第17話【テレビ出演??】
話によると、今日の閉館後、このプール敷地内で「アイドルと素人カップルによるサバゲー対決」の番組が企画されていたらしい。しかし、急遽カップル役の役者が来れなくなり、困り果てていたという。
(役者が来れないって、完全にヤラセじゃないか)
俺は心の中で毒づく。仕方なく今日のお客さんから代役を探していたが、子連れの家族が多く、少ないカップルに声をかけてはみたものの、いい返事がもらえなかったようだ。そこで、俺たち兄妹に声をかけてきた、というわけだ。
「とりあえず、妹さんはその水着だと子供っぽいから、こっちで用意するビキニに着替えて。お兄さんは……お兄さんはー……そのままでいっか」
女性従業員は、俺を上から下まで値踏みするように見た後、最後に盛大なため息のような「間」を空けた。
「おい、なんだその間と呆れ顔は?」
まだ承諾もしていないというのに、アイスは「わーい!ビキニが着れる!」と喜んでいる。しかたない、こうなったら俺も腹をくくるか。
対戦相手になるのは、今売り出し中の妹系アイドルグループ「キティキャット」の、スズネとミミカだ。
特設の控え室で、俺が「今日はよろしく」と挨拶をすると、スズネはテレビで見せるような笑顔とは裏腹に、刺々しい表情で言い放った。
「ま、せいぜい引き立て役よろしく。私たちより目立つんじゃないわよ」
「スズちゃん、ちゃんと挨拶しようよー」
横でミミカが、スズネを諫めている。
(アイドルにペイント弾を撃つなんて、罪悪感があるな……)と思っていたが、今のでそんなものは一瞬で消え去った。
「コテンパンにしてやる」
そう決意した俺をよそに、アイスが二人に向かって明るく挨拶する。
「今日はよろしくね!元AV嬢のアイスだよー!」
案の定、スズネの顔が凍り付いた。
「はぁ!?元AV嬢?そんな人たちと共演なの?あんた、自分が恥ずかしくないわけ!?」
「恥ずかしいなんてないよ。わたしは元AV嬢であることに誇りを持ってるし、お兄ちゃんと出会うきっかけでもあるんだから」
(ちょっとそれは言い方が……!)
俺は、また誤解が深まっていく状況に、胃がキリキリと痛み出す。案の定、スズネは思い切り白い目でこちらを見ている。ミミカに関しては、恐怖で怯えているように見えた。
「ふ、ふん。好きにしたらいいじゃない。でもやるからには、ちゃんとやってよね」
スズネはそう吐き捨て、去っていった。
こうして、いろいろと状況がややこしいまま、俺たちとアイドルのサバゲー対決の火蓋が切って落とされるのだった。
続く




