TEST PERIOD
久しぶりに読書して、檜風呂入っておやすみなさい。
朝のルーテインをこなして朝食。
「お早う、カエデちゃん♡。」
「お早う父さん。母さんは?」
「月詠様の所だよ。」
「月詠の所?」
「ツバキは時止めを使えるから研究するんだってさ。」
「仕事は?」
「今の所はないね。」
「そっか・・・。少しゆっくりできるかな?」
「そうしたいよ。ペルセウス様が呼んでるけどね。」
「あれだね、宰相以外の仕事も増えちゃってるね。」
「そうなんだよ・・・。まあクロス達が帰ってきたらそっち系は任せて
宰相に専念するよ。」
「いつ戻るの?」
「1か月くらいって言ってたかな。」
転校の話はクロ兄達が帰ってきてからにしよう。
「お早う、リング。茶々。」
「お早うございます、カエデ様。」
「お早うニャ。」
シゲさんとアトムにセラフィックウエポンの改良の話しをする。
「そもそも改良なんて出来るのか?天使の武具だぞ。」
「見てみないとだけど、たぶん属性を変える感じになるんじゃないかな。」
「基本、聖属性だもんね。」
「シゲさん、今日も測定?」
「そうだな。ヒムラ様が来るから丁度いいし。」
「そうだった。」
今日は訓練場に集合だ。マーキー先生とヒムリンが居る。
「お早うございます。今日は魔導込みの模擬戦をしてもらいます。
仮想空間で行いますので移動しますよ。」
仮想空間に入るのは対戦者のみ。それ以外は見学だ。
「シーゲル君、測定の方はお願いします。それとヒムラ院長に説明も
お願いします。」
「わかりました。」
「免除されてる方は後でアドバイス等、もらいますのでお願いします。」
僕らはスタンド席みたいな所から見学だ。モニターに拡大版が映るので
とても見やすい。対戦は割愛するが皆驚くほど上達していた。
昨日の武道といいFクラスの連中は特化型ではなく複合型の戦士になりそうだ。
これに銃系もプラスされるわけだし。
「カエデ、ちょっといいか?」
「何?ヒムリン。」
「こいつら何でこんなに魔法を使えるんだ?おまえ何した?」
「何もしてない。マーキー先生から聞いてるでしょ?」
「まあ、聞いてはいるが・・・。全員、魔導院に欲しいくらいだぞ。」
「スリルをスカウトしたんでしょ?」
「そうだ、結界師は貴重だからな。断られたがな。
それでワイズ探偵社に依頼だ。」
「えー、やだー。」
「何も言ってないだろ!」
「スリルの説得でしょ?」
「・・・・。」
「彼はガンナーになりたいようだし、それを止める権利はないよ。」
「わかってる。ズームさんとレベッカ先輩とも話してるんだが魔導銃の部隊を
作ろうと思ってるんだ。だが現状、使い手が少ないからな。将来を見据えて
今から確保したいわけだ。」
「わからなくはないけど・・・。」
「このクラスの銃の教師はお前がやってるんだろう?」
「教師も不足してるからね。」
「説得とは言わないが、1度スリルと魔導院の仕事を受けてみてくれないか?」
「何かあるの?」
「ああ、バンパイアだ。」
「カーミラは?」
「彼女達も動いてくれるが、俺としては学園長に専念して欲しいと思ってる。
さすがに手に負えないクラスだと助けを求めるがな。」
「バンパイアか・・・体験しておくのも悪くないか・・・。
来週から長期休暇に入るからそれからでもいいかな?」
「大丈夫だ。こっちでもマークしておく。」
「了解。じゃあ詳しい資料を探偵社の方に。」
「わかった、届けておく。」
マーキー先生からの総括。
「みなさん、半年足らずでずいぶんと魔力量も増えてますし技術も向上して
います。1年生とは思えませんよ。何人かは上のクラスへ行くでしょう。
長期休暇中も瞑想を含め、鍛錬は続けて下さい。では休み明けに再び
お会いしましょう。」
シゲさんが全員Fクラス残留を希望してると言っていたけど、全体のバランス
を考えると数人はBかAに行かざるを得ないだろう。お別れ会的なものを
催した方がいいかもな。
昼食を食べ午後からは座学のテストだ。満点はとれるだろうが、なんとなく
70点くらいに抑えておいた。明日はいよいよ従魔の召喚だ。
