの結界が発動。
「うわー!」 アトムが吹っ飛ばされた。
クソッ!デスマンティスだ!という事はこの竪穴は・・・・。
「アトム!大丈夫か?」
「な、なんとか・・・。何このでかいの?」
「デスマンティス、この竪穴はこいつの産卵穴だ。」
「えっ、じゃあ冒険者の皆さんは?」
「餌か寄生のどっちかだ!」
「ど、どうすんの?」
「人命救助が先だ。アトム、こいつを抑えてくれ!」
「わ、わかったけど、そんなに持たないよ、たぶん。」
「了解。」 穴に飛び込んでショートジャンプ。
ライトの魔法で更に明るくする。うっわぁ・・昔、映画で見たなこの光景。
「に、にげろ・・・。」
「お、俺達はもう・・・。」
「あきらめるな!何とかするから!」
どうすっかな・・・うわー、産まれてきてるよ。非常事態だ。
「無名、幼体を近づけないでくれ。」
「御意・・・。グロいですな。」
「ごめんて、すぐ終わる。」
3人を卵から引きずり出す。うっわぁ・・足が溶けてる。後で治すから勘弁な。
3人を重ねて。
「無名、オーケーだ。転位!」 とりあえず外に。
「ラムさん、合体。」
「はい、主人。」
「あのでっかいカマキリを頼む。」
「御意。なんつって・・・。」
今のうちに冒険者達を・・・クソッ!寄生されてる!
「デル君、麻酔弾。」
「イエス、マスター。」 ドウン!ドウン!ドウン!
あー僕、昼にステーキ食えっかな?
バヨネットで腹を裂く、真っ赤な何かがピギュウ!とか言って飛び出してきた。
「うっさい!」 高温ファイヤーボールで燃やす。
同じ処置を後の2人にもして・・うっわ、血の海っす。
「デル君、エクストラヒール。」
「イエス、マスター。」 ドウン!ドウン!ドウン!
裂けた腹も、損傷した内臓も治ってるだろう。溶けた足も元に戻った。
ふぅ・・ぎりぎりセーフ。
「さてと、この野郎ー!昼にステーキ食えなきゃお前のせいだ!」
「ステーキの話ー!」
「アトム、そろそろ決めろ!ラムさん、フォロー。」
「御意。」 気に入ってるのかな?
僕は穴の処理をする。本当はインフェルノとかで燃やしてやりたいがシャドウ
スカルが沸くと申し訳ない。別な方法でいこう。
小麦粉を穴にまく。もくもくと煙が上がってるようだ。ラムさんが戻った。
「お疲れー。」 アトムも来た。
「大丈夫か?」
「あのでっかいわっかが来てくれなきゃやばかった。何してるの?煙が出てる
けど、燃やしてるんだね。」
「いや、ただの小麦粉。」
「えっ?」
「まあ、見てて。」
指の先程ファイヤーボールを穴に投下。
「アトム、伏せろ!」
「えっ?」
ドッカーン!よし、これでいいだろ。
「な・・小麦粉が・・・。」
「話は後だ。冒険者を転送する。」
メモに血が足りない事を書き、おでこに貼る。や、やばいキョンシーだ。
笑いを堪えて・・・。
「オーケー、アトム転送して。」
「了解。」
「さて、僕達も戻ろう。お腹空いた。」
「腹ペコだよ。」
僕達も入り口に戻る。大騒ぎになっていたが知らん顔してギルドルームへ。
皆も戻ってきていた。
「行こうか。」
ダンジョンでの話は映像を撮ってあるのでクラブハウスに戻ってからでいい。
「優は一足先に言って準備を手伝うそうです。」
皆で兄弟子のステーキハウスへ。
「兄弟子ー、来たよー。」
「おう、弟弟子よ、よく来た。皆も良く来た。」
「って、誰ー!」
めっちゃ若返ってるし・・・。これ世間的にどうなの?
「こいつのお陰だな。」 瓢箪ふってるー!
「まさか・・・。」
「よく来たね。」
「ら、蘭お姉様ー!」 ホントにお姉様になっとる・・・。
な、なんか・・もういいかな・・・。諭吉とシゲさんはわなわなしてるけど。
優と静がステーキを運んできた。
「優と静もみなと一緒に食べなさい。」 ニコニコとそんな事言っとる・・。
いや、もう鉄斎の面影ねーし!いや、優しくしてくれてありがとー!
「う、うまい!」
「はぁ~、美味しいです。」
「運動の後のステーキは染みますねえ。」
「私はこの域には、まだまだ・・・。」
「はっはっは、ヒカミちゃん。俺はステーキだけだよ。」
ヒ、ヒカミちゃんだと!完全にキャラ変じゃねえか!
諭吉とアトムは争うように食ってる。結局、馬鹿が増えたような・・・。
しかし、午前中の緊張がとれ回復できた。ありがとう、兄弟子。
「キリコ、シャドウスカルには会ったかい?」
「いえ、まだです。午前中は割と弱めのモンスターが多かったので。」
いいなー、選んだ道が悪かったかな?
