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第4話:今回は1戦目から

 女の子の声が聞こえた。

 期待を込めながら顔を上げると、知らない女の子がカードを持って立っていた。

 少し上がっていた口角が下がったのが自分でもわかった。



「こんにちは。はい、よろしくお願いします」



 できるだけ明るく返事をしたつもりだが、さっきの表情の変化は相手も気づいてしまっただろうか。

 声をかけてガッカリした表情されるとかだいぶ失礼なことをしてしまった気がする。




 

 対戦はスムーズに進み、俺が勝った。



「ありがとうございました。強いですねー、最初からずっと主導権(にぎ)られっぱなしな感じでしたね」



 終わったタイミングで相手の子が話してきた。

 そのまま終わるのではなく話しかけてくれたってことは、あんまり不快な思いはさせていなかったんだろうか。



 「今日は一戦だけにしておきますね。また今度対戦お願いします」



 数分ほど感想戦(対戦の振り返り)を行ったあと、その言葉を残して相手の子は去っていった。

 良い感じで対戦を終わらせられて正直ほっとした。なんせ前回は対戦終わったときの記憶が無いんだから。




 その後は5〜6人男の人と対戦したが、どの人もマナーが良く終わったあとも少し話して気持ち良く終わることができた。

 最後の対戦であと少しのところで惜しくも負けてしまったので、カードを広げながら考えているとまた声をかけられた。



「こんにちは。よかったら対戦しませんか?」



 “声の感じから女の子かー”と考えながら目線をカードから移した。





 ……“100点“だ。



 認識した途端とたん体が固まった。

 対戦に集中していたのもあって、正直油断していた。



「対戦大丈夫ですか?」



「……あ、はい。すみません。大丈夫です。よろしくお願いします」



 どれくらいの時間黙ってしまっていたんだろうか。

 向こうから再度話してくれたことでどうにか硬直こうちょくが解け、まりながらも返事をすることができた。


 相手が席に座り準備をしている間にチラッと顔を確認する。

 めちゃくちゃ可愛い。そしてやっぱり“100点“そのものだ。先週と同じようにマスクとメガネをしているが、今回は帽子ぼうしかぶっていない。

 


「ではよろしくお願いします」



 相手の準備が終わったようなので、気合いを入れるためにこちらから声をかけた。


 今回は絶対に記憶を飛ばさないようにしなければ。

 対戦中はできるだけカードだけを見るようにしよう。

 チャンスがあるとすれば対戦後だ。







「ありがとうございました」



 対戦に集中したおかげか、こちらのペースのままスムーズに勝つことができた。

 先にお礼を言うことで感想戦としては相手のターンにしたつもりだ。

 何か言ってくれればそこから少し話すこともできるかもしれない。

 1秒ごとにどんどん緊張感が増している気がする。



「ありがとうございました。今回は1戦目からとても強いんですね」


「えっ?」



 だいぶ早めに返事をくれたおかけで緊張感に押し潰されることはなかったが、予想からはほど遠い内容だったので思わず変な声が出てしまった。



「すみません、前回何かまずかったですか?」


「いえいえ、全然まずいことなんて無かったですよ」



 何かやらかしてしまったのかと不安になったが、全力で否定してくれた。

 否定のために手を振ってる姿も可愛い。


「先週対戦しましたよね? 1戦目はすんなり私が勝てたんですが、2戦目は手も足も出ない感じで負けてしまったので。その後は帰られてましたし」



 俺を覚えてくれてたことが嬉しすぎてニヤけてしまいそうになった。

 あと、2戦目は俺が勝ったのか。全然覚えてないな。手も足も出ないってどんな勝負したんだろうか。


 というか声も可愛いな。

 俺の“100点“はさすがに声までは出せないんだから、現実が上回らないでくれ。



「あー、1戦目はここでの初めての対戦だったので緊張しちゃってたんですよね。2戦目はだいぶ緊張がほぐれてたので、本来の力が出せた感じです」



 本当のことに嘘を織り交ぜながら返事をした。

 即興そっきょうで嘘を混ぜるのはKywitterでの日常だから慣れてる。これくらいの返事がまぁ無難ぶなんだろう。



「そうだったんですね。ずっと何か考えてらっしゃる割りに不思議なカードの出し方をされるなーと思っていたんですが、緊張されてらっしゃったんですね。最初はやっぱり緊張しちゃいますよね」



 ……ヤバい、思い出そうとずっと考えていたのがすっごいバレてる。

 どんなカードの出し方したかとかもはや覚えていないが、ぼろ負けしてるし相手も変だと思ってたってことはよっぽどだったんだろうな。

 そりゃあ印象に残っちゃうよな、明らかに変なやつだもん。



「戦略のこと考えてたんですけど、緊張で頭がぐるぐるしちゃって。あはは……」



 俺が申し訳なさそうに謝ると、メガネの奥の彼女の目元が笑った。



 ……なんという破壊力。



 思わずまた意識が飛ぶんじゃないかと心配になった。もしマスクをしてなかったらたぶんダメだったんじゃなかろうか。

 理想の子の生の笑顔は攻撃力が強すぎる。



 話し始めてから自然な形で顔をずっと見ちゃってるが、見れば見るほど“100点“と全く同じだ。

 一致度が高すぎて“この100点は良い感じにヌルヌル動くなー"とかPCを見てる視点にも一度なってしまったぐらいだ。


 

 当然これまで何度も思った疑問がまた頭の中をぐるぐる回り始めた。


 なんでここまで見た目が一緒なんだろうか?



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