DRAGON RING
「鉢もそろそろ補充しないとね、ベンソンに行かなきゃ。」
ニイの盆栽コーナーもとても綺麗に管理されている。
「ニイは手入れしに来てる?」
「来てるぞ。最近はイチも手伝っている。」
「鉢を壊すって聞いてたけど。」
「壊してるぞ。」
「・・・・がんばれニイ。」
採取したセンナを植える。ここ最近では1番、緊張したよね。少し土を盛り気味に
して幹が折れないようにしておこう。種は水に漬けて殻を柔らかくしておく。
明日、学園に行く前に植えよう。
紅緒さんがコーヒーを淹れてくれた。笑君はミルクだ。お茶請けのナッツを
ポリポリ食べてる姿はカーバンクルというよりリスだな。
そのまま午前中は笑君とサンルームでまったりする。昼寝もいいがこれもまた
最高だ。昼食はお弁当があったので庭に出て食べる。食休みをしていると空が
怪しくなってきた。
「モクちゃん、夜って雨かな?」
「雨だぞ。」
「了解。」
まあ雨のキャンプもいいもんだ。香輝も居るだろうしドーム型テントを使おう。
調理は外だ、焚火がメインイベントだからな。よし、もう行こう。
「笑君、行こう。」
「おう。」
サイトに到着し、まずはドーム型テントを設営してしまう。
焚火のスタートだ。薪は落ちてる丸太サイズの枝。ソードブレイカーで小さく
していく。やばいな鋸替わりにしか使ってない。
雨を想定して場所を設置、夕食はおのおの作るだろう。
お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。笑君はホットミルクだ。
「ああ、焚火っていいよね・・・。」
「あったかいな。」
「みんな来るまでまだ間がありそうだ、栗でも焼こうか。」
「いいな。」
あのでっかい栗の破片を焼く、いい匂いだ。
はふはふしながら食べる、うま!上品な甘さだ。
「やってるな。」
みんな来た。全員バックパックを背負っているのが何か面白い。春さんも
子供バージョンだ。
「久しぶり、もう始めてるよ。夜は雨だって。」
思い思いの場所にテントを張っている。おや、香輝も自分のを用意したんだ。
「香輝も揃えたんだね。」
「うむ、最近は時間があればキャンプばかりしておる。」
「香輝の彫刻は大人気で半年待ちなんですよ。思兼様も自分の道具に入れて
もらってました。」
「へぇ~、思兼が。何かバフがついたりするの?」
「いえ、芸術的な価値だとおっしゃってました。」
「カエデ、これをやる。」
渡されたのは龍の指輪。ごついがカッコイイ。
「鎧になったりしないよね?」
「せん!ただの指輪だ。」
「ありがとう。」
でもなー、僕は2刀流じゃないけど両手を使うからな・・・。とっておいて
たまに眺める感じ?
「つけてみよ。」
言われた通りにつけてみる。あ、あれ?なにこれ?
マテバとエリシエーターを持ってみる。やっぱり・・・。
「不思議だな、つけてる感じが全くしない。結構、ごついのに・・・。」
「思兼様が言うにはバフとか魔法的なものではなく、技術的なものだと。
それも大人気の理由ですね。」
「驚いたな・・・。これならずっとつけてられるよ。まじ、ありがとう。」
「うむ。」
こうなんか装飾品を付けると、ちょっと大人の階段って感じ?
「雨だ。」
しかし、大木達のお陰で音の割には雨が落ちて来ない。っていうかこれって
大木達がいい感じに調整してない?
