16話 白魔導士、宿屋を探してたら、いつの間にか尊くてモフモフでヤバい。
ウォルターに入れたのは良しとして、まずは宿屋を探さないといけない。
クロトと手分けして、宿屋を探していると──
「うわぁもふもふ!」
「ガウ?」
一人の女の子がハクを見て近付いて来た。
街を歩いて分かった事だけど、どうやらハクは少し大きな銀狼だと思われてるっぽい。
最初のハクは魔物らしさがあったけど、洗って汚れを落としたら、可愛いとカッコいいを両立させた普通の銀狼になった。
あくまで見た目だけだけどね。
確かに狼は珍しいけど、商人達が見を守る為に飼っていたりするし、いなくはないよ。
「ペット……なのかは少し怪しいけどね」
ちなみに──
「貴女は獣人さんだよね?」
茶髪の上に生えた猫耳と、腰の辺りからちょこんと生えた尻尾が見える。
猫の獣人ちゃんマジ可愛えぇ……
そんな猫の獣人ちゃんは、私の顔を見ると──
「っっ!? ……ご、ごめんなさい!」
顔を青白くし、土下座までしてしまう。
まあ獣人ならそうなるよね……
これも全部腐った人間のせい。
獣人、こんなに可愛いのに。
「大丈夫大丈夫、私はそういうの気にしないから! 顔上げて!」
「……殺さない?」
「殺さない殺さない!」「アウアウ!」
私とハクとでブンブン首を横に降る。
お前もするんかいな。
「う、うん……」
ゆっくりと立つ獣人ちゃん。
その顔には、まだまだ恐怖が浮かんでいる。
ううう、さっきの好奇心の塊みたいな顔をしておくれよ……私は可愛いお顔がみたいよ……
「私はエアリス・アーデンベルク、16…………いや13歳だよ!」
そうだったそうだった……今の私は13歳。
え、胸? ある訳ねぇだろ潰すぞ。
13歳の普通の娘がリンゴだとすると、私のは──
無さ過ぎて例える果物がないわ。
はっはっは、巨乳は全て滅んでしまえ。
「ボ、ボクはソラ。9歳、です……」
「なん、だと……?」
9歳でこの小ささ、しかもボクっ子。
同士で、希少種で、もふもふの獣人。
「でろー」
「お、お姉さん!?」「ガウ!?」
「はっ!? つい……」
歳の割に幼い=将来胸が大きくなる可能性が低い。
それにボクっ子、そして獣人。
私的好感度メーターをあまりにも刺激してくるもんだから、思わず涎が出ちまったぜ……
一旦ソラちゃんの可愛さは置いておくとして、ソラちゃんが私が人間だと分かって驚いていた理由。
それは一部の腐った人間の貴族や王族が、獣人を弾圧し、片っ端から獣人達を奴隷にして回ったから。
多分だけど、人間の王族達が自分達より強い力を持つ獣人を恐れたからだろうね。
それ以降、獣人は人間より下という固定観念が獣人側にも人間側にも生まれ、現在の状況になってる。
幸いにも獣人の国──ルボラムは弾圧されなかったけど、世界中の獣人達は、常に人間の気を伺いながら生活するハメになっている。
まったく許せんね。
あとから分かったことだけど、ソラちゃんが私を人間だと思わなかったのはハクが原因だった。
銀狼はルボラム付近にしか生息しないんだって。
確かにアーデンベルク領や王都では見てないね。
「えっと、ソラちゃんはハクのもふもふを?」
「え……!? いや別にそんな事は……な、な……ない……です…………」
そんな苦渋の表情で諦めるほどもふりたかったの?
私獣人なの気にせん言うとるがな。
寧ろ獣人大好き。もふいから。
でもそれを言っても、ソラちゃんもふらない気がする。
だから──
「ええいもふれ!」
「うひゃ!」
「ガウ!?」
ソラちゃんの小さな身体を、ハクに向かって押す。
ソラちゃんはそのまま、座り込んだハクにぶつかって──
もふっ。
「うぇへへ……もっふもふだぁ……!」
「…………」
ぁぁぁぁぁぁぁ尊い!!!
守りたいこの笑顔!!!
もふもふもふもふ!!
「でろー」
「はっ!? いけない、あまりのもふもふに……お姉さん!?」
「はっ!? つい……」
あー……もふもふ×猫耳幼女とか尊過ぎますわ。
この笑顔を守る為にも、早く魔王を倒して、差別や奴隷制を無くす為に頑張ろうと思った。
あぁぁぁもっふもふ!
獣人は獣となんとなく意思を交わす事が出来ます。(ハクは魔物なので無理ですが……)
ですので、獣に触れる事に抵抗がありません。
ソラがハクのもふもふに釣られて気軽にもふもふを見に来たのはその為です。





