第28話【ユウリ】
「なあ、アイス」
「なーに、お兄ちゃん?」
キャンディ捕獲の準備を始める前に、俺は根本的な疑問を解決したくなった。
「お前って人間だよな?」
「そうだけど、どうしたの?」
「じゃあ、その、人間離れした能力はなんなんだ?」
「それはわたしが元AV嬢だから」
結局、結論はそこになってしまうんだよな。
いくら起動時に落雷があって停電したとはいえ、ただの**AV機器(オーディオビジュアル機器)が人間になるのか?
父さんはキャンディを捕獲するように言ってきた。キャンディはおそらくアンドロイド「IMOUTO」の2号機。キャンディはアイスのことを「お姉ちゃん」と呼ぶが、アイスはキャンディのことを知らない。いや、「知ってるような知らないような」と言っていたな。
後から作られたのなら、キッパリ知らないはずじゃないのか?
父の研究所(回想)
「まさか、アレが青斗の元へ行っているとは……」
ため息をつく青斗の父。その脳裏には、数年前の、まだ研究員としてIMOUTOの開発に行き詰まっていた頃の記憶が蘇っていた。
「うーん、やはり完全自立型AIを実現させるのは、まだまだ難しそうだな」
自室で頭を抱えていると、ノックの音とともに声がかかる。
「失礼します」
「誰だね、君は?」
青斗の妹を生み出す研究に行き詰まっていた頃、私の研究室に一人の若い女性研究員が訪ねてきた。
「わたしはユウリと申します。主に人間の記憶に関する研究を行っております。先生の人工知能の研究論文に惹かれて、わたしの知識がお役に立てればと参りました」
「なるほど、人工知能と記憶の研究の融合か。確かに面白そうだ。手伝ってくれたまえ」
「ありがとうございます!」
こうして私はユウリと共に研究を進めることとなった。
ユウリの知識は想像以上に革新的だった。彼女は「人間の記憶」を、単なるデータではなく「魂のエネルギー」として捉えており、IMOUTOのAIにその片鱗を組み込むことで、AIの学習速度は飛躍的に向上した。
あるとき、国からの依頼ということでお達しがやってきた。内容は我々の研究を国家管理とし、極秘プロジェクトにするようにとのことだった。
私は、完成したIMOUTOは青斗に送るということを条件に、この提案を受け入れた。国の援助を受けられれば、多額の援助や高価な機材を使えるようになるからだ。
しかし、程なくして国から言い渡された内容に、私たちは驚愕することになるのだった。
続く




