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親友が竜に番認定されてストーカーされて困っていると聞いたので、悪役令嬢として婚約破棄されて自殺未遂までしたので、次の婚約者が決まらない私を代わりに番にしないか? と竜に提案してみた。

作者: あかり

「私本当に困っているのミモザ!」


「どうしたのエミリ?」


「お前は私の番だ、だからお前は私のものだとか、竜にストーカーされて無理やり竜のねぐらに連れていかれそうになって今すごく困っているの、あなた竜の確か研究してわよね? あいつ追い払ってくれない?」


「はあ?」


 ミモザ・スタッカート、今年で21になりました。とうとういきおくれといわれる年齢です。

 友人のエミリは19歳、このたび幼馴染の婚約者と今年結婚が決まりました。


「……番って確か運命軸が決めた運命の恋人では? エミリ、そいつに恋愛感情などは?」


「ないに決まってるでしょ。あなたも知っての通り、ケインのこと父に許してもらえたのに!」


 エミリは庭師の息子とフォールインラブ、子爵の家の令嬢であった彼女の結婚相手としてはダメダメ。

 一族中の反対を押し切り、やっと結婚が決めましたわよねえ。


「うーん、番なのに」


「困ってるの。だって番とかいわれても私あいつ嫌いなんだもの! 迷惑してるの!」


 友人が困っていると聞いて、私はじゃあこれは? と案をひとつあげてみました。



「わが番はどこだ!」


「番の人はあなたに迷惑をしていると言って引っ越しましたわよ」


「は? しかし番の気配が」


「ああこれのこと?」


 私が呪文を唱えると、空中に竜の紋章が現れました。

 番の気配と驚く竜、しかし何もいわないでレディーの部屋に現れるとか迷惑ですわ。


 かわいそうエミリと思います。


 白ということは白竜ですわね。人間の姿になってますが、白い髪に赤い目ですか。


「私は刻印魔法師ですわ、竜の研究もしてますわ。番システムを完全に解き明かしましたの! あ、私はミモザ・スタッカートと申します。21歳、独身。3年前に王太子の心変わりで婚約破棄された女ですわ!」


 自己紹介をとまくし立てるとうるさいと眉をしかめる竜。

 名前は? と尋ねると番以外に答えないと言い張ります。


「あ、ではラスタバンというのはどうですか? 竜の誇りと……」


「うるさい」


 番の気配がどうしてそこからくるんだとうるさく聞くので、私は番の運命について説明を始めました。


「番、というのは竜が増えすぎないように神が設定されたシステムですわ」


「はあ?」


「だから、竜の数が増えると困るという神が設定したシステムで、どうして番が人間が多いのか疑問に思ったことないです? それは、人間相手だと子が生まれにくいからなのですわ!」


「……どうしてそんなことお前がしっているのだ!」


「私、刻印魔法師です。刻印魔法というものは神の輪廻や運命軸を解明できる素養があり」


「わけがわからん……」


 頭を抱え込む竜、あーもう、私は刻印魔法師になった理由も一緒に説明をはじめましたわ。


「私、王太子殿下の婚約者になるためだけに生まれ、生きてきて、18歳まで人生を棒にしましたのよ。そして庶民の娘に恋したから婚約破棄する! と言われて人生に絶望をして自殺をしまして」