小梅達が大木達に何か言ってるし・・・。
まあ、雨のキャンプで雨が全くないのも寂しいし、これくらいが丁度いい。
「さて、何を作ろうかな。」
そうだ、レトルトのサンプルを持たされてたんだ。
「みんな、新作があるんだけど試してみて。お湯で温めるだけ。トッピングと
ライスは自分でね。」 みんなに適当に渡す。
「春さん、ブッシュクラフトでもよろしく。」
「わかりました、カレーですか?」
「シチューとか丼物もあるよ。」
「便利ですね。」
「香輝、それビーフシチュー。パンの方がいいかも、ある?」
「ない。」
「カモナ、香輝にバケットを。」
「かしこまりました。」
僕は牛丼にしてみる。邪道だがチーズをトッピングだ。
みんなレトルト初体験で真剣なのが面白い。では、いただきます。
「ウマウマ。」
「おいひ~。」
「うむ。」
「うむ、悪くない。」
「簡単でこのレベルですか・・・。」
牛丼もレトルトとは思えないくらい美味い。
「カエデ、これコストは?」
「学園の学食用にヒカミと優が開発したから、すごく安いと思うよ。」
「ヒットの予感がします。というか確定ですね。」
「だといいんだけど、学生は無料だからその分の資金を稼ぎたいんだよ。」
「ブッシュクラフトはコーナーの新設をします。」
「よろしく。」
使い終わったレトルトが本当に消えた・・・考えるのやめよう・・・。
簡単ではあったが、大満足の夕食だった。
食後のコーヒーで寛ぐ、小梅達は梅昆布茶にはまっているらしい。
笑君が飲んで酸っぱい顔をしていた。すぐにホットミルクのオーダーが来た。
「みんな、修行はどう?」
「そうですねえ、私は鬼灯さんで仕事が半分でお面作りと思兼様の勧めで
仏像を彫るようになりました。」
「仏師の修行もしてるんだね。」
「俺達は父上に付いて色々経験させてもらってるんだが、いかんせん父上の
口数が少ないからな。見て覚えろって感じだ。」
「それは大変だね。小梅は?」
「プロ。」
「小梅とホムラはタチバナ家の食堂の器を入れ替えましたよ。宗主様が緋が
入ってる陶器を気に入ってくれまして。」
「みんな忙しそうだね。」
「学園はどうなんです?」
「まあ、まだ1週間くらいだしね。とりあえず明日から学食が新装オープンで
悪徳鍛冶ギルドを潰す準備をしたり、ああ後、自分のクラスの銃の講師
なんかも・・・。」
「1週間ですよね・・・。そう言えば髪型変えたんですか?」
「えっ、変えてないけど・・・あっ!」
「クリクリ。」
「くるくる~。」
「パーマかけたのかと・・・。」
「いやこれはだね、タカシという雷獣がだね・・・。」
「ほう・・雷獣。」
「あっ、いや小梅、ザイルの従魔だよ。」
「そう・・・。」
「いずれ会えるよ。」
周りはヒカリゴケが多いみたいでランタンが要らないくらい明るい。
「笑君、ずっと明るいのかな?」
「いや俺達が寝る頃には暗くするって言ってるぞ。」
「・・・お礼を言っておいて。」
「わかった。」 額の宝石が点滅してるよ・・・。
さて寝ようか。ニイはまだ焚火を楽しむようだ、女性陣はカモナのお風呂。
笑君はニイと語りあっている。
テントに入り明日からのタスクをチェック。
学食の新装オープン。ホール担当の人達とユニフォームは見てないがキリコと
エイルのことだ問題ないだろう。クランボさん達は昨日から新しい厨房に
入って準備と備品のならしをしてるとキリコから連絡が入っている。
ボルタをオマタクラブに連れて行く。
魔導銃の素体がガーネットの屋敷に届いたらチェックしないと。
ファントムのダンジョンアタックがどうでるか・・・。蘭お姉様に隠蔽を
頼んだが100パーセントは無理だ。その漏れ伝わる噂に学生達が乗ってくれれば
いいが。まあ、駄目なら次の手を考えよう。今の内、アトムを引き入れておいた
ほうがいいかもな。魔導の授業の時にでも聞いてみよう。
目安箱のチェックもあるな。ふぅ・・・こんなもんか。
寝るか、香輝が自分のテントなのでコットは僕が使う。笑君用の丸いマットは
キリコに作ってもらっている。笑君もテントに入ってきた。
「寝よう。」
「眠い。」
ランタンを消して、おやすみなさい。優しい雨の音が聞こえる。
朝起きると雨は止んでいた。みんなも起き出して朝食の準備をしている。
パンチェッタエッグにしよう。出来上がる頃、笑君も起きて来た。
「食べよう。」
「よく寝た。美味い!」
朝食を食べコーヒーを飲んで片付けをして解散。みんなは神楽に戻った。
僕達は森の館のサンルームへ。
「センナの種を植えよう。」
「うむ。」
笑君がコーデックス達と会話している。種を別々のポットに植え腰水。
「笑君、頼むね。」
「任せろ。」
僕は入浴だ。母さんが出張中なのでツバキ流の稽古がないのは助かった。
ふぅ・・・行くのが面倒に・・・いかん、学食のオープンやら色々ある。
がんばれ、僕。髪も直ったし行くとするか。
「紅緒さん、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃいませ。」
クラブハウスに転位。