クラブハウスに行くと早速ベル姉達のクランの人が来ていた。
「ベル姉達から話は聞いています。」
「初めましてですね。1年Aクラスのリオン・ミルバートです。」
「ああ、音使いの方ですね。」
「そうです。私は支援職なんですが前衛もこなせるようになりたくてアリス様に
相談したらレイピアかエストックがいいんじゃないかって。」
確かにリオンは小柄だ。
「成程、それでセラフィックウエポンのエストックをもらったと。」
「そうなんです。ただ私、入学するまで戦った事がなくて・・。アリス様に
言われてロイド流の道場に通いだしたんです。」
「こう言っては何ですが、それでダンジョンの深層部に行ってるんですね。」
「自分でもそう思います。毎回、怖くてしょうがないです。音使いがレアだった
なんて入学してから知りました。」
「それは災難でしたねえ。」
「ああ、でも皆さんのお陰で楽しくやらせてもらってますよ。」
「それは、よござんした。」
「あのう・・・カエデ様はベル様の弟君なんですねよ?」
「同級生だしカエデでいいよ、僕もリオンと呼ぶから。そうだね、毛色は
上2人と違うけど確かに弟だよ。」
「フフわかりました、私もカエデと呼ばせて頂きます。ボルタ君からとても
お強いと聞いていたのでもっとごつい方だと・・・。」
「ははは、まあ率先して戦う事もないからね。うちは血の気が多いのが
沢山居るから。」
「それで生産を・・・。リナちゃんがいつもレイピアに頬ずりしてるから不気味
に思って聞いたらこちらで作ってもらったと。」
「ああ、あのおどろおどろしいやつ。まさかリナがああいうのが好きだとは
思わなかった。」
「フフ確かに。でも不思議とリナちゃんが笑いながらモンスターを屠る姿は
様になってるんです。」
「ソレハヨカッタヨ・・・。」
「何で片言・・・。早速ですがこのエストックなんです。このままでも
使えなくはないんですが、しっくりこないんです。」
うわっ、エストックなのに羽根が付いてるよ。
「セラフィックウエポンは聖属性だからね。音使いってことは無属性だから
性能を引き出してないんだ。」
「カエデは博識ですね。音使いをご存知なんですか?」
「ま、まあ知り合いに1人居るよ。」 アポロンという神が・・・。
「是非、お会いしたいですね。家系に音使いが居なくて独学なんです。」
「へぇ・・たいしたもんだね。竪琴だったよね見せてもらっても?」
「はい、どうぞ。」
この前は遠目で気が付かなかったが、これは神器。まじでリオンはアポロンの
関係者じゃないのか?
アポロンは太陽神、治療の神、予言の神、芸術の神など様々な呼ばれ方をするし
牧畜関係者も羊飼いの神として崇めている。本人は陽気なあんちゃんで
不動や愛染と仲が良かったので僕も自然と友人になった。
「見事な竪琴だね。」
「そうだろう。」
「えっ!」
「やっぱ、おまえか。」
テーブルの周りに結界を張る。何故か学園の制服を着た子供アポロンが
リオンの隣に座っていた。
「あ、あの・・・この方は?突然、現れたような・・・。」
「ああ、知り合いの音使いってこいつだよ。」
「初めましてリオンちゃん。その竪琴は元々、僕が使ってたやつでね。
さすがに説明した方がいいと思ってさ。」
「そうなんですね。私が生まれた時に誰かがプレゼントしてくれたと
聞いていました。」
「話せば長くなるし時間がないから省略するけど、リオンちゃんの今の力は
竪琴が原因なんだ。」
「そういう事か・・・。」
「どういう事でしょう?」
「言い方はあれだけど、バフの力はリオンちゃんの力じゃなくてね。竪琴その
ものの力なんだよ。」
「確かにこれがないとバフは使えません。」
「もちろん相性がいいんだけど、それは赤ちゃんの時から一緒に居たからだね。
だけどリオンちゃんはまだ竪琴の力を完全に使いこなせていない。」
アポロンは竪琴に触れた。すると竪琴は弓に変化した。
「遠矢か・・・。」
「これが本来の姿なんだよ。長距離用の弓だね。
今のリオンちゃんだとまだ使えないけど、もっと魔力量が増えたら使える
