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ACADEMIC LIFE  作者: 一聖
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僕は今、寝込んでいる。魔力欠乏症だ。

原因は学園の入学式にある。

僕はカエデ・イカルガの転生体だ、もっと言うと斑鳩楓という日本から九尾の狐の

召喚に巻き込まれてこの世界にやってきた陰陽師だ。

前世はくそハードモードでこのドファンタジーの世界で生き抜くため修行や戦いの

日々でとても疲れて死んだ。老衰だけどね、ご長寿!

その時に神々の思惑もあり辺境貴族の次男坊に転生させられた訳だ。

神々の思惑はどうであれ転生しちゃったもんはしょうがないし、前世の反省を

活かし今生では絶対にスローライフを送ると意気込んだのも懐かしい・・・。

いや違う!学園に入学したまさにあの日からスローライフが始まるはずだった。

いや違う!まさにこれからスローライフを満喫してみせるのだ。

7歳の時にイカルガの記憶が戻り、スロライの為の準備をしてる過程で仲間達に

出会ったり事件や神々の都合に巻き込まれたりで、ちょっとどうなってるの

僕のスロライはと思った4年間だったよね。

ああ、すまない。寝込んでいる理由だった。

イカルガのエクストラスキルに『箱庭』というのがあり、そこでイカルガの

仲間達は暮らしていた。僕は時空魔法で異空間に街を作る能力だと思っていたが

ゼウスや天照が言うには、それは神と同じ『天地創造』の能力らしい。

当然だがそんなものを操るには莫大な魔力が必要なわけで、子供の僕には

『箱庭』を使うのは無理。修行して魔力量を増やすまで皆には眠っていてもらう

つもりだった。学園を卒業して旅人になるまでにはくらいに思っていた。

しかし、転生してから出会った仲間の中にイカルガの仲間の四聖獣の娘達が居た。

これも僕と出会う様に仕組まれていたようだが。

さすがに娘達の入学式は見たいだろうと思い、チームメンバーのシゲさん

(シゲさんは天才エンジニアであり、すでにイルミワークスという会社の社長で

 かつ不動明王の息子でもある。)に頼んで超強力魔力増幅器を作ってもらい

さらにヒカミ(ヒカミは天才料理人でビストロを経営しておりかつ氷の女神

フレイアの孫で四聖獣白虎の娘だ。)に魔力増幅パワーフードを用意してもらい

それだけでは不安だったのでエイル(エイルはチームのヒーラーで医学と癒しの

神でオーディンの娘だ。)に死んじゃったらリバイブをかける準備もしてもらい

チームの魔導師のザイル(ザイルは北の国の神、マッハとタラニスの娘。魔導の

天才でサイとレスリングの達人でもある。キャラ盛り過ぎ。)に魔力増幅の

バフを沢山かけてもらった。

元々、3分くらいは展開できた。愛染に銀色の巨人って突っ込まれたよね。

そこまでの準備をしてなんとか1日『箱庭』を展開できた。

入学式は修羅場だった。

僕達の世代は黄金の世代と呼ばれ、どこぞの王子や王女、大物の子息子女はては

神の眷族まで揃ってたからね。親達だけじゃなく孫の晴れ姿を見たいと神達や

エルまで参加した。カーミラ学園長はバンパイアの始祖で不死なのだが

さすがに生きた心地がしなかったと、後で聞かされた。

ティーターン神族の眷族達も居たしね、一触即発ってやつ。

まあ、それぞれの子供や孫の自慢合戦だったらしいけど。


