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読みづらかったらごめんなさい。


地球に生命体が誕生した理由として、いろいろな説がある。

マジカルソングで言われているのは『神』説だ。


かつてまだ地球ができて間もないころ、ひとつの生命が誕生した。

それが、いわゆる神である。

宇宙で初めて生まれた生命体といわれており、人間の元を作ったといわれている存在である。だが本当にいるかは断定などできやしない。なぜならマジカルソングでは様々なところの太古の歴史書、神話をもとにして考えられたことだからだ。ここではそんな現実論は横においてみるとしよう。


神はエデンの園という楽園にいて、そこでさびしく暮らしていた。人間の形などしているはずもない・・・何も形のない生命体として生きている。

そんな神には二つの力を持っていた。


あらゆる生命を生み出し、そこから進化するように物質の形を変えることのできるちから・・・


  すなわち創造力。


失われた生命が再び新しく生まれることができ、生きる志を与えることのできるちから・・・


  すなわち再生力。


神はその力をつかって多くの生命を生み出した。微生物、菌や細菌、植物・・・そこから動物が新たに生まれた。

そこでできたのが人間である。

もっとも神に近い姿をしていた。

神は親近感を覚えたのだ。

月日がたつなかでより生きやすい体になっていくところ・・・知能が高いところ・・・心があるところ・・・よく神と似ていた。

だから神は思ってしまった。


この生物は自分の仲間ではないか。


と、間違って思ってしまった。


神はその生物の骨をつかって二つの種類にわけた。

それが男と女である。


男にはアダムと名付け、女にはイヴと名づけた。神はうれしくなった。今までずっと一人でやっと仲間ができたのだから・・・本当に心の底からうれしかった。

神とアダムとイヴは3人仲良く楽園で暮らし、幸せな日々が続いた。神は2人がとても大好きだった。

このままこの暮らしが続けばいい。一生3人で幸せに暮らしていきたい。

だけどそんな願いは虚しくも朽ちた。

神の願いなど、叶うはずもなかったのだ。


ある日のことだった。イヴが楽園の奥深い森に迷いこんでしまった。その森には禁断の果実がある。それを決して食べてはいけない、だから森には近づくな・・・・・そう神に言われていたのに・・・。

それはほんのちいさな興味。一度その果実を見てみたい、どんな味がするのだろう・・・

だけどイヴは食べる気なんて決してなかった。ただ興味を抱いただけ、果実を見たらすぐ帰るつもりだった。

なのにイヴは森にいた蛇にそそのかされたのだ。

すこしだけなら大丈夫・・食べてみたいのだろう・・?

ばれないさ・・・・。

イヴの興味はますますましていき、ついに禁断の果実をたべてしまった!

その果実は不思議な果実で、食べると知能が高まる実だった。自分がどうゆうものなのか・・・・自分が女でアダムが男であり、同じ生物だということ・・・。

神と自分は似ていても所詮、ちがう生物だということ・・・。

もうこのままじゃ、いられなかった。

神と人間はまったく違うだと認識したイヴは神と距離を置くようになった。

いままでずっと幸せに3人で暮らしてきた。本当はイヴはこれからもそうしていきたかった。でも禁断の果実をたべた以上、もう一緒にいることはできなかった。

イヴが禁断の実を食べたことを知ったアダムは追って実を食べた。そして、二人は自然と愛し合うようになった。

イヴとアダムは・・・・

自分たちから神に別れを告げた。

神はひどく激怒した。それに二人を見ているとすごくつらかった。だから神は二人を楽園から追放した。

永遠に・・・・。



「・・・なーんてばからしい話だろうなあ・・・。」

あたしはさっきあった合同歴史の話を思い出してシニカルに笑った。

あんなのただの神話にすぎない。そもそも地球に最初に誕生した生命は化学反応とか自然の影響とか長い月日をかけて生まれたという自然発生説の方がよっぽどそれらしいし、大体、神は人間が妄想する虚像だし、それに人間が最初から人の形で作られるなんておかしすぎる。本当に神話というのはロマンチックくさい。


