精神科の母 亀岡万里子医師
亀岡医師は大阪へ飛ばされた。しかし彼女は高岡雄一郎と言う精神科医は名医なんで
私のような無名の医師が左遷されるのは致し方ないんです。と言った。
「え? 亀岡先生が大阪に左遷されたんですか? またどうして…。」
おそらく君の母親が直接院長に言ったんだろう。
母はおそらく先生を東京から追放したかったんだと。亀岡先生には申し訳ない思いです
いや。亀岡万里子と言う精神科医は東京へ帰ってくる。私、高岡雄一郎の後継者だからな。
典紀君、亀岡先生はプライドが高い負けず嫌い
ちょっとやそっとのことじゃ負けないよ
のちに万里子は東京へ帰って来ることとなる。
そして、医師となった彼の理解者となることを典紀はまだ知らない
それから十数年後、彼は研修医としてこの病院に帰って来た。
片平典紀、二十七歳の時の話である。
診療科は当然精神科。
「おお。典紀君、いや、片平先生と呼ぶべきだね。」
高岡医師と亀岡医師がそこにいる。
「ようこそ。帝都医科大学精神科医局へ。」
彼のほかに同期の医師は荘野夏海と名乗る黒髪の清楚な女性だ。
「実は、片平先生に言ってなかったことがあって…。新井有紀さんって刑事の件なんだけど。
私の高校時代の先輩なんだ…。」
確か、高岡先生担当の刑事さん?
そう。私、もし新井先輩の担当医やれって言われたら、自信ない
大丈夫よ。セカンドオピニオンで私か高岡先生がいるから。
僕もそうですよ。新井さんの病状は気になってますが…。
あの頃の僕と同じなんです。
構いすぎによるうつ病ね。亀岡医師はそう言った。
精神科の母の別名を持つ白衣の女性医師だ。