第32話【妹の居場所】
「なあ、父さん。確認したいことがあるんだが」
俺――青斗は、今までのことを自分なりに整理し、あらゆる矛盾が繋がっていくことに恐怖を抱いていた。できれば、俺の予想は外れていて欲しい。
アイスは「雷が落ちたせいでアンドロイドが人間になった」――今考えてみたら、そんなことあり得なさすぎる。父さんも納得するのが早すぎた気がする。
それに、キャンディの度々の醜態、どう見てもアンドロイドの所業じゃない。
ならば、あの超人的な身体能力と、自分たちのことをオーディオヴィジュアルだと勘違いしているのは何故か?
そこから導き出される答えは一つしかなかった。
「父さん、あの二人は強化人間なんだろう?」
「……え?」
父の声に、微かな動揺が走る。
「あの二人の身体能力は異常だし、かと言って頭の方は若干抜けてるし。肉体強化すると、頭のネジが何本か飛ぶって昔見た漫画でやってた気がするんだ。実際はわからないが、これで色々と辻褄が合うんだよ」
父は長い沈黙の後、重い口を開いた。
「青斗。お前の推理は間違ってるとは言わないが、こちらも国家機密で動いている。軽々しく情報提供はできない。すまないが、察してくれ」
「なら、一個だけ教えてくれ。父さんは人体実験をしているのか? 俺のためだとしても、そんなのちっとも嬉しくないぞ」
「そんな事実は、ない」
「そうか。その言葉、信じるからな。キャンディのことは任せてくれ」
「頼むぞ」
父さんは「間違ってはいないが察しろ」と言った。ここから汲み取れるのは「俺が知りすぎるのは危険だ」ということだ。今は父さんを信じて、キャンディを捕まえる、という名目で救おう。
俺は電話を切り、アイスに向き直った。
「アイス、父さんに言われた通り、キャンディを捕まえよう。キャンディは、おそらくお前の妹だ」
「でも、わたしはお兄ちゃんの妹だよ?」
アイスは困惑した表情で、自分の胸に手を当てる。
「ああ、そうだな。だから、キャンディは俺たちの妹ってことだ」
その一言で、アイスの表情が変わった。
「わたしたちの妹?……キャンディはわたしの妹!」
難しく考える必要はない。この二人が本当の姉妹なら、争う必要なんてないじゃないか。
「キャンディ、俺は無理矢理捕まえるなんてことはしない。きちんと説得してみせる」
俺は、この姉妹を救うことを決意した。
続く




