SAD GHOST
明日は探偵社の仕事になってしまった。しかもゴーストっぽい。
メインは夜中かも・・・キャンプに行けないではないか。いや、諦めるな!僕。
仕事が終わったらそのまま久遠島に行き、採取しキャンプに突入。
久遠島から学園に行けば良いではないか。その為にも依頼は最短で片付ける。
よし、風呂入って寝よう。
お早う。ランニングと素振りをして食堂へ。休みだがゆっくりしてられない。
食堂へ行くと父さんが居た。
「お早う、父さん。」
「お早う、カエデちゃん♡。休みなのに早いね。」
「探偵社の仕事なんだよ。」
「もしかして魔導院から?」
「そうみたい。」
「たぶんあれだね、ゴースト。」
「帝宮でも情報は抑えてるんだ。」
「うん、教会が手を焼いてるって報告が入ってるよ。」
「強力なゴーストなの?」
「報告によると、特に攻撃とかをしてくるわけじゃないらしんんだけど
泣き声を聞くとネガティブになるって。精神波だね。それで近づけない。」
「結界は?」
「越えて来るって。」
「はぁ~。」
「まあ、カエデちゃんなら大丈夫でしょ。」
「速攻、片付けてキャンプするんだ。」
「ははは、僕は今日、学生寮に行ってくるよ。」
「マザーの所?」
「うん。様子を見に。」
「じゃあ、これをマザーに。」 木箱を渡す。
「寄付?」
「うん。ちゃんとご飯を食べないと子供は大きくならないから。」
「カエデちゃんもね。」
「ははは、昨夜の鯛は旨かったよ。」
「美味しかったねえ。」
朝食を食べひと休みしたら出陣だ。
コクーンで探偵事務所へ。ビストロも診療所も平日は学園があるので隔週の
土日のみだ。
「お早うございます、ロレアルさん。」
「お早うございます、カエデ様。」
ロレアルさんはワイズ探偵社の2代目所長だ。ズームさんがガンナーズギルド
と学園の講師、ロバートさんと銃の開発で多忙なためだ。奥さんは産休。
「ワイズから依頼があるって。」
「はい、魔導院からのものですね。」
モニタールームへ移動。
「ゴーストを何とかする依頼ですね。」
「やはり・・・。」
「ご存知でしたか?」
「いや、知らなかったんだけど昨夜姉達から聞いたよ、悲しき幽霊。」
「依頼はまさにそれです。南地区のある屋敷に女性のゴーストが住み着き、いや
元々居たのか定かではないですが、昼夜問わず泣いてるそうです。
不気味という事で教会に苦情が殺到。」
「泣いてるだけで被害はないの?」
「それがその声を聞くとネガティブになるようで、結局その地区から引っ越す方が
急増中です。」
「教会が魔導院に応援の要請をしたって聞いたけど駄目だったの?」
「結界や耳栓をしたりと対策したようなのですが、近寄る事ができなかった
そうです。」
「それは僕だって同じじゃない?」
「ワイズ様がカエデ様ならなんとかできると。ワイズ様はその屋敷を手に入れたい
ようなのです。」
「いや、期待が重い。でもワイズが欲しがってるのか・・。世話になってるし
ひとつ頑張ってみますか。」
「現地に教会から1人と魔導院から1人、待機してるそうなので協力して
ほしいと。」
「面倒だけどお互いの面子もあるか・・・了解。」
「現地までの地図です。近くまでコクーンで行けますので。」
「ロレアルさんはモニター、よろしく。」
「承知しました。」
コクーンに乗って近くまで行く。日本に居る時に泣き女っていう妖怪に会った事が
ある。あれは人を襲うもんなあ・・・。とりあえず現地で状況確認してからだ。
おっ、バリケードがある。お面をつけてっと・・・あれ、ザイル。そうか魔導院
からはザイルか。
「お早う、ザイル。」
「お早うございます。」
「魔導院からはザイルが派遣されたんだね。」
「寝てたんですけどリリアにたたき起こされました・・・。」
リリアさんはザイルの拡張型テントのメイドさんで元レスラー。得意技は
パイルドライバーだ。
「ははは、リリアさんらしい。教会の人は?」
「・・・あの私です。」 振り返ると小柄なシスターが居た。
「ワイズ探偵社から派遣されたカエーデです。」
握手を求める。プルプルしてるぞ大丈夫か?