入学式もなんとか終わり、四聖獣達は娘を『箱庭』の自分の屋敷へ連れて行き

祖父母の神や元精霊王を含め、お祝いをしたそうだ。

ちなみに玄武の玄さんは妻である仙人の久遠に会いに行ったらしい。

その間、僕は何をしていたかというと久しぶりな自分の屋敷で四聖獣以外の

みんなから説教されたよ。特に天狐の響きさんと僕の本来の得物の鈴音には

こっぴどく・・・。

そして夜中にタイムオーバー。ドーピングにドーピングを重ねた僕の身体と

魔力はヴァジュラでもどうする事もできずぶっ倒れ指の1本も動かせなく

なった。その状態で3日、母さんとベル姉には迷惑をかけた。

温厚な父さんからも、さすがに無理しすぎと叱られた。

こういうのもたまにはいいよねって、ちょっと思ったりもした。

4日目には少し動けるようになり、エイルの治療やヒカミのパワーフードも

あって1週間程で全快したのだが念の為、まだ横になっていた。

まじ、気をつけよう。


学園の方は、ほぼガイダンスだったようで授業は来週からだ。

僕らの学年は環境も整い、黄金の世代とお近づきになりたい子供達で溢れたため

10クラスもある。僕らは学園との裏取引でCクラス入りを確約されていたが

その都合で全員Fクラスだ。ありがとうカーミラ。

さて、そろそろ起きようスロライの始まりだ。


「カモナ、久遠島に行ってくる。」

「かしこまりました。」


「ちわー、紅緒さん。何か食べさせて。」

「消化の良いものにしますね。」


リビングに行くと女性陣が揃っていた。


「あらカエデ・・・・大丈夫なようですね。」


「ありがとうエイル、全快したよ。」


「無茶させて申し訳ありませんでした。」


「気にしないでキリコ、完全復活したから。それより皆、学園はどう?」


キリコは竜人でフォグという服屋のオーナーデザイナー、そしてガイアの孫で

四聖獣の青龍の娘だ。


「そうですねえ、さすがはFクラスと言ったところでしょうか。」


「入学試験の時の平均点な方達が集められたクラスだと思いますので、

 平和な感じですよ。」


「その言い方だと平和じゃないクラスがあるのね。察しはつくけど。」


「お察しの通りです。AランクからCクラスくらすあたりまでは濃いですね。

 喧嘩でもしてるのでしょうか、物が壊れる音がよく聞こえます。」


「まだ入学して1週間だよ、揉めるの早くね?」


「神武さんあたりは止めようとするみたいなんですが、さすがAランク

 言霊が通じないそうです。」


「予想通りすぎて裏取引をした自分を褒めてあげたい。平和、素敵な言葉だ。」


「全くです。」


「カエデ、登校したらクラスに来る前に学長室に行って下さい。

 用事があるそうです。」


「えー!拒否権あるの?」


「ある訳ないでしょう。」


「あと、クラブとギルドへの勧誘が激しいですね。」


「あるあるだね。生徒会とか風紀委員会とかあるんでしょ?」


「もしかして、知らないんですか?」


「何が?」


「生徒会長はベル様です。副会長がアリス様で書記は華様です。

 ベル様は入学式の時にご挨拶してたじゃないですか。」


「いや~、『箱庭』の維持に必死で何も覚えてないんだよ。ベル姉達が生徒会の

 役員っていうのも今知った。」


「それと学食が酷いですね。」


「予算も限られてるだろうし、しょうがない部分もあるね。」


夕食はみんなも僕に合わせてくれたみたいで鍋焼きうどんだ。うっまー!

