プロローグ:魔王さんたちの封印解いちゃった!
時は29世紀。その街はまあまあ、いや「かなり」栄えていた。ここは日本でいうと「東京」というだろうが、ここは日本ではない。いや、地球でもない。でもその国でいうところ、この街は「首都」なのだ。
この街は何で有名かって?そんなことも知らないのか、ここはまあ「科学」で有名だとでも言っておけば、君には伝わるだろう。実際には「科学」だけではないのだが、君にそれ以外の事を言っても伝わらないだろうな。
「・・・おい、起きろ!これで97回目だぞ!」
「・・・え・・・まだ5時って・・あああああああああ!!!」
ここはとある街のとある小屋。特に強くも、弱くもない俺、勇者エデールは、ペットの猫のサンと二人きりで暮らしていた。猫といっても、品種改良された喋る猫なのだが。
今は午前5時過ぎ。いつもなら寝ている時間。だが今日はちがう。そう、中級勇者の魔法コンテストがあるのだ。6時ピッタリに国立第二公園前で行われる。遅刻した者を待ってはくれない。
「起きたらさっさと洗面所行って来い!早く!着替えは俺が用意しといてやるから!」
「は、はい~。」
「ふーっ、ギリギリ間に合った。」
「もー、オマエ昨日4時に起きるとかなんとか言ってたくせになんだよ!俺が起こすまでグーグーのんきに寝やがって!」
「すまんすまんサン。忘れてくれ。コンディションが悪くなる。」
「ちっ。俺が起こさなかったらコンディションも何も今頃夢の中だよ。」
「皆の者、沈まれ!」
(あっ、始まった)
「ではこれより、第891回勇者魔法コンテスト・中級を始める!・・・
・・・では結果発表!第5位は・・・第4位は・・・・・・・・・・・第一位は、勇者アレン殿!」
もちろん俺みたいなのが一位になるとは思ってもいない。参加者は星の数ほどいるのだ。仮にトップ5に入っていたとしたら、その日のうちに天変地異が起こるだろう。
ん?あれはなんだ?
公園のすみにペンダント、いや時計のような物が置いてある。
ちょうどよかった。一昨日腕時計を壊してしまったのだ。得したぞ。ここに置いてあるんだから、別に・・・とってもいいよね・・・。
時計に触れた瞬間。
時計の針がとんでもないスピードで廻りだした。
「えっ!?」
やがて時計は、赤と青の光を放ちはじめる。
ヤバい、ヤバい・・・・・・
「あれ・・・・・・」
「ほう、やっと起きたか。」
「え・・・王様?」
「お主も混乱しておるじゃろう。あの時計は今までの魔王を封印しているものなのだ。運が悪かったな。今日は5月26日。もう300年も前じゃが・・・最後の魔王が封印された日じゃ。この日に限ってあの時計は、どこかへ逃げるのじゃ。今日は時計の管理が甘かった。責任はこちらにある・・・。」
「そ、そうですか・・・よくわかりませんが。すみません。」
「とにかく、今までの魔王・・・4000体くらいかな・・・の封印が解けてしまった。」
「え?ヨンセンタイ・・・4000!?え?どーするんですか!?」
「そうじゃ、そこなんじゃ・・・実はな・・・専門家に調べてもらったんじゃが、封印してから時間が経ちすぎているものは、封印を解いた者とそのペットにしか倒せないということらしいのじゃ。」
「へぇ・・・そうなんですか・・・・・・って、え?なにその俺とサンが全部倒さないといけないフラグ!は?え?ちょ、ちょとまて、時計があんなところにあったのがいけないって!え?」
「すまん・・・フラグじゃなくて事実じゃ。魔王は4000体。なに、心配するな、特殊スキルを授けてやろう。」
「いやいやいやいや!冗談じゃありませんよ!」
「なんだよエデール、やってやりなよ。」
「え、サン・・・お前も聞いてたのか。俺はいやだ!4000とか無理だよ!」
「だが、大丈夫だ安心しろ、勇者・・・アタールと言ったか。」
「違う!俺はエデールです!」
「おおすまんすまん、最近耳が遠くなってな。だが、大丈夫だ安心しろ勇者エデール。お前にスーパー凄いスキルを付けてやろう。それなら魔王ともまともに戦えるだろう。これは王の命令だ!」
王の命令に逆らっては、罪になる。しかたない、やるか・・・まだ状況が呑み込めないけど。
「・・・ではお前にスキルを付けることが出来た。自分のステータスを見てみろ。」
「あ、はい・・・。」
ステータス
名前:エデール レベル:36(+9999)
HP:471(+9999)
MP:392(+9999)
攻撃:410(+9999)
守備:431(+9999)
速度:386(+9999)
スキル
炎の使いSP 水の使いSP 光の使いSP 回復SP ステータスアップ(レベルMAX)神隠し 闇の支配者 大爆発 自動体力再生(レベルMAX) ???(レベル1)
え?
何コレ、この、超上級スキルたち。
レベルと各ステータスが+9999も強化されてる。それに、炎、水、光、回復が全部SPになってる!?
スキル三大神の神隠しと闇の支配者と大爆発が全部ある・・・自動体力再生まで!?しかもレベルMAX・・・あれ、なんだこの???っていうスキルは。
「どうじゃアタール・・・ではなくエデール。さすがに不死身スキルは在庫がなかったが、これだけあれば魔王ともまともに戦えるぞ。」
「ふぁ、ふぁい、ありぎゃとうぎょざいましゅ、で、でもこのスキルの???っていうのは・・・?」
「ああ、これか。これは知らんな。専門家がこれもつけた方がいいと言っておった。まあ大丈夫だろう。」
「ったくお前、とんでもねぇスキルたんまりもらったな。羨ましい限りだぜ、でも俺だってもらったんだぞ。」
「え、サン、お前も貰ったのか、猫の分際で・・・」
「うるせー!この時代、猫だって勇者さ。ステータス見せてやるよ。お前ほどじゃないけどな。」
ステータス
名前:サン レベル:22(+9999)
HP:297(+9999)
MP:408(+9999)
攻撃:371(+9999)
守備:220(+9999)
速度:562(+9999)
スキル
風の使いSP ステータスアップ(レベルMAX) ???(レベル1)
「ふーん。なかなかだな。お前も???スキルあるのか。」
「そだよ。なんかよくわからんけど。」
「おお、エデール殿とサン殿。私めは執事のルアームと申します。あなた様にはさっそく明日から旅に出てもらいます。今日はこの城でごゆっくりとお休みくださいませ。」
なんだかよくわからんが、とにかくヤバいな。まあ王様からスキルを貰った事だし頑張るか!