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第一話

真っ暗な部屋。分厚いカーテンから漏れる斜めの光は太陽が地平線から顔を出し始めたことを告げ、

光に照らされた埃が輝く。ほのかな銀をまとった一条の光は少年が眠るベッドへとその手を伸ばす。


朝日は少年に起きてと呼びかけるが彼が起きる気配はない。


彼の枕元には読みかけの本が開いたまま伏せられている。

どうやら途中で寝てしまったらしい。

なかなかに古そうな表面や角が少し汚れていたり欠けているその本は少年が何度も読み返しているものなのだろう。



少しばかり時間がたつと不意に部屋の外からわずかな喧噪が聞こえるようになった。どうやら彼の両親が目覚めたようだ。


カチャカチャと食器を置く音が聞こえてくる。パンの焼きあがる匂いが部屋の隙間から中へと漂う。


そんな日常の香りに誘われて彼はむくり、と上半身を起こした。

まだ眠い目をこすりながらも伸びをした彼は差し込む光の源へと歩み寄る。


目を細めながらもカーテンを開ききると太陽を一瞥もせずに

くるりと踵を返した彼は自分を待つ両親の元へと未だおぼつかない足を動かした。


ガチャリ


「「おはよう、シン」」


両親が愛する息子に朝の決まり文句をわずかに頬に笑みをたたえながら投げかける。


彼、シンはどこか虚空を見つめたあとすぐに自分も笑みを浮かべて、


「おはよう、父さん、母さん」


朝の決まり文句を返した。彼の物語はまだ、始まったばかり






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