食後のコーヒーを飲みながら再び学園の話。


「Fクラスの担任って誰だっけ?」


「ニング先生ですよ。冒険者でもあります。」


思い出した、筋骨隆々な女の先生だ。


「ニング先生はギルマスのお弟子さんですよ。」


「という事は足技が主体か・・・気をつけよう。」


「ユキチとシーゲルがびびってました。」


「2人は蘭お姉様イップスだからね。あとはカリキュラムか・・・。」


「午前中は必須科目で午後から自由選択です。」


「ああ、入学前に決めたやつ。」


「確かカエデは座学ばかりだったような。」


「そうそう。」


「知識と経験は教師以上なのでは?」


「経験はそうかもだけど、知識はねえ・・・。独学だったしね。」


「クラブ活動も必須です。単位として認められますので複数兼任の方も。」


「オマタクラブはしょうがないとしても、他にも入っていいのか・・・。

 みんなはどうするの?」


「私は剣術系のクラブの中からひとつに入ろうと思っています。防御主体の

 ものがあれば。」


「私と優は料理クラブです。学食の改善は考えたいと思います。」


「私はクラブではないですが図書委員をやります。クラブ同様委員会も単位と

 して認められていますから。」


「スズメと同じで保健委員ですね。」


「私は体育委員です。」


「諭吉とシゲさんはどうするんだろう?」


「ユキチはオマタクラブだけでいいと言ってたんですがニング先生に風紀委員に

 任命されて嫌がってました。」


「シーゲルはボランティア活動をするクラブに入るって言ってました。」


「そっかあ・・・僕はオマタクラブでいいかな。早く帰って惰眠を貪るんだ。

 ああ、夢が広がりまくりんぐ。」


「眠る事がですか?」


「当然じゃないか、この世界の眠りは価値がある。」


「まあ、放っておいても勝手に事件に巻き込まれるでしょうし、探偵業も

 ありますもんね。」


「やめてー!」


「後はダンジョンですね。私達の世代は実力者が多いらしく1年から階層制限も

 ないそうです。ソロで入る人には試験があるみたいですが。」


「危なくないの?」


「学生ギルドが多数あるようで、そこへの加入が推奨されています。」


「縦社会は面倒だな。」


「私達でギルドを新設しましょう。というか是非、お願いします。」


「何で?」


「ああ、キリコはSランクなのがばれてしまってるようで勧誘が激しいんです。」


「ご愁傷様です・・・。」


「いや、他人事!」


「だって惰眠が貪れなくなるじゃないか。」


「無駄ですよ。週の1日はダンジョンデイです。」


「まじか・・・。」


「学生ギルドはランキング化されていて、上級生の方達は卒業後の事にも直結

 するようで必死ですよ。ちなみにランキングトップはベル様達のギルドです。」


「まあ、そうだよね・・・。ベル姉達のギルドに入って甘やかされるという手も

 あるけど、ここはあえて新しいギルドを作ったほうが面白そうだ。

 キリコ、よろしく。」


「えっ、私ですか?」


「僕は両親からロイド流とタチバナ流以外は封印せよと言われてるんだ。

 魔導も銃も学園では使えないんだよ。そうなるとチームでは最弱だからねえ

 ギルマスは務まらない。」


「はぁ・・・わかりました。ヒカミ、手伝って下さい。」


「わかりました。」


色々と来週の事を話し合って解散。

サンルームでコーデックス達の世話を笑君としてガーネットの屋敷に戻る。

放任主義なので特に何か言われるわけではない。

僕の部屋は超広い、さすがボンボンだ。風呂入って寝よう。

来週からロイド流とタチバナ流も朝食前に習う事になっている。

となると完全な休みはあと2日か・・・ウヒヒ、ソロキャン一択だろう。

僕の従魔の小梅、イチ、ニイ、春さんは独立というかそれぞれの仕事や修行が

忙しく別行動をするようになった。基本は神楽に居る。

もちろん呼べばすぐ来るんだけど。

という事もあって明日は完全にソロキャンだ。おやすみなさい。


お早う。まずはゴロウの森をランニング。


「お早う、ゴロウさん。」


「おう、もういいのか?」


「うん、全快だよ。」


「まあ、しょうがないとは言え気をつけろ。ツバキとベル達が泣いてたからな。

 あまり心配をかけるな。」


「わかってるよ。」


ランニングをしながら身体のチェック。うん、問題ない。

気づくとスレイプニルが併走してきた。


「お早う。」

「うん。」


烈火さん達の娘のニルだ。なんと白いスレイプニルで同級生。

烈火さん達はニルに教育を受けさせたいと普段は人化している。ゴロウの森に

屋敷もあるんだよ。烈火さんは帝宮で働いていて雷帝の騎馬をやっている。

軍の騎馬達のリーダーでもあり高給取りだ。

母親の風さんは専業主婦なんだけど母さんと仲が良く、他国への出張の時は

よく同行してたりする。


「あれ?ユニコーンって清らかな乙女しか乗せないんじゃなかったの?」

「いつの時代の話をしてるのですか?」


と言われ、母さんにはしばかれた。

ニルは姉さん達に可愛がられていたのでめちゃくちゃ強いし頭もいい。


「Aランクだっけ?」

「うん。喧嘩ばかり・・・。」

「そっか、怪我しないでね・・・・。」

「大丈夫。」


ニルは雷子とも仲がいい。おそらく雷子のチームに入るだろう。

庭で軽く蜻蛉の型の確認、学園では蜻蛉をメインで使うつもり。ナイフもありだ。

朝食を食べに食堂へ。

ベル姉達が居た。



 

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