表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

現像という言葉

作者: あいなめ

 小説を読んでいると、「現像」という言葉が使われていることがあります。

 というか、割とよく見かけるのです。

 しかし、それらが適切な意味で使われているのは、見たことがありません。


 現状ではほぼデジカメ一本という事になるでしょうが、

 撮影した画像を紙に出力する、という作業に「現像」という言葉を使っているように思われます。

 これは、少なくとも銀塩時代を知っているものから見ると、とてもひどい誤用に思われます。

 この点指摘させていただきたく。


 もともとの現像は、銀塩時代の用語であり、その意図は「感光したハロゲン化銀(=潜像)を銀粒子に変化させる(これで目に見える像になる)」ことです。

 実際には、「未感光のハロゲン化銀を流出させる」定着という作業も 広義の現像プロセスに含まれています。

 つまり、現像は、「目に見えない潜像」を「目に見える像(=ネガ、ポジ)」にするという作業なのです。


 昔のカメラ屋さんというか写真屋さんはDPE店とも呼ばれて、(Develop)(ment)プリント(Print)引き(Enlarge)伸ばし(ment)を行ってくれるものでした。

 プリントは密着プリントを指すので、35mmフィルムではほとんど使用される事がありませんでしたが、現像によってネガを作成し、かつ「同時プリント」で「サービス版」の写真を「引き伸ばして」もらうという一連の処理を行ってもらうのが一般的でした。


 以上から判るように、「現像」という言葉は、どうやっても「紙に出力する」という意味にとる事はできません。

 カメラのXXXみたいなお店に行って、スマホの画像を出力するサービスとかで、「現像」という言葉が使われる事は絶対にないでしょう(銀塩の名に懸けて!/w)。

 類義で考えるなら、CCDが感光することによりたまった電荷(=潜像)を読みだして、画像(JPEGやTIFFなど)を生成するカメラ内での作業を、現像と呼ぶことができるでしょう。

 また、デジタル暗室という言葉があったように、そのままでは読み取ることができないRAW形式のデータを、パラメータを指定してJPEGに直す、といったデータ加工作業は、ある意味「現像」と呼ぶことができるかもしれません。


 ですので、もうここは「現像」ではなく素直に「プリント」という言葉を使ってやってください。

 あるいは、「印刷」や「出力」でもいいんですが。

 かつての銀塩使いがものすごく気持ち悪く感じてしまいます。

 切に切にお願いいたします。


 なんでこんな誤用が流行っちゃったのかな。

 参考: https://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1709/05/news050.html

「現像」は「プリント」のことじゃない

実は、昨日も見かけちゃったのです…

書き終わった後に検索で参考ページを見つけたのだけれど、見事に同じことが書いてあって、草。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 技術の進歩で現れたものに、以前からの言葉を不正確に流用するのは、珍しいことではないと思います。 ぱっと思い付いたのは、電気コンロの「火力」ですね。 それらも全部回避しているという自信があるな…
[一言] 私も写真屋さんで印刷してもらうこと自体を現像すると言っていました。現像するって言葉にそういう意味合いがあるとは知りませんでした( ̄▽ ̄;) これからは気を付けようと思います(`・ω・´)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