GOBLINS
「紅緒さん、ばんわー。」
「こんばんは、スイカ食べます?」
「いいね、頂きます。」
濡れ縁を作ったので庭を眺めながら笑君とスイカ。夜なのに庭がみえる・・。
「ああ、自家発光だな。シャクシャク。」
「幻想的だね。シャクシャク。」 庭の木々が喜びに震える。
「センナ、見つけたぞ。シャクシャク。」
「まじシャクシャク、海の館に泊るけど、どう?」
「行く。」
「紅緒さん、美味かった。種がないんだね。」
「はい、アーク様が品種改良なさいました。」
先生って何でもできるよね。パンダだけど・・・。
海の館には笑君を肩に乗せ、歩いていく。
「全然暗くないね。」
「自家発光だ。」
「そう・・・。」 いつの間に・・・。
海の館でまずは露天風呂。波の音が聞こえる中ゆっくり入る。月を眺めながら
2人でコーヒー牛乳。
フゥー・・・ゴロウさんの森も気持ち良かったけど、ここもグッドだ。
「カエデ様、ザイル様がおみえです。」
「了解。」
リビングへ行くとザイルがうっすい恰好でくつろいでいた。こっちの風呂に入った
のか。才蔵に負けないナイスバデーだ。
「カエデが入浴中と聞いてたので私も入りました。レトルトのサンプルが
出来たので持ってきました。」
「ありがとう、見せて。」
おお。まさにあれだ。さすがに箱に入れる必要なないだろう。
「ヒカミと優に相談して空気、水分、光を遮断するように。」
「素材は何だろう?アルミ?」
「布です。キリコが内側に防水加工をしてくれました。」
「じゃあフォグで作るって感じ?」
「いえ、マキナ様に相談したら密閉しないと日持ちしないと。厨房の隣に
設備を作ってくれました。」
「えっ、じゃあもう稼働できるの?」
「デザインが決まれば、できます。」 すっげー。
候補が何個かあったので見せてもらう。へぇ、かっこいいじゃん。
「これアカリが?」
「そうですよ。嬉々としてやってました。」
「文字が入ってる方がかっこいいけど、識字率がなあ・・・。」
「慣れじゃないですか?」
「そうだね、これにしよう。これ使いおわったらゴミになるの?」
「いえ、消えるそうです。」
「まじ・・・。」 ファンタジー!ゲームだな・・・。
「牛丼と親子丼もある。」
「優がテストしたらうまくいきました。」
「あれ?レトルト自体の加工のはシゲさんが作ってるんだよね?」
「シーゲルがマキナ様に連行され。先ほど言った設備にその部分を
組み込みました。」 オ、オートメーション!
「その設備、極秘だね。神技術だ。」
「厨房の隣といっても異空間ですし、ブラウニーのみさんが担当してくれますので
大丈夫じゃないですか?」
「何か今更な事、言っていい?」
「どうぞ。」
「クランボさん達の呪いえお解いたらさ、3人とも凄腕じゃん。」
「そう聞きました。」
「ならさ、投資するだけで良かったじゃん。」
「・・・・聞かなかった事にします。」
「カエデの悪い癖ですね。」 いつの間にかスズメがいた。
「・・・なんかすいません。」
「あやまる必要はないです。結果、学食は大きな利益が生まれるでしょう。
利益がでれば学園は助かりますし、クランボさん達のお店の再建も可能です。」
「そうか・・そうだな。」
「まあ、そこが魅力でもありますが・・・。」
「んっ、何か言った?」
「なんでもありません。私達はここの所、戦闘をしてなかったので登校前に
師匠に見てもらいますので海の館に泊ります。」
「了解。」
笑君は既にザイルの膝の上で寝息を立てていたので、そのままザイルが連れて
行った。
「そうか・・・クランボさん達のお店の再建ができるな。今の内に物件を抑えて
おかなければ・・・。」
「だから、それ!」 スズメがまだ居た。
さて、寝るとしよう。何だかんだ今日も忙しかった。銃の講師とボルタの件を
こなしたもんな。銃はFクラス分くらいは用意したいな、シゲさんに相談しよう。
ボルタの事を皆に言うの忘れてた・・明日でいいや。才蔵の大剣を作っておやすみ。
お早う。森をランニング後木剣で素振り。
「あらカエデ、木剣?」
「そうなんだよ、家の流派を学んでる最中。」
「そうだったわね。」
久遠はスズメとザイルの素振りを見ていた。いや、2人ともすげー。
何と戦うつもりだ?