「あっ、蘭お姉様。冒険者の方を5名、救出してダンジョンの外へ。」
「何!生きていたのか!」
「えっ、はい。2名はレッドベアー、3名はデスマンティスに襲われてました。」
「何だって!レッドベアーとデスマンティスだって!」 あれ?問題?
「大丈夫です。そこのアトムが倒しましたので。」
「アトムだって!」
「鉄斎様、蘭様。お久しぶりでございます。」
「あんた、カエデ達のギルドに入ったのかい?」
「はい、鍛冶師としてです。」
「戦ってるじゃないかい。」
「戦う鍛冶師です。」
「兄弟子、アトムと知り合い?」
「師匠とだな。」
「ディーと・・・。」
「知っとるのか?」
「うん、少しね。」
「てっきり、ディーのあとを継ぐもんだと思っとったが家業を継ごうとしとるの
だな。」
「カーボンソードはともかく、鍛冶はこれからだね。
っていうか何でどっちかなの?」
「えっ?」
「両方で良くね?今、自分で言ってたじゃん。戦う鍛冶師って。うちのチーム
の連中みんなそうだぞ。」
「そうなの?」
「まあ、そうですね。私は戦う司書です。」
「私は戦う魔導師です。あれ?」
「カエデ、アトム。間違いなくレッドベアーとデスマンティスだったんだな?」
「ええ。」
「シャドウスカルの原因はお前達じゃないかも知れんな・・・。鉄斎、一緒に
行ってくれ。」
「いいぞ。」
2人は一緒に2階を調べに行くとの事。さて、僕達も午後の部を始めよう。
「午後は夕方くらいをめどに引き上げて下さい。」
ダンジョンに戻る。転位はその日のうちであれば元も場所から進める。
「さて、行こ~か。」
「うん。」
「誰かがボスの手前まで行ければいいんだけど。」
「そっか、次はそこからになるんだね。」
「少し急ごう。」
「うん。」
少しペースを上げる。とは言えモンスターが居るので気配を探りながらだ。
「ねえ、カエデ。」
「何だい?」
「カエデの本来のスタイルって?」
「最近、自分でもよくわからなくなってるんだけど・・・。そうだなあ、やっぱ
刀と魔導銃かなあ。」
「使わないの?」
「さっきみたいな、いざっていう時は使うよ。けど、一応両親との約束でロイド流
とツバキ流以外は禁止なんだよね。学園だとそれでも強力だから短槍とナイフに
したんだ。」
「いや、それもすごいよね。」
「それでも他と比べるとましなほうなんだよ。来たよ!」
「黒い猿!」
「ファングモンキーだ、塔のダンジョンってハードだな。そこそこ強いから。」
「わ、わかった。」
ファングモンキーが3匹。群れはつくらないが仲間を呼ぶタイプなんだよね。
リーダーを見つけないと・・・。ラプトルと違って見た目じゃわからん。
行動で見つけるしか・・いや、面倒だ。速攻で片付けよう。1匹はアトムが
何とかするだろう。身体強化にクロックアップ!
蜻蛉で1匹を瞬殺、同時にバヨネットを投擲。アトムが相手してるのがリーダー
じゃなきゃ、これで終わるだろう。アトムもヒュインと斬った。
「ふー、見た目通り力が強いね。折れるかと思った。」
「回収して次に行こう。」
「うん。」
その後、何度かファングモンキーと交戦。
アトムのカーボンソードが斬れなくなってきた。そろそろ引き揚げ時だな。
「何だろ?この花、茎がスプリングみたい。」
「やばい!アトム逃げるぞ!」
「えっ?」 すたこらサッサと逃げる。
「来るぞ!」
「えー!跳ねてきたー!」
あれはスプリングカズラ、まさにスプリングを利用してビヨ~ンって飛んでくる。
1匹みたら周りに100匹は居る。
「花粉が毒だ。」
「えー!」
「斬るなよ!花粉が飛び散るから。」
「どうすんのー!あっ、増えてきた。」 ビョンビョン飛んでくる。
「今日はもう脱出しよう。」
「わかった。」
ダンジョンの入り口へ。
「あー、走った走った。カエデ、平気なの?」
「毎朝、ランニングしてるからな。」
「・・・僕もするよ。」
入り口が騒がしいな、他のチームが冒険者を救出したんだろう。
ギルドルームに行くと、まだ誰も戻ってなかった。
「早かったかな?」
「いや、いいよ。僕達、最弱だし。カモナ、コーヒーお願い。」
「かしこまりました。」
2人でコーヒーを飲みながら休憩。
「美味しい!」
「だろ。ガーネット自慢のコーヒーだね。」
「カエデ。僕、明日師匠の所へ行ってくるよ。ディー式を継ぐ。」
「そうか・・・ディーも喜ぶだろう。あっ、エリシエーター頼むね。」
「いいの?折れたけど・・・。」
「練習あるのみだ。」
「ありがとう。」
みんなが戻ってきた。
「全員戻りましたね。詳しい話はクラブハウスでしますのでドロップ品を換金
して帰りましょう。」
今回の配分は1人頭金貨30枚。生活していけるよね。救出した報酬が大きかった
らしい。アトムなんかはビビッてたけど。




