第一話:魔王オルゴスを犠牲に、スキルの効果を確認しました。
ふぁー。
めんどくさいことになった。もう旅は始まっているのだ。
腕にはあの「封印の時計」をつけている。
王様からナビのような物をもらったけど、それによると、
「西二1キロサキ二、マオウカクニン!アイツアンマリツヨクナイ!イケル!」
とのこと。
「エデール行くぞ!」
「え、えー!?下準備も無しに!?」
「ナビもイケルって言ってんだろ!意気地なし!だからお前は彼女の一人も出来ないんだよ!」
「・・・くっ、気にしてること言うなよ。まだ20代だからいいじゃないか。」
西に1キロということは、エクレール街に行けばいいのか。
旅の合間は結構暇だ。
「え?」
声を上げてしまった。
ない。
ないのだ。
エクレールの街は結構広い。だからここからでも見えるはず・・・なのにないのだ。街が。
「おいおいエデール!ヤバいって!」
「知ってるよサン!早く行くぞ!」
「・・・え、えでーる・・・あれみて・・・」
「え?なんだよ・・・うわぁ!」
街があったはずのその所に、巨大な穴。
誰かの悲鳴が聞こえる。
しかも・・・巨大なバケモノ。ドラゴンと蜂を足して2で割ってそこにヨーグルトぶっかけたような見た目。あれが魔王?
ナビがビービー鳴る。
「アイテノツヨサヲカクニンシマス!
ピーピー・・・
名前:魔王オルゴス レベル:判定不可能
HP:判定不可能
MP:判定不可能
攻撃:判定不可能
守備:判定不可能
速度:判定不可能
スキル
判定不可能」
「何だよ!名前以外全部判定不可能じゃねーかよ!」
「おいエデール!ツッコミ入れてる暇があったらさっさと戦えよ!」
「・・・え、戦う!?無理だよ!こんな奴!魔王・・・オルゴスだっけ?」
「もー!俺がやるよ!」
サン、お前こんな奴と戦う気か!?死ぬって!
戦闘モード突入なの?
サ「えーと、風の使いSPの「ハリケーン」ってどういう意味?どうやって使うんだろ。よくわかんないけどとりあえずあの魔王のどっかに当たれ!」
サンが言い終わらないうちに風が強くなってきた。
エ「ちょっちょっ!?ハリケーンって台風って意味だよ!うわー!飛ばされるぅ!」
魔「グググ・・・お前ら面白い!久しぶりの人間!でもオイラ、風得意!人間弱い!」
サ「おいエデール!スキルはお前のほうが強いんだからお前もやれ!」
エ「は、はい~。えーっと強そうなのは、闇の支配者の「ブラックゾーン」?なんか名前怪しい!でもやってみよ!」
その名の通り、辺りに黒い霧がたちこめる。
魔「お前らちょっと強い!イジメたら面白そう!オイラも参加させろ!」
そういって魔王オルゴスは足踏みをした。
エ「うわー!地震!」
その時。
ブラックゾーンの効果が現れたのだろう。魔王がふらついた。
魔「ま、まさかお前ら、闇の支配者、持ってる?ヤバい!降参!オイラには無理!殺さないで!」
何か知らんけど魔王が静まった。
魔「は、はやく、オイラを封印して!闇の支配者にヤラレルよりは、封印されてじっとしてるほうが、安心!」
サ「今だエデール!時計に封印しろ!」
エ「うん、わかった!」
魔「お前ら、もっと強いのと戦いたいんなら、リガルの森、行って来い!そこに、魔王たくさん・・・」
魔王が言い終わらないうちに、封印できたのか消えてしまった。
「と、とにかく1匹目確保だな。サン。」
「お、おう・・・でもあの、闇の支配者ってすげえらしいな。魔王ビビってたぞ。」
はー。
とりあえずイケそうだ。でもあと3999匹か・・・。
この時エデールたちはすっかり油断していた。しかし魔王オルゴスは下級魔王である。中級、上級、最上級のヤバい魔王の集団が押し寄せて来るとは、夢にも思っていないだろう、今は。