「お早う、リング。」
「お早うございます、カエデ様。」
「お昼はここで食べるからよろしく。それと学食のモニターも。」
「承知しました。」
「キリコ、お早う。」
「お早うございます。」
「いよいよだ。」
「はい、楽しみです。」
ニング先生が来た。
「お早う。先週のデータから班分けをしてるから。それじゃあ訓練場の移動。」
ぞろぞろと移動。例によって僕は木の棒を、先週スズメに真っ二つにされたが
新しいのがあった、ラッキー。
斑は剣、刀、槍、その他に分かれている。僕は当然槍の斑だ。
4名と少なめ。短槍が2人と槍が2人、のんびりやるには丁度いいかもしれん。
「カエデ君、よろしくね。レビよ。」
「ああ、よろしくレビ。カエデでいいよ。」
「わかったわ。カエデは短槍?」
「そうだよ。レビは違うの?」
「私は双槍ね。」
「へぇ、珍しいね。」 他の2人にも挨拶。
「よろしく、カエデだ。」
「よろしく~、レードだ。」
「よろしくね、ナミよ。」
「2人は長槍?」
「私はそうだけどレードは違うわね。」
「僕は棒術だよ。」
「へぇ、あのびよんびよんするやつ?」
「そう、びよんびよん。」
「私とレードは同じ道場なの。」
「そうなんだ。」
「私はロイド流の道場よ。」
「えっ、そうなの。あー、考えてみれば1度も行った事ないかも。」
「師匠がカエデ様が全然こないってこぼしてたわ。」
「今度、顔だすよ。」
「カエデは流派とかあるの?」
「短槍の?なんだっけかな・・・ああ、たしか『蒼穹』とか言ってたな。」
「蒼穹!」
「知ってるの?」
「いや、蒼穹って槍術の源流よ。師匠が今は使える人が居ないって。」
「まじ?」
「まじよ。」
ニング先生が来た。
「槍系は4人だな。じゃあレードとレビ、カエデとナミで打ち合ってみてくれ。」
「先生、私双槍なんですけど。」
「そうか。」 ニング先生が木槍を2つに切った。
「カエデ、すまんがこの棒の先を槍状にしてくれ。」
錬金術でもう片方と同じ形にする。
「見事なもんだ。無詠唱なうえに錬成陣なしときたか。」
「先生、それは言わない約束ですよ。」
「そうだったな。」
「先生、僕は長棒なんですけどこれしなりが全然なくて・・・。」
「カエデ。」
「レード、これくらいでいい?」
「完璧だよ、カエデ。」
「カエデはそれでいいのか?」
「えっ、この新品の棒で大丈夫です。」
「ああ・・それ、モップの棒な・・・。」
「・・・・大丈夫です。」
「では初めてくれ。」
「何か食堂の下働きがモップを折って、荒くれ冒険者をたたきだす光景が
見えたわ。」
「ナイス想像力!いつでもどうぞ。」
「ええ、行くわ。」
おお、槍特有のリーチの長さだ。へぇ、いい筋してるな。
「全然、当たらないわね。」
「当たったら痛いじゃん!」
「モップ、使ってないし。」
「モップじゃないし!」
「ストーップ!ナミ、単調すぎるぞ。カエデ、もう少しモップを使え。」
「モップじゃないし!」
よかろう、ならば蒼穹をお見せしよう。
ナミのスピードが上がった、こいつ何でFクラスなんだ?
モップで・・・違う!棒でかわす。
「よし、そこまで。相手を変えてもう1回。」
次はレビとだ。ある意味同門対決だな。
「行くわよ、モップ!」
「モップじゃないし!」
双槍か・・・ずいぶんと変則的な動きだ。これだと確かに受け皿が広いロイド流の
道場になるだろう。槍術というか体術に近い、レビはガンカタいけるんじゃない?
「モップで受けるならまだしも、全然当たらないってどういう事?」
「当たったら痛いって!」
「ストップ!レビ、短槍に変えてやってみろ。カエデは・・・そのままで。」
レビは短槍を回しだした。成程、遠心力を使うのね。もっと痛そう・・。
こうなったら、僕も棒をすごい勢いで回す。フフ・・どうだレビ。
あ、あれ?い、いかん!すごいスピードで回しすぎたー!か、身体が浮いていく。
ニング先生に足をつかまれ地面に降ろされた。
「アホか!飛んでどうする!」
「すんません・・・。」 しかしレビは膝をついていた。
「ま、負けた・・・。」
「何の勝負をしてるんだ!もういい!次!」
よしラスト、びよんびよんのレードだ。
「いっくよー!」
元気だな、おい!僕は疲れたし、腹減ったなー。
おっ、この動きは古武術っぽい?いや、少林寺拳法だ。もしかしたら体術の方が
得意だったりする?試してみるか・・・。
僕はモップをスライドさせレードの懐に入りモップを回転させる。
びよんびよんは飛んで行った。すかさず回し蹴り、レードは見事に躱し正拳を
打って来た。それをモップで受け止める。やはりな・・・。
「そこまで。レード、体術にまわるか?」
「いえ、棒術がうまくなりたいんです。」
「わかった。今日はここまでだ。来週から自分の得物を持ってこい。」
おお・・早くも木刀卒業か・・・。
んっ?おじさんがこっちに来る。誰だろう?
僕に手を差し出す。えっ、握手?僕って有名人?僕も手を差し出す。
「違う!その棒返せ!掃除ができん!」
「すいません!」
3人は爆笑している・・・・。




