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ACADEMIC LIFE  作者: 一聖
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LIGHTNING FAST

ふよふよと槍達が戻ってきた。


「んっ?懐かしい気配・・・まさか!」


「天様ー!」


「どわっ!危ねえ!」


「天~!」


ランサーもスリルに向かって一直線。


「や、やめろお前ら!串刺しになるだろうが!」


こ、これはさすがに耐えられん。


「ぎゃははは!」


「笑い事じゃねえ!こいつら神槍なんだぞ!刺さったら死んじゃうじゃん、俺!」


「ぎゃははは!」


「何をしてるの、あなた達は。」


スレッタが再び間に入って受け止める。


「ランサー、琴音。穂先は駄目よ石突の方になさい。」


「ちょ、スレッタ様ー!ゴフッ!ゴフッ!」


石突がスリルにぶち当たり気絶した。


「ぎゃははは!面白すぎる。」


エイルが診察している。


「気絶してるだけですよ、痣は残るでしょう。あなた達、縦になればいいのでは?」


「「はっ!」」


「ぎゃははは!」


「珍しいですね、カエデが大声で笑うなんて。」


「いや~お腹痛い、お疲れー。」


「スレッタ様、お久しぶりです。」


「久しぶりね。私もキャラを忘れて笑いそうになったわ。」


「おや?アロンダイトと蜻蛉切りが浮いてますね。ドラクーンですか?」


「違うよ、本人達の意思。」


「自立してますね。」


「おっ、さっきの鬼つえー姉ちゃん。」


「喋ってますねえ・・・神槍だったんですね。」


「おう!俺はランサー。よろしくな。」


「はい、よろしくお願いします。という事は。」


「ヒカミ様、お久しぶりです。琴音と申します。」


「まあ、琴音ちゃんですね。呼び名を改めますね。」


「何て呼んでたの?」


「トンちゃんです。」


「・・・。」


「浮いてる槍にスリルの死体。シュールですね。」 スズメも来た。


「死んではないよ。キリコは?」


「ミナミの所に寄ってから来るそうです。今夜はヒカミの所で整えるんです。」


「成程。」


「カエデ様、ランサーを家に招待しても?」


「もちろん。」


「ランサー、行きますよ。」


「お、おう。」


「家があるんですか?」


「よくわからないんだけど、アイテムボックスの中は快適らしいよ。個室になってるみたい。」


「不思議ですねえ。」


「それじゃあ私達も行きましょう。」


僕はゆっくりコーヒータイム。


「よせ!そこは行政二区だ!はっ!」


「なんつー寝言だ。なんだよ行政二区って?」


「イタタタ、酷い目にあった。2槍は?」


「アイテムボックス。」


「ふぅ・・良かった。」


「風呂いこーぜ。」


「おう。」


ふぅ、いい湯だなっと。


「明日、グエリが来るんだったな。」


「むこうで話さないの?友達になったろ。」


「そうなんだが、キリコ達のプロデュースで孤高の勇者みたいになっててな。カエデがモデルらしいが諭吉やシーゲルから見ると、有り得ないくらい美化してるらしいぞ。」


「別に僕はぼっちじゃないぞ。ちゃんとFクラスではヘラヘラしてたじゃないか。」


「だから俺達はわかってるさ。あくまでキリコ達からの視点だろ。グエリとしても契約上の話しだからどうであれ演じるしかないわけだ。」


「そんなガチにならなくてもいいのに・・。」


「グエリからしたらお前は命の恩人だからな。まあそれで話したり遊んだりするのはガーネットでって話になったんだ。」


「まあ、いっか。」


「かるっ!」


「いやだって、見てる訳じゃないし、命の恩人っていうのも事実だしさ。僕としてはうまく雷子と仲よくなって一刻も早く皇太子にそして皇帝になって欲しいからね。」


「実際、雷子も気になりだしてるらしい。エイルが様々なシチュエーションを作ってるからな。ラッキースケベとか。」


「勇者あるあるだね。」


「ランサーはグエリに渡すんだろ?」


「そのつもりだけど。」


「クールな主人公に破天荒な槍か・・・物語としていいかもな。」


「何で槍なんて作ったの?」


「獣の槍って知ってっか?」


