ATOM
「アトム、さっき僕はようこそオマタクラブへと言ったはずだ。さっさと外道
ギルドを教えろ。すぐに潰して来る、ボルタが。」
「おれー!」
「や、やめてよ!そんな事したら僕の家も終わっちゃう・・・。」
「事情を話せ。内容次第では再起不能で済ませてやる。」
「同じじゃん!はぁ・・わかったよ。僕の家の1番のお得意様の貴族の息子が
この学園に居る、4年生だ。僕はそいつに言われて『鉄の声』という鍛冶
ギルドに入った。そのギルドがろくなギルドじゃないのはわかってた。けど、
入らないと僕の家に発注しないと・・・。『鉄の声』はゴブリンの剣とかを
偽装して1年や2年に脅して売りつけるギルドだ。入ったはいいが僕は職人と
してどうしても許せなかった。だから、まともな剣を作ろうとした。設備も
まともじゃなかったけどね。そしたらギルマスに生意気だって言われてあの
ざまさ。そのギルドの売り上げの半分はその貴族に入るみたいだ。」
「ギルディ!」
「その貴族の発注は全て断れ、その代わりに伯爵家を6家紹介するから。
『鉄の声』は辞めてもらう。今日の放課後カチコミ、いや辞める挨拶に行く。」
「な、何を言ってるの!だめだ、危ないやつらなんだ。」
「オマタクラブはギルドファントムでもある。その中に僕が担当する生産部門が
あるんだ。設備も最新の物を揃えている。」
「ファントムだって!あの噂のファントム・・・。」
「どんな噂だ?」
「笑いながら大量のゴブリンを屠る、それは恐ろしい女の軍団。ファントム、
またの名をラフィンウィッチーズ。」
「ユキチ、公式ド変態!行きますよ!」
「ど、どこへだププ。ラフィンウィッチよププ。」
「そ、そうだぞププ、話は最後まで聞こうププ。」
「リトルフェニックス。」
「「ギャー!」」 さすがはМ。
「ラフィンウィッチーズ・・・笑う魔女か、うまい事言うな。」
「アゲハ。」 小さい黄色の蝶がシゲさんに飛んで行った。
「ギャー!」 電撃だ。
「アトム、これを見ろ。」
「ほっとくのー!えっ、剣?」 食い入るように見ている。
「いい剣だね、歪みが全くない。さすが、ガーネット家。」
「それゴブリンのクズ剣から僕が自分で作ったやつ。」
「えっ!うそでしょ!」
「そのレベルの剣や刀や槍、ロッドなんかをこっそり広げていく。狙いは
『鉄の声』をはじめとする3つの鍛冶ギルドを追い込む事だった。けど、アトム
に手を出した。つまりジ・エンドだ。」
伸びてる3人を起こし午後の授業へ。
学食でも何かあったようだが、それは放課後に聞く事に。
僕とアカリは同じ選択科目、植物学からだ。ばたばたしてて対策を練れなかった
ためアカリが寝てしまいヴィータの犠牲に。す、すまん、僕も睡魔と戦うのが
精一杯だった。エナジードレインされフラフラのアカリにヒカミ特製のパワー
ドリンクを飲ませる。次のモンスター学は主に動物系モンスターの話だった。
ダンジョンと外では全く違うと考えた方がいいと。そうなんだよね、外で生き抜く
方がモンスターとはいえ過酷なのだ。先生は地味だがとても分かり易く的確だ。
この授業は必須科目にすべきだ今度カーミラに提案しよう。地味で先生の名前を
覚えていない。
「アカリ、この先生の名前って?」
「えっと、マルコス先生です。」
マルコス・・・聞いた事がある名だ。思い出すのは後にしよう。クラブハウスへ。
「アトム、案内してくれ。」
「う、うん。」 僕、アトム、スズメの3人で鉄の声へ。
「たのもー!」
「んっ・・・アトム・・・お前・・。」
「ギルマス、居ますか?」
「何だ?入部希望か?」
「っなわけあるかー!」 けりでぶっとばしずんずん中へ。
んっ?キザオ君とクマゴロウがおる。
「クマゴロウ!」
「誰がクマゴロウだ!」
「何だお前達?アトムと地味女・・・。」
「誰が地味女ですか!」ドゴー!蹴り1発、キザオ君は吹っ飛んでいった。
「お前らこのお方はミドル・ブルース。ブルース家の嫡男であらせられるぞ。」
「それが何か?」
「おい、クマゴロウ!この方はスズメ・スザク伯爵であらせられるぞ。」
「「えっ!」」
「ブルース家ってただの男爵じゃねーか、ぼけえ!