まぁ、先生がそんなくさい話をしたのはこんないわれがあるからだ。


アダムとイヴが降り立ったところはこのマジカルソングである、魔力が豊富なのはその二人が巨大な魔力を大陸にまとわせたからであるー・・とね。


あるわけないじゃん。


だいたいまとわせるなんてあのころの人間にはできない技術だ。今だって難しいことなのに・・・・できるはずがない。どうせ大陸で偶然発生してとか、なんとかでしょ。あたしはそんなの知らない。

神だからできる?なにそれ

そんないやしない虚像をどの大陸の人も神を信仰しているようだがあたしは信じてなどいない。どうしてそう思うのかは・・・・考えてみれば簡単なことだ。

姿を見たことがあるのか?

なにかしてくれたのか?助けてくれたのか?


あたしは窓に映る自分の顔に手をあてた。

・・・・・。

右頬、目の下にハート型の模様。

一生消えることのない呪縛の象徴。リーベルの力を受け継げし者の証。

太古に大きな魔力をもっていたとされる古代の3大神、リーベル、ライン、エスペランザのうちの一人


知恵の守り神 リーベル


強い力を持ったリーベルの力をすべて受け継けついだ。おかげで膨大な魔力をもつことができる。多少の傷も・・・・・すぐ治る。いわゆる不老不死もどきのようなもの。

そこだけ見ればとてもいいように思える。人間の理想だ。すぐ死んでしまう人間にとってはうらやましいものだろう。

だけど・・・・

こんなのいいと思ったことは一度もない。

本当に嫌になる。呪いだ。生涯消えない呪縛。


神様、どうかこの力を消してください。


そう、何度も願った。

何度も何度も何度も・・・・・。

けれど消えなかった。


全然この紋様は消えてくれなかった。


神なんてものはただの妄想にしかすぎないのだ。そんなものに何願ったって意味ないじゃないか。どうしてみんな姿が見えない偽善者を信じたりするのだろう。

わけわかんない。


でも

もしいたとしたら

あの偽善者を

あたしはどういう風に思うだろう。


「・・・・・アン。」

誰かに呼ばれた気がする。なんとなく面倒くさそうに振り返ってみると案の定、ルトが立っていた。

「マリアン、なにしてんだ。ぼーっとして・・・・次、体育だぞ?」

いつのまにか授業は終わっていたらしい。

「・・・ああ・・・そうなの?分かった。」

「しっかりしろよ。どうしたんだ?」

「・・いや、何でもないけど」

・・・こんなときはほっといてほしいんだけどな。

だがルトは何でもないと答えたあとも心配そうにこちらを伺っている。そんな心配するほどの人間じゃないのに。

「・・・そうか。なら、さきいってるぞ。」

「うん。」

ルトはちらっとあたしを見て教室を出た。

「・・・はぁ。」

大きくため息をつく。よくため息をつくと幸せが逃げるというけれどそれならあたしはどれだけ幸せが逃げていったのだろう。ようするにため息つかずに頑張れということなんだろうけれど・・・・これ以上何を頑張ればいいのか・・。

今までも頑張ってきてはないのだけど。


すっと席を立ち、教室を出た。今からは体育だ。他の国では体育はバスケとかサッカーとかスポーツをやるらしいがこの学校は違う。体育の時間は全て訓練に費やす。武器の鍛錬をしたり、実際に戦ったりするのである。学校には校庭のほかに大きな敷地があるのでそこで思い切り武器を振ったり魔法がつかえる。危なっかしいがここではそんなの関係ない。人を殺すことはないがけがをすることは対したことないのだから。

ジパングの人間がこれを見たらたちまち腰を抜かして逃げ出すだろう。

ジパングは6つの大陸の中でただひとつ、魔法が存在しない国。他の5つの大陸の存在も知らなければ、噂ではナイフや剣を持っているだけでもいけないらしい。平和なのかどうか知らないがとてもあたしには窮屈だ。それともあたし達と違い、ジパングの人は体がもろいのだろうか。それもありえる。