「久遠、今日ってたぶんゴブリンくらいだと思うんだけど・・・。」
「2人というかみんな毎朝こんな感じよ。」
「そうなんだ・・・。」アカリとボルタ、大丈夫かな・・・。
「ザイルは魔導師の身体じゃないわね、ムキムキよ。」
「ああ・・格闘術がすっごいから。」
「レスリングだったかしら?」
「そうそう。」
「掴まれたら終わりね。」
「こわいー。」
ひとっ風呂あびてみんなで朝食。
「スズメ、今日って普通に登校するの?」
「いえ、クラブハウスで大丈夫です。」
「クラスのみんなってギルドに入ってるの?」
「ダンジョンアタックは義務化されていますから。成績も出ますしね。
たださすがにこの時期だと入ってない人も居ます。」
「入ってない人は休み?」
「そうですね、自主トレでしょうか。」
「クラスの皆さん数人で新しいギルドを作ってましたよ。ゼルダ君を中心に
魔導系ギルドです。」
「魔導系かあ・・・バランス難しいよね。」
「ザイルのように両方使える人は少ないですから。」
「体術の講義の時に聞いたんですけど、この時期はギルド間の揉め事が
多いそうです。」
「人材の確保で?」
「それもありますが新入生のみのギルドも多いですから。」
「揉めてるのが目に浮かぶよ。関わらないようにしよう。光達にも言っとかなきゃ。」
「無駄ですよ、あの人達はおそらく揉め事の中心に居ます。」
「だよねー。」
ひと休みしてクラブハウスへ。久遠島からも行けるんだよ。
「お早う、リング。」
「おはようございます。」
「みんな来てる?」
「はい。」
「お早よー。」
「おはようございます。早速ですがチーム分けをします。
Aチームは諭吉、ヒカミ、エイル、シーゲル、優、才蔵。Bチームはスズメ、
ザイル、アカリ、カエデそして私。Aチームの指揮はシーゲルお願いします。」
「了解。」
「今日は他のギルドとのバッティングを避けたいので塔のダンジョンです。
かなり広いので今日だけでワンフロアーの攻略は無理だと思いますので
無理をせず怪我のないようにして下さい。ギルドの手続きは全員でして、
中に入って2チームに分かれます。」
「ドロップ品は?」
「食材は学食へ回します、それ以外の物はギルドで換金します。クラブとギルドの
運営費に10パーセント、あとは山分けでいいでしょう。」
人数が多いので、イド君で行く事にする。
「イド君、塔のダンジョンまで。」
「かしこまりました。
イド君なら10分もかからない。
まずは冒険者ギルドで手続きだ。ギルドあるあるはキリコが居るため起こらない、
どころが歓迎される。専任のギルド職員、ギルド施設の優遇など特典多数。
ギルドランクも当然あり、指名依頼もあるにはあるが学生はなるべく断るそうだ。
ギルドファントムの部屋まであるんだよ。集合場所や休憩に使おう。
それと職員の方からギルド共通の何かを身に付けて欲しいと言われた。
事情を知らない他の冒険者にからまれないようにするためらしい。
「エンブレムを戦闘服に。そうですねえ、左腕あたりでしょうか。どうです?」
みんな異論はないようだ。僕はちょっと恥ずかしいけど・・・。
「カエデ、恥ずかしいのはわかりますが付けて下さい。アカリ、デザインを
お願いします。」
「わ、わかりました。」
「では、行きましょう。」
手続きは終わってるので、キリコのライセンスを見せるだけで中に入れた。
人が沢山いる・・・というか相変わらず街だよね・・・。
「今日はなるべくカエデの作った武具を使用してください。」
才蔵に昨夜作った大剣を渡す、爺ちゃんのがモデルだ。
「おお・・・憧れの大剣。」
2チームに分かれて進む。アタッカーはキリコ、遊撃がスズメとアカリ。
ヒーラーはザイル、僕は結界担当。諭吉が居ないので斥候はなし、慎重に進む。
