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第1話 旅立ち
「――――ありがとう。」
誰かがそう呟いた後、何かが消滅した。
ハッと起きて目が覚めた。時刻は予定集合時刻9時から10分過ぎた頃。
やってしまった、遅刻確定である。これからシャワーを浴びて、準備をして、朝食を食べて…、軽く1時間は必要だ。
今日は俺の高校の特別実習という名の林間学校の日だ。最寄り駅に幼馴染2人と待ち合わせをしていたのだが、遠足前日の如く夜は全然眠れなかった。案の定、スマホには2人からの着信履歴が溜まっていた。
LINEで遅れるから先に行って欲しい旨を伝えた後、大急ぎで準備を始める。
「何だったのだろうさっきの夢は」
シャワーを全身に浴びながら、昨夜の夢を思い出そうとする。しかし、顔や状況がはっきり思い出せないままぼんやりと消えていく。
髪を乾かし、適当な服を選んで着こなしたあと、朝食のパンを咥えながら自宅を飛び出す。
初投稿作品。