「わ、私はライブと言います。今日、初仕事なので緊張してますがよろしく
お願いします。」
「えっ!初仕事・・・。」
「カエーデ、ライブは学園の1年生でJクラスです。」
「ライブさん、質問が。」
「な、何でしょう?」
「教室に窓はありますか?」
「あります!」
「ははは、不良ジョークです。」
「不良じゃないです!」
「ザイルの事はよく知っています。ライブさんの能力を教えて下さい。」
「はい、ヒールを少々。」
「・・・・それだけ?」
「はい。」
「剣術が得意とか体術はまかせろとか?」
「私はJクラスです。」
「何故、派遣された?」
「ああ、それはですね、元々ネガティブだからゴーストの鳴き声を聞いても
これ以上ネガティブにならないだろうと。」
念話でザイルに話しかける。
「ちょっと、ザイル!どうすんのこれ?」
「私に言われても・・来た時にはちょこんと座ってボーっとしてましたから。」
「聖女の罠なんじゃない?」
「それはないでしょう。ライブは会った事がないって言ってましたよ。」
ライブは飛んでる蝶を見ている。
「はぁ~しょうがない。とっとと終わらせよう。」
「はい、私も筋トレする約束がありますから。」
「誰と?」
「母と。」
「・・・・。そ、それじゃあ行こうか。どの屋敷?」
「あの1番奥の屋敷です。バリケードを越えると途端に泣き声が聞こえてくる
そうです。」
「とりあえず結界無しで入ってみよう。」
「はい。」
バリケードを越えて入る。耳を澄ます、あっ聞こえて来た。こ、これはやばい!
「筋肉と会話してすいませ~ん!」 ザ、ザイル・・・。
「最近、また胸がきつくてごめんなさ~い!」
ライブはキョトンとしている。まずい、僕も余計な事を口走りそうだ。
2人をつかんでショートジャンプ。バリケードの外へ。距離の問題なのか・・
全く聞こえない。ふぅ・・・危なかった。
「ザイルさん、筋肉って喋るんですか?どうやったらそんな牛さんみたいな
オッパイになるんですか?」
ザイルが膝をついている、子供って残酷だなあ・・・。
「しかし、これは予想以上にやばい。。ライブは何で平気なんだ?」
「何がですか?」
「泣き声は聞こえてた?」
「泣き声ですか?ブーンとは聞こえてまいたけど・・・。」
えっ、ブーンだけ・・・もしかしたら・・・。
「ザイル、結界を張りつつ走る。ライブを担いで走って。」
「は、はい。」
「ライブ、ブーンって聞こえる方向を教えて。」
「えっ、は、はい。」
僕は祝詞をつぶやき6枚の札を上に投げた。印を結ぶ「壁」。
「行くよ、ザイル。」
「はい。」 ザイルがライブをお姫様抱っこ。
「ライブ、どっち?」
「右斜め前から聞こえます。」
「了解。ザイル、付いて来て。」
「はい。」
「あっ、大きくなってきました。」
そのまま進む、幽霊が居ると言う屋敷とは別だ。
「ここです!このお屋敷から聞こえます。」
「デル君、レールガン!」
「イエス、マスター。」 ドウン!
扉を壊し中に突入。どこだ?あった!
「デル君、サンダーボルト!」
「イエス、マスター。」 バリバリバリ!