「物語の話だと思ってたけど、実際に存在してて驚いたよ。」


「あれは人工物じゃない。」


「えっ?シンプルな形だったけどちゃんと槍だったよ。」


「今は見なくなったが、あれはロウダーの魂が黒輝にとりついてできたものだ。」


「ロウダーって雷狐だよね?」


「そうだ。俺が知る限りあれが最強の槍だ。当時暇だった俺は、そんなの俺にも作れるぜと。」


「三本の槍を作ったと。」


「三本つくって飽きた。」


「神っぽい話だね。ちなみに雷狐は橙国に沢山居て、獣の槍を大切に保管してるよ。何故、彼らがそんなに大事にするのか合点がいった。あの槍は雷狐そのものだったんだ。」


「見なくなったのは箱庭に引っ越したからか。今度見にいこう。」


「酒と厚揚げを持っていけば、見せてくれるし使わせてくれるから。」


「大切に保管してる?」


コーヒー牛乳を飲んでスリルは自分の屋敷に帰った。スリルの屋敷はユイカの希望でワイズの屋敷の隣、つまりここの隣の隣。超ご近所さんだ。さて、寝るとするか。翌朝、スッキリと目覚め今回も僕自身は戦闘してないので庭に身体のチェック。うん、大丈夫そうだ。


「イカルガより身体能力は上じゃない?」


「お早うスレッタ。両親がハイスペックだからかな?自分ではよくわからないけど。」


「今なら無理なくても神と渡り合えるんじゃない?」


「どうかな?戦いたくはないけどね。」


「そうね。私、しばらくここに住むわ。」


「いいけど、どうしたの?」


「カエデ血清のせいで身体がピークに戻っちゃったの。そうなると今の装備だときついのよ。」


確かに白衣がはちきれそうだ。


「黒国で作れないの?」


「作れるけど、せっかくだから外の素材とか技術を見て回ろうと思ったのよ。」


「それぞれの国に拠点はあるから自由に使って。」


「そうねえ、久しぶりに神楽にも行ってみようかしら。」


食堂に行くとエイルが朝食を食べていた。


「すいません、先に頂いてました。」


「気にしないで。スリルから聞いたんだけどグエリ君のブランディングは大丈夫?」


「大丈夫ですよ。多少やり過ぎの方が目を引きます。カエデっぽい孤高の勇者、カッコ良くないですか?」


「僕は孤高じゃないよ。」


「またまた。孤高の代表みたいな人じゃないですか。」


「ちゃんとヘラヘラしてたじゃないか。」


「カエデ、あなたヘラヘラと一人は関係ないわよ。本当にいざっていう時は皆を置いて一人でいくでしょ。」


「そうなのかな?」


「絶対そうよ。まあ、絶対ついていくけど。」


「うふふ、博士。女盛りですねえ。」


「そうなのよお、イカルガも良かったけどカエデはもっといいのよお。」


「隅に置けませんなあ。」


「何言ってるの!」


「カエデ様、グエリ・ブラッテが参りました。」


「朝食、食べたかな?」


「聞いてみます。」 すぐにグエリ君は来た。


「お早うございます。お腹ペコペコだったから助かるよ。げっ、エイル。」


「げっ、じゃないですよ。そこはなのも言わずにお腹を鳴らすとこですよ。」


「ガーネットでは勘弁してよ。やっと素で居られるのに。」


「しょうがないですねえ、ガーネットだけですよ。」


「美味しい!教会の食事は今一つなんだよねえ。帝都じゃ買い食いもできないし。スリル君と食べ歩きの約束をしてるんだ。」


とても嬉しそうだ。


「なあエイル。あんま型にはめすぎるとグエリ君、パンクしない?」


「それもストーリーのうちです。孤高の勇者が皇女だけに見せる笑顔や無邪気さ、もうキュンですよキュン。」


「なあスレッタ、任せて大丈夫なのかな?」


「キュンよキュン。」


「・・・なんかごめん、グエリ君。」


「大丈夫だよ。こうなってから皇女をちゃんと見るようになったんだけど結構可愛いかなって。」


「えっ!」


「きっかけなんてそんなもんですよ、ダーリン。」


「そうよダーリン。あっ、後で血を頂戴。吸血衝動が・・。」


「パイセン、さすがっす。」


「グエリ君まで・・・。」


午前中はグエリ君の治療。うまく適応できててあと一回で大丈夫だそうだ。僕も採血されたよね。スレッタの吸血衝動は本当らしく、こっちにしばらく居るのもそれが原因でもあるようだ。どうせ飲むなら僕の血がいいそうだ。死ぬほどとられる訳じゃないからいいけどね。


