第15話【レインボースプラッシュ】
「もうダメェ! またこの前みたいに……!」
キャンディは必死にそう叫び、羽交い締めにされた状態から逃れようとする。だが、アイスは決して手を緩めない。
すると、客席から「頑張れ、キャンディ!」「負けるな、キャンディ!」と、子供たちのキャンディコールが湧き上がった。その声に、必死だったキャンディはハッと我に返り、自分が置かれている状況を再認識する。
今、自分はヒーローショーの舞台の上で、大勢の観客に注目されている。この状態で、この前の公園のような失態を晒そうものなら……。もう、お嫁に行けない。
キャンディは耳元で小声で囁いた。
「降参よ。でも、子供の夢は壊したくないの。このまま私を遠くまでぶん投げてくれない?」
「投げるのはいいけど、それと子供の夢が関係あるの?」
アイスの問いに、キャンディは悔しそうに答えた。
「ショーには幕引きが大事なのよ! でも、次こそはこうはいかないんだからね!」
会話が終わると、アイスはキャンディを遠くへと放り投げた。宙を舞いながら、キャンディは高らかに叫ぶ。
「ハハハ! かかったわね! わたしの最終必殺技! 『レインボースプラーッシュ!』」
飛んでいったキャンディの後に、鮮やかな虹がかかった。子供たちは「すごい!」「綺麗!」とはしゃいでいる。事情を知っている俺は、これまで見た虹の中で、一番汚い虹だなぁと思うのだった。
続く