「ふぅ・・終わったよザイル。」
「これは何ですか?」
「幽霊の正体だ。おそらく電磁波を発生させる魔導具だ。」
「電磁波?なんのために?」
「わからない。それは教会と魔導院に調べてもらおう。」
「何故、正面のお屋敷から女性の鳴き声が?」
「共鳴現象でここから発射されてる電磁波を増幅してたんだ。」
「私達には泣き声に聞こえて、ライブにはブーンという音に聞こえてた。」
「この魔導具は普通の聴覚に作用するように周波数が調整されていたんだ。
ライブ、もしかして耳がいいんじゃない?」
「・・・はい。それを言うと気持ち悪がられるので黙ってました。」
「別に気持ち悪くはないさ。お陰でゴーストの正体がわかったんだ。
それもライブの才能さ。」
「そんな事言われたの初めてです・・・。」
「もう一つ疑問が?」
「ああ、何故ネガティブになるかだね。」
「はい。」
「電磁波はその波長によっては人に不快感を与えるんだよ。僕達は情報として
ゴーストの泣き声を聞くとネガティブになるって脳に記憶させてしまっていた。
不快感を感じた事によってそれがネガティブになるって脳が錯覚したんだ。」
「つまり、思い込みがそうさせた・・・。」
「そういう事。ライブ、ネガティブって言葉の意味を知ってるかい?」
「教会の方達も言ってましたが、何の事かはわかりませんでした。」
魔導具は回収して、ライブを教会まで送る。
「詳しい事は魔導院から報告させるから。ありがとうライブ、助かったよ。
また会おう。」
「はい!」
「ああ・・・これは・・・。」
「何?ザイル。」
「何でもありません。」
「さあ僕達もさっさとヒムリンに報告して自由になろう。」
「はい。」
「失礼しま~す。カエデで~す。」
「すまないな面倒な事を頼んで、場所は聞いてるか?」
「ヒムリン師匠、もう終わりましたよ。」
「えっ!」
「電撃戦はガーネットの十八番。」 今回のゴースト騒ぎの顛末を話す。
「この魔導具が原因・・・ゴーストじゃなく人間の仕業・・・。」
「雷でショートさせただけだから、その部分を直せば動かせるよ。」
「意図的にその状況を作ったのなら、相当頭のいい奴だ。」
「そうだね。魔導具に詳しくて、電磁波に詳しい・・・。」
僕もザイルもじーっとエレクトリックマスターことヒムリンを見る。
「お、俺じゃねえ!」
「まあ条件が特殊だからすぐにわかるんじゃない?」
「ああ心当たりがある、後はこっちに任せてくれ。教会の方にも話しておく。
ゴーストじゃないなら引っ込むだろう。」
「お願いします。それと教会から派遣されたライブっていう子のお陰で
解決できたから。」
「わかった、伝えておく。」
「ザイル、昼食にしよう。」
「はい。」
ビストロのビップルームに直行。
「教会と魔導院が大騒ぎしてましたけど、あっさり片付きましたね。」
「これからの犯人相手の方が大変だよ、知能犯が相手だ。」
「私、ライブを抱っこして走っただけですよ。」
「いや、それを言うなら僕も魔導銃2発。」
「デルさん、いかしますね。」
「ザイルも魔導銃、使ってみたら。魔力量は問題ないし。どっちみちFクラスには
全員、使える様になってもらうしね。」
「欲しいです!」
「じゃあ昼食を食べたら・・・ああ、筋肉と会話か。」
「止めて下さい!筋トレは夜にします。」
キリコとエイルが来た。静は兄弟子の所だそうだ。
「お疲れー。」
「「お疲れ様です。」」
「あらザイル、筋肉と会話するって。」
「やめて下さい!魔導院のお仕事が入ってしまったんです。
終わりましたけど。」
昼食はラムチョップのコースだった。美味いのなんのって・・・。
「ちょっとザイルとガンナーズギルドへ行ってくるよ。魔導銃を発注する。」
「ああ、授業用のですか?」
「うん。ファントムのは専用にカスタムするから。」
「しかし、良いんですか?」
「何が?」
「カエデが教官を務めるとFクラスが特出しますよ。」
「まあそうなんだけど、僕が教官をやるからにはってやつさ。
実際、銃は万能ってわけじゃないし向き不向きもあるからね。そこまで
Fクラスが特出する事はないと思うよ。」
「スパルタですよね?」
「当然。武具なんだからちゃんと学ばないと危ないよ。」
「確かに・・・。」
「男子は黒で女子はシルバーでいいかな?」
「えっ!全員分、用意するつもりですか?」
「そうだよ。実弾銃は教材があるけど魔導銃はないからね。」
「これはあれですねえ、やぅぱりFクラスが特別クラスに。」
「みんな居るんだから、既にそうじゃん。」
「私も行きたいです。」
「了解。」