まぁ、あたしたちだって拳銃で撃たれても死なないわけじゃないけど。

とぼとぼと次の体育へ向かっているとあたしはある人物を見かけた。

「あれは・・・・。」

栗色の天然パーマが実に可愛らしい小さな女の子。

確かあの子は一組のアリーゼ=グレイシアだ。(ちなみにあたしは2組。)

アリーゼさんはクラスは違うが学年でも強いと有名だ。おもに氷の魔法をつかいこなし、魔法のランクはSランクだ。

このランクというのは武器の種類や魔法の種類によって分かれており下からF、最上級がSとなっている。大人でもSはなかなかいないから高校生となるとそりゃ注目のまとというわけだ。

「いや、それはあたしも負けてないか・・・。」

あたし、マリアンはというと水の魔法と雷の魔法がSである。しかも知恵の神だからアリーゼさんよりもあたしのほうが目立っているといえばそうかもしれない。

しかしあたしは知恵の神の力があってのSだからこれで比べるとアリーゼさんのほうがすごい。だからアリーゼさんがもう少し目立ってもいいと思うんだけど・・・・。

ってそんなこと考えるあたしって何様なのか・・・。

だらだらと考えていると遠くからあたしを呼ぶ声が聞こえた。

「マリアンちゃん?だよね?」

「!」

一瞬体がビクッとし、声がした方を向くと目の前にあのアリーゼさんがいた。

あれ?さっきまで向こうのほうにいたのに・・・・。

「マリアンちゃんが見えたから声かけてみようかなって思ったんだけど・・・・迷惑だったかな?」

「あ、い、いや別に・・・大丈夫だよ。」

いきなりか!

うわさをすれば・・・・というのは本当のようだ。

しかし近くで見るとますます子犬みたいにかわいいなぁ…この子。

長いまつ毛にくりくりした栗色の大きな目、ちいさな顔、整った小鼻、あたしより十センチぐらい小さな背・・・まるでお人形のよう。たとえていうならシーズ犬ってとこ。

とにかくかわいいしか言えない。

「マリアンちゃんと話してみたかったんだよねー・・・クラス一緒になったことないし・・・・・ほら、強くて美人でかわいいから憧れだったりして。」

「いや・・・・それあなただから。」

「え?なんか言った?」

「ううん。・・・・それよりアリーゼさん、武器はどうしたの?」

「あー・・・今日は忘れちゃって・・・というか修理中かな。・・・ていうかさん付けやめてよっ  かたぐるしいし。僕ってそういうのあんまり好きじゃないんだよね。」

「・・・じゃぁ、アリーゼちゃん。武器なしで戦うの?」

「うん。魔法だけでも大丈夫だし。・・・・あ、せっかくだから一緒に戦わない?今まで一回もしてないし、やってみたいなマリアンちゃんと。」

「だめ?」

と上目づかいで首を傾げるアリーゼちゃん。

・・・・

可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい//////////


これは断れない。

というかあたしもやってみたかったし!いや・・・でも氷使いかぁ・・・水使いとは相性悪いかも。

まぁでも実力をためすチャンスだ。

「いいよ。あんま時間ないから早くやろうね。」

「やったー!楽しみだなぁ・・・・・あ、本気でやってよね?僕も手加減しないから。」

アリーゼ・・・ちゃんは小さな歯をのぞかせる。

「分かってるよ。」

こりゃ負けられないな。

気合を入れ背伸びをする。アリーゼちゃんとの対決、今まで負けたことのないあたしは完全勝利とまではいかずとも勝とうと思っていた。

しかし

あたしは甘かった。

あたしが知恵の神であることの脅威

アリーゼちゃんのこと

生きること死ぬこと

勝つこと負けること

殺し、殺されること

世の中のすべてのことを

あたしはこの時まで何も知らなかった。

そして

そのすべてを一気に知ることになる。


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