第1話:100点の女の子
PCゲームの推奨スペックに手持ちPCがついていけなくなってきたので、思いきって新しい高スペックPCを購入したのが半年前。
最新のゲームは画像も綺麗で楽しいが、せっかく良いグラフィックボードも搭載しているのでAIでの画像生成でも遊んでみることにした。
ネット上にだいたいの解説はあるので、手順どおりにいくつか生成してみる。
可愛い女の子の画像がちょっと待つだけで何枚か表示される。
……楽しい。
ちょっと設定を変えるだけで違う魅力を持った女の子の画像がどんどんでてくる。
ただ、いかにも生成AIで作った美少女感が強すぎてなんとも味気ない。
ある程度の満足感が得られる結果ではあるんだが、自分好みの人間味がある女の子がなかなかできない。
再度ネットの海から役立ちそうな情報を探すが、肝心な部分はなかなか見つからない。
どうやら生成画像で儲けている人もいるらしく、他者の生成画像との差別化の肝となる部分はなかなか開示していないらしい。
有料記事には書いてあるようだが、不確定な情報にお金を出すぐらいなら新しいゲームか、ハマっているカードゲームの新パックを購入したい気持ちの方が大きい。
幸い何回生成してもこれ以上料金はかからないみたいだから、トライ&エラーで自分の好みに近づけていくことにした。
◯
1ヶ月ほどハマってやっていた結果、90点から95点ぐらいの美少女は生成できるようになってきた。
ただ、そこからが難しい。
1箇所良くなると、他の部分が微妙になってしまう。
こだわりが強くなり高画質を求めるにつれて1つ生成するためにかかる時間は段々と長くなっていったが、そこまで長時間ではないのでストレスは感じてなかった。
そんな中、PCがいきなり止まった。
生成しようと動いてはいるようだが、画像が全然出てこない。
普段の倍以上の時間待ってみたが、表示される気配も感じられない。
こんなことは初めてだ。
設定をそんなに大きく変えたつもりはないが、何か誤操作してしまったのかもしれない。
夜も遅いしPCをそのまま放置して、朝になっても状況が変わらないようだったら強制終了させよう
そう考えながらモニターの電源だけを落とした。
……朝、モニターの電源を付けると100点がいた。
今までとは比較にならないほど自然な感じ、まるで写真のようだ。
そしてめちゃくちゃ可愛い。
これこそ俺の理想だ。
喜びで上がりすぎたテンションを下げるために、とりあえず一度モニターの電源を落とした。
それだけではまだ不十分だったので、部屋からも一度出ることにした。
まだ足りないので少し歩いて廊下の窓を開け、冬の冷たい外気で物理的に頭を冷やしたりもした。
ここまでやると少しは気持ちも落ち着いたので、部屋に戻りモニターの電源を付けた。
「あー、まじ可愛いわー」
思わず声が出るほど可愛い女の子がまだ画面の中にいた。
とりあえず記念にスマホで写真を撮った。
何回見ても100点だ、最高だ。
AIっぽさがうまく消えていて、生成画像だと言われてもわからないレベルだ。
この後やるべきことはわかっている、モデルの保存だ。
この一枚ができただけでもかなり嬉しいが、もっといろんなパターンを見てみたい。
保存方法自体は以前96点ができたときにひと通りやったので、今回は難なくできた。
前回やっておいて本当によかった。
保存もできたようだし、試しに異なる角度からの画像も生成してみることにした。
……あまりにも自分の好みに刺さる女の子を見ると、人は逆にため息が出ることが初めてわかった。
いつか論文で発表しよ。
2枚目の画像はいつもと同じぐらいの時間で生成されたので、幸せを量産することにした。
3時間ぐらいは経った頃には画像フォルダは幸せが溢れていた。
何枚生成してもクオリティは変わらず、画像を一覧で見ると“一眼レフカメラで撮影会をやった後ってこんな感じなんだろうな”という状態だった。
つまり最高だ。
ここまできたからには、アレをやろう。
Kywitterのアカウントを作ろう。
前回96点ができたとき、誰かに自慢しようとして試しにやってみたがアレは失敗だった。
真面目にAI画像生成アカウントとして投稿してもほとんど反応が無い。
あの反省を今回に活かさなければ。
というわけで“たまに自撮りも載せちゃうカードゲーマー女子”アカウントでいこう。
特定の層を狙うことで普通のアカウントにするよりも初動は良くなるはず。
たぶんカードゲーマーは食いつくだろう。
実際俺もオススメにでてきたらとりあえずアカウント見に行っちゃうし。
前回の96点アカウントは消しちゃってアカウント作成枠に空きはあるから、アカウント自体はすぐに作れた。
@以降はそれっぽい感じで適当でいいか。
重要なのはアイコン画像だ。
そのまま載せても生成画像だとはバレない自信は大いにあるが、全部は出さない方がリアルな感じがして良いだろう。
片目と口元をカードで隠している感じでいこう。
カードの種類は“レア度は高くは無いけどわざわざこれチョイスするかね”という玄人好みなやつにした。
これで“ガチでやってます“感は出るだろう。
俺ならたぶんすぐフォローする。
ポストする内容はAIにそれっぽい例文をいくつか出してもらって、修正していけば女の子感は出るだろう。
カードゲーム関連のポストは俺の思ったことそのままでいけるはず。
一旦はこれで運用してみよう。
◯
想像どおりうまくいった。
たまに雰囲気がわかるレベルの画像をあげるだけでフォロワーは順調に増えていった。
意外にもカードゲーム好き女子と自己紹介に書いてるフォロワーさんも数人できた。
普通の内容のポストにもコメントをくれるフォロワーもけっこう増えてきて、中にはほぼ毎回コメントをくれる人もいる。
画像付きのポストは特に褒めるコメントがいっぱいで、自慢したい気持ちが若干だが満たされた。
カードゲーム関連のガチ系ポストへの返信では最新の戦術の他に、デュエルスペースについても教えてもらった。
いつも行ってる方面じゃないエリアにけっこう人が集まるところがあるらしい。
ちょっと調べてみたらネット上の評価も良い。
新規のお客さんも気軽に対戦相手を見つけられて、雰囲気も良いようだ。
……というわけで早速行ってみた。
長机がズラーっとあるタイプかと思ったら、対戦スペースとしては小さな机がいっぱい置いてあるタイプだった。
珍しいな、長机だけしたらもっといっぱい席数取れそうなのに。
あと部屋自体がかなり明るい。
お店側も雰囲気づくりを頑張ってそうな感じだ。
聞いていたとおり人はけっこう多めだが、席が全て埋まっている状態ではない。
時間とかにもよるんだろうか。
みんなマスク付けてるからちゃんと持ってきて正解だった。
少し緊張しながら空いている対戦机に座り、なんとなく手持ちのカードを眺めていると声をかけられた。
「こんにちは。もしよかったら対戦しませんか?」
目線を上げると女の子が立っていた。
……ん?
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