「自殺?」


「正確には未遂ですわ。そしてその死後の世界で神様に会いました。神様曰く、私の寿命はまだだって言われて、だから一つお前の望む力をやろうって提案されて」


 いい加減な神でしたわ、私は世をはかなんで自分の部屋から飛び降りたのですが、3階から飛び降りて木の引っかかって、魂だけが飛び出したとかなんとか。


「なら神にしろって言ったらだめって言われて、ならそれに近い力をよこせって言って」


「それが刻印魔法とやらか」


「正解です。私はそこから刻印魔法の使い手となり、そこから人間の運命線が見えるようになりましたの、死にかけて力に目覚めるケースっていうのがありまして」


 私はそしてその番の運命の解析をしてみたら、面白いことにと話を続けようとすると、わかったわかったと黙れと竜が言います。



「お前の力は神の力、それはわかった。だが私は番としての気配をお前には感じない」


「刻印を魂に移植すれば私が番になりますわ」


「私が愛したのは番だお前じゃない」


「でも番の気配がすれば番ですわ」


 私はニコッと笑って貴方が番というエミリはあなたのこと愛していませんしと断言します。


「それはお前が言っているだけのことだ」


「……あなたを退治してほしいと最初私依頼されましたの」


 私は事実を述べているだけですが、この竜、頭が固いですわ。

 魔法協会に登録してみましたが、需要がないのですこの力! 解明されてないし、使い手がいないって、だって婚約破棄されて自殺未遂した令嬢なんて次の婚約者がみつかるはずわけもなく、いきおくれの令嬢って実家で肩身が狭いのですわよ。


「刻印魔法……か」


「魔法師としての名前は、ユリアナと申します」


「……魔法協会は私は大嫌いだ」


 私は使いようがありますわと笑います。私は自殺未遂から助かり、そこからはまあみんな腫物扱い、それもいやだなあと私は家出をして魔法協会に入ってみたものの、この力があればできないことはほぼなくて人生詰んだって思いました。

 お金だって、人の心だって何もかも手に入れられる未来だってみようと思えば見通せますもの。


「人生、退屈が一番いやだったのですわよね」


「……そういえばこの国の王太子が結婚相手に選んだ娘が心変わりをして男と通じて……」


「私がやりましたの、だって本当の運命の相手って他にいたのに、あの浮気相手さん、王太子に告白されて、それを受け入れたのは自分が貧乏から脱出できるからってあはははは、そんな愚かな考えの女のせいで私死のうとしたなんてばかばかしくて!」


 私はクスクスと笑います。恐れるように身を引く竜、あらどうしましたの?


「お前が……本来の相手とやらと」


「ええ。通じさせて、めでたく妊娠しましたわねえ、次期王妃がそれなんて、王太子の面目丸つぶれ廃嫡の未来が見えましたの、傑作でしたわ」


 私はぐしゃりと番の刻印を握りつぶしました。竜が私を見て後ずさります。


「冗談ですわほら」


 私は番の刻印を復活させました。何もかも自分の思い通り、こんな人生退屈すぎますわ。

 だから力を制限しましたの、私は己の未来をみないことにあれからしました。

 王太子が廃嫡されて、私はただのミモザとして家の居候をしてます。竜の研究家としてね。

 どうして竜? ってだってちらっと見えた未来にこの竜がそばにいたのですわ。


 将来、私はこの人と恋人同士になるらしいってところまで見えたから生態研究をしたのです。


「うふふ、あなたの名前はなんですか?」


「……お前、狂って……」


「神の叡智、世界の深淵、私はそんなものほしくなかったのですわ。ほしいのは愛だけ、愛しい人の愛だけでしたのよ」


 私はこの人に恋をする。それだけが希望でした。

 それも未来の運命線? かもしれませんわね。でも白竜は神の使い、神に近い力を持つ。

 なら私の力すら通用しない可能性がある。それに賭けました。


「番としてのこれを刻印しましょうか?」


「……いや、お前は面白い、狂っているようで正気でもある。神の叡智をその身に宿しながら正気とは面白い女だ! その刻印はいらぬ、お前が欲しい!」


「ありがとうございます。ならあなたの名前は?」


「私の名前は……」


 竜が真実の名を名乗るのは番にのみ、私はしかし番としての刻印を完全に消しましたわ。

 しかし彼は私と一緒にいてくれるといいます。


「あなたのねぐらにいけば?」


「お前の望み通りにしよう」


 世界なんて思い通りなんてことはありません。神の一部を宿すものには私の力は通じにくいのですわ。

 私は彼の名を呼んで、笑ったのでした。


読了ありがとうございます!

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