「あっ、そうだグエリ君。ヒジカタが槍を置いていったから。」


「えっ!」


「ランサー。」


「おう、待ちわびたぜ。」


「喋ってる・・・浮いてる・・・。」


「こいつが勇者か・・ふぅん、面白いな。」


「本当の名前はアロンダイトじゃなくてランサーなんだって。」


グエリ君はランサーを掴んだ。


「これは・・・すごい・・・。」


「フウライ、もう変化しなくて大丈夫だよ。」


「助かる、肩がこるんだ。」


「ヒジカタの所へ戻る?」


「いや、こっちの方が面白そうだ。ここのメイドにでもなるさ。」


「フウライがメイド・・・。」


「これでも掃除、洗濯、料理なんでも出来るぞ。師匠が厳しかったからな。」


ブンッ、メイド姿になった。このメイド服に見覚えが・・・。


「おやフウライ。武具の真似事はやめたんですか。」


「師匠って、ワイズなの!」


「そうだぞ。先週は一緒に食べ歩きもしたし。」


「まあ赤子の時から知っていますし、娘みたいなものです。」


「知らんかった。」


「あのうカエデ・・・詰め込み過ぎでは?ステリア編もこれからですよ。」


「僕もそう思うよ。」


ランサーはグエリ君と行動を共にするとの事でふよふよと後についてスリルの屋敷へ。フウライはメイド業のチェックでワイズの所へ。


「エイル、まじでステリア編の事忘れてた。」


「ヒカミとスズメは満々ですよ。」


「私も行くわ。リジルが血に飢えてるのよ。」


「聖剣だよね?ね?」


という事で今はイド君のリビング。参加メンバーはヒカミ、スズメ、エイルに血に飢えたスレッタだ。男いねーな。お~い、諭吉ーシゲさんー、ボルタを連れてくれば良かった。


「あのう・・皆さん。確認なんですがステリアには何をしに行くんでしたっけ?」


「カエデ、大丈夫ですか?」


「決まってるじゃない、血祭よ。」


「博士、違いますよ。滅ぼしに行くんです、今日でステリアは地図から消えます。」


「エイル、違います。グエリさんがスリルと遊んでる間にグエリパパを抹殺しに行くんです。」


「スズメも違います。人体実験を止めにいくんです。」


「ほぅ、あの無茶苦茶な遺伝子操作ね・・・。」


スレッタの真顔がこわい~。


「カエデ様、ステリアの手前に。」


「ありがとう。前情報なんもないね、とりあえずドローンとピーちゃんを。」


「かしこまりました。」


「カエデ、教会本部には?」


「イカルガ時代に数回。あと学園に入る前に教皇を脅しにかな。」


「ベテランですね。この辺の地理は?」


「この辺だけだね。」


「教皇は実験が継続されてるの知らないのよね?」


「おそらく・・。枢機卿の中にはしってるのも居るかもだけど。」


「となると本部の側じゃないわね。ばれないように離れた郊外とか。」


「カモナ、そっちの方を重点的に。ヒカミとスズメはモニターをチェックして。」


「「はい。」」


「僕とエイルはグエリパパの所へ。」


「私は?」


「バンパイアハンターのおひざ元だよ。」


「負けないわ。」


「わかってるけど、騒ぎはなるべく起こしたくないからさ。施設を見つけたら出番ね。」


「しょうがないわねえ、カエデの血でも飲んでるわ。」


「「えっ!」」


「ワイズ、グエリパパの家わかる?」


「ナビします。」


「よろしく、んじゃ行こうか。」


「はいはい。」


光学迷彩で姿を隠す、会話は念話で。


「静かな町ですねえ。」


「信者しか居ないし、異教徒は入れないからね。」


「皆さん、聖魔法ですか?」


「基本的にシスターは使えるはず。」


「成程、確かにシスターが多いです。ライバルですね。」


「男性という一般人ももちろん居るよ。じゃないと国として成り立たないから。」


「バンパイアハンターは?」


「どうだろ?世界中にちらばってるからね。本部には居るんじゃない。」


「次の噴水を左に曲がって五軒目です。」


「了解。本部から近いね、さすがにこんな近くで人体実験はできないか。」


「ここですね。忍び込みますか?」


「そうだね。んっ、誰か出て来た。」


「あれがグエリパパじゃないですか?顔が似てます。」


「尾行してみよう。」


「はい。」





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