第22話【奇策、ペイント弾の打ち合い】
残りライフは、アイスの持つ一つのみ。対して相手はまだ三つもある。先ほどの作戦失敗でライフを失った上に、相手の前方を走る形になってしまった。なんとか点をとりかえさなければ、このままではジリ貧だ。
「アイス、俺は真っ直ぐ走る。なるべく安定するようにするから、前方からあいつらを狙って欲しい」
「それはいいけど、狙われやすくなっちゃうよ」
「そうだな、おそらく狙いをつけるのは相手の方が早いだろう。だから、お前はミミカのペイント弾を真っ直ぐ弾くことができるか?」
「え?」
俺だって無茶なことを言っているのは分かっている。だが、相手の射撃は悪い意味で優等生だ。軌道が分かれば、対処もしやすいはず。
「無理そうか?」
「そんなのできない……なんてことはない!」
「いい返事だ!」
俺は直線走行に切り替え、相手を誘った。流石はスズネとミミカだ。罠かもしれないと迂闊には突っ込んでこない。その様子を見て、アイスがペイント弾を構える。こちらに何もないと分かると、ミミカもペイント弾を構えた。
「アイス、牽制しろ」
アイスは数発後方に向かってペイント弾を撃ち出した。もちろんそう簡単に当たるわけはない。ミミカは慎重にこちらを観察すると、今だと言わんばかりにペイント弾を撃ち込んだ。
放たれたペイント弾は、真っ直ぐアイスに向かって飛んでくる。
「今だ!アイス!」
「りょぉおかい!」
アイスは、飛んでくるミミカのペイント弾に、自分のペイント弾をぶつけさせた。弾と弾が空中で衝突し、二つは別々の方向へ飛んでいった。
「な!?」
ミミカが一瞬焦った様子を見せたが、すぐに次を構える。
「アイス、スズネを狙え!」
「え?」
アイスは、操縦士であるスズネにペイント弾を撃ち込む。もちろんこれは得点にはならないが、反則ではない。
「ちょっと、前が!」
ペイント弾がスズネのゴーグルを覆い、視界を奪う。スズネの操縦が乱れ、浮き輪が激しく横にブレた。
「ちょ、ちょっとスズちゃん!」
よろけたミミカに、アイスが間髪入れず、ペイント弾を撃ち込む。
当たった!
こうしてアイスの活躍で、ライフを2対1まで追いつけることに成功した。
スズネはパーカーを勢いよく投げ捨て、ビキニ姿をあらわにする。濡れた髪をかきあげ、怒りに顔を紅潮させている。
「やるわね、でもこれ以上は、絶対にやらせないわ」
さあ、いよいよ正念場だ。
続く