やい、クマ!おまえらの悪事もここまでだ、鍛冶屋の風上にもおけねえ!
成敗してやる!」
「生意気な1年だ!アトムと同じ目にあいてーか!おい!野郎ども!」
こいつ本当に学生か?
「伯爵、雑魚お願い。」
「んもう、リトルフェニックス×5。」 ギャー!全滅。
「おいクマ!ガラクタしか作れねーお前達にアトムはもったいねえ、うちで
引き取る。それとそこのブルースのぼんくらに伝えておけ!ふざけた真似したら
お前だけじゃなくブルース家ごと潰すとな。」
「貴様ー!」
ハンマーで襲い掛かってきた。丁度いい所にモップがある。
「モップマスターの技を味わうがいい。」
モップでクマゴロウをボッコボコにする。
「ふんっ!雑魚が!」 モップは綺麗にして元の所へ戻す。
「ワイルドカエデもいいですねえ・・・。」
「帰ろう。」
「はい。」
「ま、まちやがれ・・・。」
「何だ、生きてたのか。」
「殺しちゃだめだから!」
「俺達は何も悪い事はしてねえ。」 自覚なしか・・なを悪い。
カランカランとゴブリンの剣を投げる。
「それを見ろ。」
「け、剣・・・。高そうな剣だ。」
「それはお前達、鍛冶ギルドが下級生に売りつけてる剣と同じ素材だ。」
「なっ!」
「クマゴロウ、お前何も悪い事してないって言ったな。それは校則にないってだけ
だ。ダンジョンやモンスターが居るこの世界で俺達は武具に命を預ける。
その預けた先がガラクタでどうする?お前達はこずかい稼ぎでやってるかも
しれんがれっきとした殺人だ。この世界で鍛冶はとても重要なものなんだ。」
「そ、そんな事、考えた事ねえ・・。」
「なら考えろ!その剣はくれてやる。最低限、その剣ぐらいのものを作れるよう
になれ。クマゴロウに鍛冶屋スピリットが少しでも残ってるんならな。」
僕達は「鉄の声」を後にギルドハウスへ戻る。
「ただいまー、リング、コーヒーお願い。」
「承知しました。」
「終わったのですか?」
「ええ、見事なモップの舞でした。」
「モップ?」
「まだ終わりじゃないよ。まあアトムの件でカチこんだけど、あとのギルドは
当初の予定通り良い武具を流通させて追い込む。食堂の方も何かあったみたい
だけど?」
「ええ、ヒカミが上級生を凍らせましたから大丈夫ですよ。あの方たちは2度
と来ないでしょうから。びびって。」
「ああ、馬鹿な貴族の子息子女か・・・。」
「そうです。子女の方が取り巻き連れて我が物顔っていう感じで、ベル様に
憧れてる方なんでしょうね。もはや、コスプレでしたけど。」
「ヒカミ達は学食?」
「はい。」
「みんなは?」
「兼任してるクラブへ。公式ド変態はギルドです。」
「あと売り上げが半端ないので・・・。」
「春さんに手伝ってもらおう。春さん。」
「今、行きます。」
すぐに春さんは来てくれた。アカリとアトムが驚いていた。
「ごめんね春さん、修行中。」
「大丈夫ですよ。むっ、狼の匂いがします。」
「ああ、クラブに千疋狼の息子が居るんだ。」
「千疋狼、ずいぶんと大物ですね。」
「ただの公式ド変態ですよ。」
「成程、いつもの事ですね。」
「い、いやあ面目ない。春さん、昨日から学食がリニューアルオープンしたん
だけど売り上げがやばくて。」
「わかりました。学食にヒカミと優は居ますか?」
「居るよ。」
「ちょっと行って来ます。」 着物姿の女性から制服姿の女の子に変化。
「「えっ!」」 2人が再び驚いている。
「2人とも紹介するよ、彼女は春さんと言って僕達の仲間だ。」
「初めまして、カエデの従魔のハルと申します。以後、お見知りおきを。」
「「従魔!」」
「春さん行きましょう、案内します。」
「お願いします、エイル。」
「さて、僕達はアトリエへ行こう。」
アカリも鍛冶が見たいと付いてきた。
「アトム、ここは最新の鍛冶設備が揃っている。」
「す、すごい・・・。」
「ぼくの趣味の中に鍛冶がある。けど、さっきクマゴロウに言った通り半端な
ものは作らないよ。」
「剣を見たからわかる・・・。」
「まあ、ギルドファントムの生産部門だね。武具だけじゃなくその時に必要な
魔導具なんかも作る。植物学に必要な魔導具を作らないとね。」
「是非お願いします。私、耐えられません。」
