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プロローグ

 









 青い空の下、俺の目の前で剣の素振りをしている冒険者予備軍を見て気づかれないように一つため息をつく。

 ちなみに、ここにいる俺の立場はギルドで冒険者登録をしようとして失敗した者達へ生き延びる術を教え込む教官と呼ばれるものだ。……何故、こんな事になったのだろうか。

 はっきり言おう、俺は剣で打ち合えば年下の女の子であろうと五秒で沈む自信がある。無論、此処にいる生徒たち全員にも同じことが言える。恐らくこの中で最弱なのは俺だろう。


「教官、全員素振り左右百終わりました!」


「ん、じゃあ次は休憩込みで魔力の練り込みをしようか」


「魔力の練り込み、ですか」


「そ、魔力は練れば練るほど魔法を使用した時の効果が大きくなる。例えば―――――」


 そう言って俺は一つの火球を掌に発現させる。それを足元に投げると少し焦げるだけだ。

 そしてもう一度火球を作り上げる。


「今は掌サイズだが、これを一度消して新しく同じ量の魔力を練り込み圧縮してから発動すると―――――」


 今度出現するのは更に一回りほど小さい火球だ。


「あの、教官。どう見てもさっきの火球の方が……」


「まぁ、それはこれから分かる結果を見てからな。んじゃ、ちょっと離れてろよ?」


 訝しげな表情ではあるが、俺の指示に従って離れていく生徒達を確認し誰も居ない空間に火球を放つ。

 すると、火球は地面に衝突した瞬間、爆ぜた。その後には小さいながらもクレーターが出来上がっている。


「と、こんな風に少しの魔力量で大きな結果を残せる訳だ」


「……凄い」


 一応学校で習うはずのことなんだがな。


「分かったらやってみろ。感覚的には、掌に魔力を集め小さくなるように押し込める。この押し込めるやり方は人それぞれ。俺の場合は掌を中心に回転をかけつつ詰め込む感じだな」


「分かりました」


「あ、二つ注意事項な。先ず慣れるまでは俺がやった位の魔力量でやること。二つ目、圧縮中に諦めると魔力が暴発して吹き飛ばされるから気をつけろ。……死にはしないが、痛いぞ?」


「っ、はい! 十分に気を付けつつ取り組みます!」


「ん。じゃあ俺の担当はここまでだから、午後からは別の担当に引継ぎな。確か午後は実戦演習とかあったはずだから頑張れ」


 ちなみに午後の担当は鬼と呼ばれるスパルタ爺さんだ。俺は間違ってもあの爺さんの元で実戦演習なんてしたくない、頑張れよ新人達。


「「「教練、ありがとうございました!」」」


 俺が立ち去ろうとすると、生徒たちが頭を下げているのが見えた。

 やめてくれ、俺はお前達より弱いんだから。

 俺はそのまま背を向けて、苦笑しているのを見られぬようにギルド職員の部屋へと戻った。
























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