Bチームは刀が多いな。ちなみに銃も使用禁止。
1つの大きな道に対して脇道が無数にある。キリコが言うには最終的には
フロアボスに繋がっているという事。難易度とドロップ品が違うらしい。
「キリコはフロアボスとやったことあるの?」
「ないです。塔のダンジョンは護衛で途中までですね。
では、脇道に入ります。すぐにゴブリンが出てきますのでカエデ、結界を。」
「了解。」
薄暗い道を縦に並んで進む。考えてみれば久しぶりのファーストフロア、新鮮。
早速、ゴブリンのお出ましだ。この世界のゴブリンはいわゆるゴブリンとは
少し違う。学園の授業で女性達がびびっていたが、女性が大好きなのだ。
しかも数がやたら多い、イメージとしては蟻だ。ゴブリンのサイズで蟻のように
居るのだから、たまったもんではない。結果、ゴブリンは外だとA級に
相当する危険なモンスターだ。
前から20匹程のゴブリンたちが来る、このパーティがほぼ女性だと知ると
飛びあがって喜んでいる。あ~撃ちて~、インフェルノ撃ちて~ニブルヘイム
でもいい。まあ、でもゴブリンよ、うちの女性陣を怒らせると・・・。
「キモイ!」 キリコの一振りで20匹のゴブリンの首が飛んだ。
「あれ?なんで?僕の渡した刀だよね?」
「そうですが、何か?」
「まじ?」
「来ましたよ、どんどん来ます。キリコ、暴れていいですか?
何故でしょう?無性に腹が立ってしまって・・・。」
「いいですよ、このフロアのゴブリンを駆逐してあげましょう。」
キリコ、スズメ、ザイル、アカリの4人が飛び出して行った。
ちょ、ちょっと、結界の意味ー!
僕は大虐殺が繰り広げられてる後をドロップ品を拾いながら付いて行く。
おっ、意外に食材もドロップしてる。後は錆びたシリーズだけど今は必要
なのでありがたい、根こそぎ頂こう。
いや~すごいわ、こいつら・・・。僕が渡した5流の武具でもばったばったと
なぎ倒している。さすがにアカリが疲れて結界内に戻ってきた。
「あの人達は化物ですか?何で疲れないんですか?」
「アカリ、これ飲んで。」 ヒカミに渡されたパワードリンクだ。
「美味しい!あとカエデ、この刀やばいです。」
「えっ、もう寿命か・・。まあしょうがないね、今新しいの作るから。」
「違います、そうじゃありません。斬れ味が落ちないんです。普通、これだけの
数を斬ったら血糊とかで斬れなくなりますよ。」
「まじ?」
「まじ。」
「スズメ、ちょっと戻れる?」 スズメが戻ってきた。
「何です?今忙しいんですけど、斬り足りません。」
「ごめんて、アカリがさ刀の斬れ味が落ちないって言うんだよ。」
「・・・・そう言われれば。神刀ですか?」
「クズ鉄だけど・・・・。これ飲んで。」
「美味しい!斬れればいいんです斬れれば!」 また飛び出して行った。
「はて?何でだろう?」
「ザイル、ちょっと休んで。」 ザイルが戻ってきた。
「ザイル、サイはどう?」
「どうとは?」
「突きが通らないとか?」
「いえ、眉間にスッですよスッ。それどころがサイなのに斬れます。」
「まじか・・・。これ飲んで。」
「美味しい!筋肉に染みます。プロテインですか?」
「違うけどね。」 また、飛び出して行った。本格的にまずいぞ・・。
「キリコ、休んだら?」 キリコが戻ってきた。
「刀の事ですか?」
「うん、何故か想定してたよりいい武具っぽくてさ、これ飲んで。」
「美味しい!やはりゴブリンに対する嫌悪感が乗ってるんじゃないですか?」
「いや、そんな機能は付けてないから。」
「滾ってきました。あと700匹程狩ってきます。」
「えっ、い、いや、そんなに狩らなくても・・・。」
ま、まずいなー、これじゃあトップギルドは目と鼻の先じゃないか。