ようになるよ。」
「弓だったんですね。何も言ってくれないから・・・。」
「そっか・・使い方は竪琴に直接習ったんだ。」
「あの・・・お返しした方が?」
「その必要はないよ。それはリオンちゃんのだ。
でももっと使い易くするために僕は来たんだ。」
アポロンがリオンに触れると光に包まれた。
「えっ!」
「これで良し。あと、今まで放っておいたお詫びにその趣味の悪いエストック
もリオンちゃん用にしておいたから。」
「えっ!」
「カエデ、申し訳ないけどリオンちゃんを頼む。」
「リオンは眷族なのか?」
「違うけど僕の加護が強くなったから。それに今の僕は封印されてて動けない。」
「分体か・・・助けるか?」
「お願いしたいところだけど、ここがどこかわからない。」
「不動と愛染は知ってるのか?」
「いや知らない。まあ、自分で何とかするさ。それまでよろしく。
ふぅ・・時間切れだ、眠るよ。」
アポロンは消えた。封印か・・・ティーターンのやつらの仕業だろうな。
友人として放っておくわけにもいかないな・・・。
「あのうカエデ、説明して頂けますか?」
「そうだな・・・まず今消えたのは神だ。
名前はリオンも知ってると思うけど、アポロンだ。」
「アポロン様・・・太陽神ではないですか。というか神は存在するんですね。」
「するね。」
「カエデは普通に話してましたが・・・もしかして神ですか?」
「普通の人間だよ。色々あって知り合いに神が結構居るけどね。
彼もその1柱だ。」
「私と何か関係があるのでしょうか?」
「そこら辺の説明はなかったけど、強力な加護を付けて行った。エストックも
僕が改良しなくてもリオン用に作り替えてくれたしね。」
「本当ですね。羽根がなくなってます、握りの所に太陽のマークが。」
「セラフィックウエポンから神剣に格上げされてるよ。」
「神剣って何ですか?」
「魔剣の事は?」
「知っています。クランにもクラスにも使ってる方がいらっしゃいますから。」
「神剣は更にその上のランクの剣。神ですら殺傷可能な剣だ。」
「えっー!それ私に必要ですか?」
「どうだろう?ただ、神剣とか神刀の所有者は神絡みの事に巻き込まれやすい。」
「無理ですよ!私はそんなに強くないです。」
「遠矢、その辺どうなの?」
「そうであるな。加護が強化された分私を弓として使う事ができるだろう。
エストックは正直わからん。」
「だよねー。」
「カエデは竪琴と普通に話してますね。」
「神器だからね。このエストックはダンジョンの深層部以外で使用しない方が
いい。普段使いするにはおそらく強力過ぎる。」
「そうですか・・・。」
「普段使い用のエストックはこちらで用意するよ。そのエストック見せて。」
フムフム・・・成程。素材は謎金属だがミスリルで再現できそうだ。
「ありがとう。遠矢、リオンに弓バージョンの使い方レクチャーしてね。」
「心得た。」
「じゃあ、エストックは明日取りにきてくれる。」
「何から何まですいません。」
「そういえばリオンは何かクラブに入っているの?」
「いえ、クランについて行くのが精一杯で・・・。」
「そっか、うちのクラブに入らない?」
「ギルドでではなくクラブですか?」
「ここはオマタクラブのクラブハウスだよ。ギルドファントムでもあるけど。」
「な、何ですかオマタって?」
「オートマタクラブ、略してオマタ。」
「略し方がとんでもないですね。」
「Aクラスだとアカリとアリーナが所属してるね。」
「それでなんですね。」
「何が?」
「アリーナちゃんが目を開けるようになって、明るくなりました。」
「クラブに入って憧れのお茶会やお泊り会をしてるからじゃない?」
「えっ、そんな素晴らしいイベントがあるんですか?」
「女性陣はやってるみたいだね。」
「是非、入会させて下さい!私もずっと憧れていたんです!」
「了解。じゃあ明日エストックを取りに来た時にみんなに紹介するね。」
「よろしくお願いします。」
今のリオンには神の事よりお茶会やお泊り会の方が大切だと思う。