「ここを好きに使って。他にも色々な施設があるから後でリングに案内して
もらって。」
「カエデ達は何者なの?さっきの『鉄の声』の事といい、このクラブハウスの
事といい。」
「う~ん、それは追々。情報量が多いと疲れちゃうからね。早速だけど、
剣を1本作るから見てて。さっき、クマゴロウにあげちゃったから。」
「うん!」 とたんに目がキラキラ、さすが鍛冶屋の息子。
「ああ、キラキラしてますねえ・・・カエデは・・濁ってますねえ・・。」
「ほっとけ!」
「まずはゴブリンのドロップ品、錆びた剣や盾なんかを用意します。今回は剣
なのでベースになるやつを決めたらそれを綺麗にするんだけど、その時に
錬金術の製錬を使って不純物を取り出します。」
「製錬?」
「今はあまり使われないみたいなんだけど、覚えた方がいいよ。素材には
どうしても不純物が混ざってるし、純度が上がれば性能も上がるからね。
レベルが上がれば宝石なんかにも使えて、将来食べるのに困らないから。」
「絶対、覚えるよ!」
「ああ、眩しい・・・それにひきかえ・・・。」
「ほっとけ!」
「あっ、剣が小さくなった。」
「それだけ不純物が混ざってたという事だね。で、次に他のガラクタも同じ様に
不純物を出してインゴット化する。そしてこの鉄で小さくなった剣に錬金術で
コーティングしていく。」
「そうか!刀で言う芯鉄にするんだ!」
「そう言う事。そして強くするため熱して叩いてを繰り返す。僕の場合は事情が
あって1回だけ。」 カンカンカンと剣を打つ。
「3回ですね。」
「ほっとけ!」
「す、すごい・・・。」
「後は剣を研磨して握りと鍔を調整して完成。これは僕がロイド流を使う時に
使うアリシエーターという剣だね。僕の好みで黒剣にする。よし完成。」
「すごすぎるよ!カエデ。」
「この前もらった刀がすごい理由がわかりました。」
「すごくないよ。あくまでもゴブリンの素材で作った初心者用。」
僕はソードブレイカーを見せる。
「それはガーネットの鍛冶屋が本気で作ったソードブレイカー。比べて。」
「アダマンタイト・・・初めて見るよ。」
「私もです。」
「ち、違うね・・・確かに違う・・・。」
「これ、普通の剣ですか?」
「それは高周波ブレード、大抵の物は斬れる。」
「ふぇ~、高価そう・・・。」
「ゴブリンの剣や刀は1年生や2年生がダンジョンで稼げるようになるまでの
つなぎって感じ。もちろん最初からいい剣や刀を使ってる人もいるけどね。」
「そのゴブリンの剣や刀を安く供給すると・・・。」
「そうだね、おこずかいで買える位にしよう。」
「カエデ、やってみていい?」
「もちろんだ、練習あるのみだ。」
「うん。」 アトムをアトリエに残しリビングへ戻る。
「私は黒漆剣を使いこなせてませんので、カエデからもらった刀が丁度いい
かもです。」
「そうだなあ・・・、長くはもたないと思うけど。直接、黒漆剣に聞いて
みれば?ゴブリンの刀はいつでも作れるからさ。」
「えっ!」
「神刀は特殊能力があってね、本人から聞くのが手っ取り早いんだ。」
「えっ?」
「黒漆剣、貸して。」
「は、はい。」
製錬で不純物を取る。あっ、震えた。
「綺麗ー、見違えました。」
「さらに黒漆剣に・・・。」 ラストの真珠を近づける。
「あっ、吸収した?何です、それ?」
「パワーアップアイテムよ。」
「えっ、喋った!って誰?」
「そりゃあ喋るわよ、神刀なんだから。人化もね。」
「驚きました・・・。」
「アカリ、私の名前は『天舟』よ。」
「テンシユウ・・・。黒漆剣じゃないのですね。」
「そうよ。カエデ様、ありがとうございます。これでやっとアカリを鍛える事が
できます。」
「アカリは覚醒なしで強くならないといけないみたいだから、よろしくね。」
「お任せ下さい。すぐに皆さんに追いつきますので。」
「アカリは身体ができてないから、そこからだね。」
「そうですね。まずは基礎体力の向上からです。アカリ、行きますよ。」
「えっ、どこに?」
「ランニングにきまってるでしょ。」
「えっー、放課後ライフの買い食いの予定でしたのにー!」
アカリは天舟に怒られ渋々ランニングに行った。




